沼田市の地震対策と市長の仕事
沼田市の地震対策は限りなくゼロに近いようだ。近い将来地震が起きる確率が何ほどのものかの予想も市にはないらしい。もし地震が起きたら、すべて「想定外」で片づけるしかない。
沼田に限らず、地震の厄介なところは次の地震がいつあるのか誰にも予測できないことだ。最近我が国土の性質について認識を深めてきた地震学会の常識では、地震は必ず起きる、というものだが、いつ、どれくらいの大きさのものが来るのかは、予測できない。
沼田の市庁舎は老朽がはなはだしい。昭和39年に建てた耐震建築法以前のおんぼろだから、大きい地震が来ると被害が出ることは誰でも見当がつく。季節や時間帯にも拠るが、死者が出ることもありうる。
こういう潜在的危険に備える態度にはいくつかの選択肢がある。
(1)一切備えをせず、天命にまかせる。
(2)建物の耐震化を、新庁舎の建設を含めた広い範囲の中で模索と計画をただちに始める。
沼田市の現在取っている態度は、(1)の天命に任せる、である。その中身は、起きるかどうかわからんものを心配していては身が持たない。その時はその時だ。運の悪い奴はいるが、運の強い人も多い。
かりに、市長室が震度5くらいで50%以上の確率で潰れると仮定しよう。しかし、市長は耐震工事などしない。就任以来一切なにも対策をしていないし、計画もしていない現市長は、自分が市長室に入っている時間をできるだけ減らす個人的努力はするようだが、(葬式にできるだけ出て)自治体の首長として地震の被害など俺の知ったことではない、という態度をとりつづけてきた。首尾一貫した、哲学的、運命論者的、死生観の持ち主だ。
市長は言うかもしれない。沼田にはカネがない、今日びカネがない奴は死ぬしかない、と。
しかし、カネがないのは、本当だが、手段がないわけではない。市庁舎が崩壊することによって人が大勢死ぬことだけは防ぐ手段はある。現在の市庁舎を建物ごと売却するのである。そのカネで耐震性に優れた借家に引っ越すのだ。しかも引っ越しついでに行政のスリム化をしてしまう。そんな建物があるのか? ある。なければ建てるのだ。そういうことをやるのが市長の本当の仕事である。
天命論者の市長は葬式屋になったほうがいい。できない仕事など辞めて、好きな葬式に専念できる。
峯崎淳
1 「市長室が震度5くらいで50%以上の確率で潰れると仮定しよう。」
おそらくデータの確認をされていないのだと思いますが、仮定にしても、現実離れしすぎていて説得力に欠けると思います。
昨年3月11日の地震は震度5弱でしたが、市庁舎は潰れていません。
http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/2011_03_11_tohoku/0311_shindo.pdf
2 「こういう潜在的危険に備える態度にはいくつかの選択肢がある。」について
ふたつの選択肢だけでしょうか?
事実上の選択肢が耐震性のある建物を造ると言うことだけだとすると違和感を感じざるを得ません。
耐震性があるといっても限度があります。建物を造るには基準となる震度を想定しなければなりません。
では、「想定を超える地震が来たときには、どうするのでしょうか。」
この問いに対して、福島原発では、「そんな地震(津波)は来ない」というのが答えでした。
耐震想定をあげることも大切ですが、それには限度があり、建物は壊れることもあり得ると想定することが必要だと思います。
その上で、避難計画、避難訓練などソフト面での備えをすることが大切であり、今の沼田に必要なのは、むしろそちらではないでしょうか。
投稿: 杉山弘一 | 2012年7月25日 (水) 09:05
<こういう潜在的危険に備える態度にはいくつかの選択肢がある。
(1)一切備えをせず、天命にまかせる。
(2)建物の耐震化を、新庁舎の建設を含めた広い範囲の中で模索と計画をただちに始める。>
峯崎さんが大飯原発に要求されていることは、(1)でも(2)でもありません。稼働停止です。市役所だったら、直ちに庁舎の使用を停止しろということです。ここで言われていることと全く矛盾しています。
そんなに危険なら、市役所にも大飯原発と同じように使用停止を要求されたらいかがでしょう。
投稿: 杉山弘一 | 2012年8月13日 (月) 09:14