九大生体解剖事件:「戦争は人を狂わす」最後の目撃者語る

毎日新聞 2012年08月15日 21時02分(最終更新 08月15日 22時56分)

事件後に描かれたスケッチを使って当時の様子を語る東野さん=福岡市中央区草香江で、金秀蓮撮影
事件後に描かれたスケッチを使って当時の様子を語る東野さん=福岡市中央区草香江で、金秀蓮撮影
九州大学医学部に入学し、解剖学教室に入局して間もない東野さん(左から2人目)と教授ら=東野利夫さん提供
九州大学医学部に入学し、解剖学教室に入局して間もない東野さん(左から2人目)と教授ら=東野利夫さん提供

 東野さんはGHQの調べを受け、裁判の証言台にも立った。主導していたとされる軍医は空襲で死亡、執刀した外科医も拘置所で自殺した。

 「軍人と医者が残虐非道なことをしたが、これは事件の本質ではない」。東野さんは独自に調査中、気が付いた。「当時の心理状態は平和な時代には考えられないほど、おかしな状態だった」。戦争末期の空気と混乱は医者をも狂わせた。

 事件の目撃者が東野さんだけとなり、講演にも力を入れたが、体力の衰えで数年前から休止した。時代は移りゆくが、平和への思い、願いに変わりはない。「非戦を誓った憲法9条は必ず守ること。そして捕虜に対し学内の医師がメスを持ったという事実を正面から受け止め、母校の敷地に8人の慰霊碑を造ってほしい」【金秀蓮】

【ことば】九大生体解剖事件

 1945年5〜6月、墜落したB29に乗っていた米軍捕虜計8人が、旧九州帝国大医学部で実験手術を受け死亡した。西部軍司令部は8人について、広島へ移送後に被爆し死亡したとしたが、GHQの調査などで発覚。計28人が起訴され、5人の絞首刑を含む計23人が有罪判決を受けた。

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