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メンバーの裁判

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2012年6月 1日 (金)

除染計画と勘違い委員長の弊害

 6月議会が近づいてきました。ひさしぶりに足元の沼田市の問題について書きます。
 先般、市が策定した除染計画実施計画書が配布されました。内容的にはおかしな点は見受けられませんでしたが、いたって抽象的で「実施計画」とするにはまだまだ具体性が不足していると感じます。その後、開かれた説明会も大きな地域ごとで数が少なく、あれだけで実効性のある除染が出来るとは思えません。
 今後、町内会のような小さな地域ごとに行政だけでなく住民参加で空間線量率を計測し、地域住民自らが地域の汚染度の情報を共有し、地域住民が自分の問題として除染計画を具体化させていく必要があると思います。
 沼田市の汚染度は県内でも最も高い部類に属しますが、幸いなことに、大規模な面での除染が必要となる場所はほとんど無いと思われます。雨水がたまる場所など局所的に高い場所だけを除染するだけで済むでしょう。また、除染が必要な汚染レベルと言っても、現実に健康影響が出る可能性が具体化するレベルの10~100分の1程度ですから、まずは安心して冷静に対処出来るものです。
 しかし、局所的なマイクロホットスポットとなると行政だけでは対応出来ません。画一的には対応しきれないからです。住民が自分のこととして除染に参画していく必要があります。除染こそ、市民協働が必要な作業だと思います。

 ただし、このような作業の大きな妨げになっているのが間違った理解に基づき無理難題を要求する「困ったちゃん」の存在です。自分では出来っこないことを市に要求して出来ない事を理由に糾弾する、その結果、業務はオーバーフローし除染計画はますます抽象的になる。現状はそんな悪循環に陥っているように思えます。

 そんな「困ったちゃん」の筆頭格が市議会でこの問題を所管する民生福祉委員会の委員長である高柳議員です。同議員がどれだけ間違った理解をしているか、少し古くなりますが、昨年の9月議会の一般質問を例にとって説明します。

 これが、平成23年9月9日の議事録です。同議員の発言を紺色で示します。まずはこれ。

 内部被曝の概要を申し上げますと、ストロンチウム、プルトニウムなどの透過性の低いアルファ線やベータ線を出す物質が鼻や口等から吸入され、体内にとどまり、長期にわたり体の内部へ直接被曝し続ける状態です。

 内部被曝について正しく理解されてません。
 第1に、「長期にわたり」の部分が間違いです。内部被曝でもヨウ素131のように半減期の短いものや希ガスのように体内からすぐ排出されるものは「長期にわたり」ません。一方、利根沼田での外部被曝は主に地面から出ているセシウムからのガンマ線によるものです。こちらは、住んでいる限り被曝し続けますので、こちらの方が「長期にわたり」ます。セシウムの内部被曝も長期ですが、少なくとも、内部被曝が外部被曝よりも長期にわたると言うことはありません。
 第2に、「身体の内部へ直接被曝し続ける」も間違いです。直接被曝と間接被曝というのは原爆での話です。直接被曝とは爆心地で爆発直後に爆弾から直接浴びた被曝、間接被曝というのは爆発から時間が経って、放射能を帯びた付近の土壌や放射性降下物によって浴びた被曝です。利根沼田での被曝に直接と間接を区分する必要はありませんが、あえて分ければ、すべて間接被曝です。
 なお、内部被曝を引き起こすのはアルファ線、ベータ線だけではありません。ガンマ線も内部被曝を引き起こします。その効果はかなり大きくとても無視できるものではありません。また、ベータ線源を皮膚に近づければベータ線でも外部被曝を引き起こします。原子核からみれば、外部被曝も内部被曝も同じです。次に行きます。

外部被曝の原因となるガンマ線という透過性が高く薄いコンクリートや鉄などは通り抜けてしまうセシウム等と異なり、ガイガーカウンターなどの計器で容易に計測できないのも危険な特徴です。

 これも間違いです。
 繰り返しになりますが、ガンマ線は外部被曝の原因にもなりますが内部被曝の原因にもなります。
 また、セシウム134、137はガンマ線だけでなくベータ線も出します。ベータ線を出して崩壊する際に余ったエネルギーをガンマ線という形で出しているのです。これに対して、ストロンチウム90はベータ崩壊する際にガンマ線を出しません。プルトニウムもアルファ崩壊する際にガンマ線を出しません。アルファ崩壊、ベータ崩壊する際にガンマ線を出す核種はガンマ線を測定知ることが出来るので検出が容易ですが、出さない核種は検出が難しいのです。
 また、ガイガーカウンターはベータ線を検出しやすいです。ベータ線を検出できないのは、市で貸出をしているシンチレーションカウンターと呼ばれるものです。ただし、シンチレーションカウンターの方が性能が劣るかと言えばそうではありません。空間線量率を測るにはベータ線は検出しないシンチレーションカウンター方が適しています。次に行きます。

内部被曝という言葉が、最近になってマスコミ等でもようやく大きく取り上げられるようになりました。人体の新陳代謝の活発な子供たちや母体へ影響を与えやすいとされ、事態の深刻さは甚大と言わざるを得ません。

 これも間違いです。
 内部被曝であろうが外部被曝であろうがシーベルトで表す被曝量が同じならば人体への影響は同じです。シーベルトとは人体への影響を統一的に表すという目的で造られた単位ですから当然です。また、内部被曝だからと言って、子供や母体への影響を与えやすいということはまったくありません。
 あえて違いをいうなら、むしろ逆です。外部被曝の場合は同じ場所にいれば子供も大人も同じ被曝量になりますが、内部被曝では事情が異なります。体重あたり同じベクレル数の放射性物質を摂取した場合、新陳代謝の活発な子供の方が大人よりも被曝量は少なくなります。(注意:一般的には子供の方が単位体重あたりの食物摂取量は大きくなります。また、シーベルトが同じならば子供の方が大人よりも健康被害を受けやすいとされています。)次に行きます。

けさの朝日ですけれども、海の放射線量が1.5京ベクレルというのが1面に出ていました。

 放射線量にベクレルはありません。単に言い間違いなら良いですが。次に行きます。

それから、この影響です。すぐに影響は出ないということがまたつらいところなんです。最短でも2年。一般的には5年後から内部被曝の被害というのは出てくる。潜伏期間がありますから。そのときに後悔しても遅いんだということは再度認識していただければありがたいです。

 これも大きな間違いです。
 外部被曝も内部被曝も晩発性の影響(発癌率の上昇)が出るまでの時間は同じです。また、内部被曝であっても、短期間に100ミリシーベルト以上の被曝をした場合は急性の影響が出ます。
 それにしても、「すぐに影響が出ないことがつらいとは」呆れます。まるで健康被害が出ることを期待しているかのような発言です。思わず本音が出たのでしょうが、これは議員辞職に匹敵する大失言だと思います。次に行きます。

そうじゃなくて、今でもちゃんと資料をとっておけば放射線との因果関係ははっきりわかるわけなんで、そのためにもぜひアンテナを立てて具体的対策をとってもらいたいということなんです。

 これも大きな間違いです。
 因果関係など解るわけがありません。晩発性の影響(発癌率の上昇)は確率的影響です。同じ量の被曝をしても癌になる人もならない人もいます。被曝量に応じて癌になる確率が増えるとされているだけです。
 がんの原因は被曝だけでなくさまざまなものがあります。さまざまな要因が重なり合って癌になります。したがって、癌になったあとから、何が原因で癌になったなんて解りません。それが確率低影響です。だから、被曝による影響を調べるのは疫学的調査(統計的調査)しかないのです。しかも、100ミリシーベルト以下の低線量被曝では、他の要因の変動幅に埋もれてしまい疫学的調査でもはっきりとしないのです。これが学説が別れている原因です。
 利根沼田での事故由来の内部被曝などせいぜい年間0.1ミリシーベルト程度です。この程度では癌になっても因果関係は絶対にわかりません。だからこそ難しいのです。だからこそ念のために、少しでも被曝量を低減させようとしているのです。これに対して、急性の影響は因果関係が解ります。次に行きます。

 ボディホールカウンターという、これはガンマ線を中心に検査する機械ですが、全国で32台しかない。それをもっと活用して、文部科学省はできない理由はないとおっしゃっているので、ガンマ線から推測してベータ線、アルファ線の推量をはかるわけです。

 どうも、ホールボディカウンターで、ストロンチウム90やプルトニウムの内部被曝が推量出来ると誤解されているようです。ホールボディカウンターはガンマ線を計測するものですから、ガンマ線とともにベータ線を出すセシウム134、137による内部被曝を推量することは出来ますが、ガンマ線を出さないストロンチウム90やプルトニウムの内部被曝はまったく推量出来ません。
 ストロンチウム90やプルトニウムは簡単には計測出来ないのですが、手間のかかる方法で計測した結果、ほとんど問題にならない量であることが解っています。次に行きます。

最後に、教育長、市長も同じなんですけれども、これは正確さは変わるかもしれませんけれども、「世界もおどろく日本の基準値2000ベクレル」というのがあるんです。インターネットで引くと簡単に出ますけれども。これ比較をしますと、簡単に言うと、外国から放射線量が含まれている物質を輸入する基準よりも今の日本の暫定基準値というのは高い。事子供に関しては倍高い。これは思想とか信条ではなく、単位をそろえるだけではっきりしちゃうわけです。WHOの基準なんかよりも全然高いし、日本が輸入するときよりも高い暫定値なんです、今の基準は。

 デタラメです。
 同議員が引き合いに出した世界も驚く日本の基準値2000ベクレルは有名なデマです。農水省から都道府県に出された公式文書に掲載されているこの表を見れば解ります。(下の表をクリックすると大きく表示されます)
20110712_2159907
 世界の基準はコーデックスです。日本の暫定基準値はEUとほぼ同じで、ヨウ素に関してはコーデックスよりも高いですが、セシウムに関しては低いです。「世界もおどろく日本の基準値2000ベクレル」にだまされるなという丁寧な解説もありますので、興味のある方は読んでみて下さい。また、飲料水の基準については以前このブログで、放射性物質基準「日本は10倍厳しい」のウソもウソ という記事を書きましたのでそれも参考になると思います。WHOの基準よりも全然高いなどと言うことはまったくありません。(上級編;コーデックスの基準値は汚染された食品の流通率をどう考えるかによって大きく変わります。ここに示した基準は流通率10%で造られています。これを100%とすれば、10倍厳しくなります。4月からの新基準値は流通率50%と100%で造られています。そのため、コーデックスよりも厳しい値となっています。)

 こうしてみると高柳議員が放射線問題について言っていることはほとんどすべて間違いです。放射線とは何か、被曝とは何かといった基本的理解が出来ていないことが原因だと思います。基礎的な勉強を怠ったまま、はじめに反対ありきで思考停止したどこかの市民団体が無責任に発信している情報を鵜呑みにしてしまっています。事実を確認し、自分の頭で考えるということが出来ていません。
 そのような間違った理解のまま、市にホールボディカウンターでの計測をしろとか、市独自の対策をしろとか、およそ無理難題としか思えない要求をしています。これでは、たまったものじゃありません。同議員は風評被害の発信地にすらなっています。
 そんな、トンデモではなく、沼田に必要なのは、正しい情報に基づいたオーソドックスな地に足のついた着いた対策です。そしてそれを実行するには、市民協働こそがふさわしいと思います。

 委員長には大いに反省して一から勉強をし直して欲しいと思います。そして、地に足のついた着いた対策の推進役となって欲しいと期待します。それが出来る人物だと思うからこそ、あえて苦言を呈しました。(杉山弘一)

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除染計画と勘違い委員長の弊害を参照しているブログ:

コメント

高柳さん、お気の毒に。あなたのお考えが間違いだらけなことを徹底的に指摘されましたね。この問題の難しさは、問題を理解することの難しさなんです。それには原子物理学をイロハから勉強しなければなりません。物理学の初歩を勉強するには時間がかかります。初歩が難しいのです。しかしその初歩の知識がないのに発言すると滑稽な間違いが頻出し、せっかくの提案が見当違いの迷答になってしまいます。今日という時代の難しさは、専門知識がないのに、高度に専門的な問題について考え、判断をしなければならなくなることです。しかもその判断いかんに大勢の命がかかっていたりするからです。高柳さん、見当違いはあなただけではありません。ではどうすればいいか? まず焦らぬことです。ことは急を告げています。急がねばなりません。しかし、こんなときこそ、急がば回れ、と初歩の勉強を始めるのです。中学校の知識しかないひとは、中学校から、高校なら高校程度からでいいから、初歩の勉強を始めるのです。勉強というものは不思議なもので、中学校程度からでもしっかりやれば、いつか高校レベルになり、やがてかなり専門的な本も読めるようになります。この急がば回れをやれないで焦って発言すると、頓珍漢なことを口走り、やたら事態を紛糾させ、いいことはひとつもありません。高柳さん、あなたがやっているのはその頓珍漢な迷惑行為です。行政は議員が言うことはたとえ間違いだらけでも対応しないわけにはいきません。時間が取られます。高柳さん、杉山さんのような専門家の話を理解できるだけの勉強をし、次にはよく聞きなさい。杉山さんは根がやさしい、親切なかたですから、あなたが間違っている部分をこんなに懇切丁寧に教えてくれています。杉山さんに講義をお願いしてみてはどうですか?今度の事故が起きた時私は杉山さんが個人的に自宅で開いてくださった勉強会に出て初歩のおさらいをしました。わたしが物理学の勉強を学校(高校)でしたのは今から五十年以上前です。さびで固まっていた物理学の初歩の知識は、さびを落とすと光が蘇りました。先へ進むことができそうです。高柳さん、七十五歳の老人が言っているのです。あなたはまだ若い。勉強してください。峯崎淳

 高柳議員がまともな勉強をせずに単なる思い込みから危機感を煽っていることは9月議会のこんな発言から解ります。

<はっきり申し上げて、推進をして、そんなに心配ないという学者の皆さんと、とっても心配ですという学者の皆さんがいらっしゃいます。私は、とっても心配ですということをまず信用して事に発しなければ、>

 学者を、まず、原発推進派、反対派に色分けをして、危険だという学者の説を採るべきたと言うことです。中味の是非は問わないというのですから、完全に思考停止に陥っています。

 放射線の身体影響を学問的に調べること、そしてそのリスクを正しく判断することは 原発推進か反対かという政治的立場とはまったく関係ありません。原発反対の道具に放射線のリスクを使おうとした時点で、学問的に正しい評価を放棄しています。これは原発推進派にも言えることです。
 まずは、そういった政治的立場から離れて、純粋に科学的評価をする必要があります。政治的判断はそのあとです。政治が科学に介入したらろくなことになりません。これは、歴史が証明していることです。
 
 私が、放射線の問題を勉強するのにお勧めしているのは、研究の傍ら原発反対の運動を長く続けてきた放射線防護学者、安斎育郎、野口邦和の著書です。
 http://numata-city.kazelog.jp/numata/2011/07/post-7636.html

 高柳議員が支持してるらしい社民党が、瓦礫広域処理に関する考え方を発表しています。

震災廃棄物(瓦礫)の広域処理問題についての論点整理 社会民主党

http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/protection/2011earth/pdf/120329_01.pdf

 だらだらと書いてありますが、瓦礫の広域処理は積極的にやるべきだが、絶対にやってはいけない、ということです。支離滅裂です。

 自分たちの政治的主張に都合の良い説を、中味を吟味することなく採用してしまった結果です。社民党が採用した説が、ことごとく間違いであることが明らかになっても、非を認めないから、収拾がつかなくなってしまったのです。
 まあ、まともなことを言う人達が党内に少しは残っていたのでこんな玉虫色になっているのですが、党首があっちの世界の人ですからねえ。
 あり得ないことですが、もし、社民党が政権とって、みずほちゃんが首相になったら、「放射線の健康被害について世界の定説であるICRP説を唱えることは禁止」とでも言い出しそうですね。

日本生協連による家庭の食事からの放射性物質摂取量調査結果です。

http://jccu.coop/topics/radiation/intakeresult.html

【概要】
250サンプル中239サンプルからは、検出限界以上の放射性セシウムは検出されませんでした。不検出が全体の95.6%にあたります。
1Bq/kg以上の検出が見られたのは11件でした。
放射性セシウムを検出した11家庭のサンプルと同じ食事を1年間食べ続けたと仮定すると、食事からの内部被ばく線量は、0.019mSv~0.136mSvと推定されました。*これは、新基準値の根拠である「年間許容線量 1mSv」に対して1.9%~13.6%にあたります。
放射性セシウムを検出した11サンプルの中央値は1.40Bq/kg(【表2】No.6参照)で、この食事について求めた1年間の内部被ばく線量は0.023mSv、「年間許容線量 1mSv」に対して2.3%でした。
原発事故に関係なく食品中に含まれる放射性カリウム(カリウム40)は、すべてのサンプルから検出されました。結果は11~58Bq/kgでした。

沼田市消費生活センターによる食品の放射性物質測定結果

http://www.city.numata.gunma.jp/news/jisin/housyasen/syokuhin/result.html

店舗等で購入した食品はすべて未検出でした。
自家栽培・採取した食品では新基準値越えが猪肉427Bq/kg、原木露地栽培のしいたけ470Bq/kgなどがありました。

脱原発と核燃料サイクル反対を主張してきた毎日新聞斗ケ沢記者の目

内部被ばく量のデータ
http://mainichi.jp/opinion/news/20120608k0000m070113000c.html

放射線被曝の問題について勉強するのにとても良い資料が出ました。

http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/radbookbasic/

 学習院大学理学部物理学教室の田崎晴明さんによる「やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識」です。
 これだけの資料を無償で配布する心意気には感心します。こういう良心的な学者を大切にしないといけません。

 同じ学者でも、デタラメな内容の本を何冊も書いて印税を荒稼ぎしている武田邦彦、小出裕章氏らとはとても比較になりません。

放射線被曝の問題について勉強するのにとても良い番組が出来ました。福島の民報TUFチャンネルが造ったものです。
youtubeにアップされています。

http://www.youtube.com/playlist?list=PLB37697A9F5224D21&feature=plcp

原発への公聴会が始まりました。
小さい疑問があります。たぶん見当違いと思いますが・・・

福島の原発の事故。あるいは事件。

原発の技術は完璧で間違いなかったと思うのです。
自然にせよ人為的であるにせよ、施設に加えられた外部要因が閉じた環境では完璧な技術を破壊した。

これについてメディアが伝えないから届かないのか、黙して嵐の過ぎるのを待つのか、核技術の専門家の声が聞こえない。

危険な発電所という批判に対して、「核技術」は完璧であると反論してくれれば、福島の事故・事件の要因があぶり出されると思うのだが。

設置場所が津波の届くところであった。
これは核技術そのものの問題ではない。

地震で冷却パイプが破断した。
これも核技術の直接の問題ではない。

いったん発生した不都合に対処するために
いきなり首相が直接指揮する異常。
これも核技術に関係ない。

核技術者があえて声を出すことにより、
福島の問題で、ヒステリーになっている
推進・廃止の両者が我が国の根源的な短所に目をつむって何も解決しないまま、問題を先延ばしにしようという状況があらわにされると思うのだが。

「失敗の本質」に指摘された沢山のことが
いま又繰り返される日本的状況がただされることなくどちらかの結論へ到着する歴史時計の緩い進展に我慢できない。

原発を維持しようが廃止しようが
おろそかにしてよい問題ではない。
真っ先に洗い出して制度の改定にまで手を加えて、さて、再稼働すべきや否・・と思うのです。

電気料について世界では利益を生ずる者の
使用料は当然、家庭のそれより高いという。
当然でしょうという。

これも企業へコストを転嫁したら、国外脱出されてしまうという経済界の脅し文句と事情が違うような。

だいたい現在それ以外の事情で企業は開発途上国へ転出しているはず。

△熱中症予備軍△

△熱中症予備軍△さん

<原発の技術は完璧で間違いなかったと思うのです。>

 設計に携わっていた経験からするとだいぶ違う感覚を持っています。
 原発の技術(原発に限らず)は間違いだらけです。間違いだらけのものを何とかまとめ上げて使える物に仕立て上げていく作業が技術の核心だと思います。

 また、「核技術」という言葉を使われていますが、核技術というと炉心のウランや中性子の挙動などを取り扱う技術がイメージされます。それは間違いではありませんが、原発の技術全般を表すにはあまり適切ではないと思います。原発の本質は巨大なプラントです。配管やバルブの集合体です。人間の集合体が、設計し、自然の中に建造し、運転する物です。
 人間との関わり、自然災害との関わり、社会経済との関わりなどを抜きにして考えることは出来ないものと思います。
 また、原発事故の問題を日本的状況に求めることには違和感があります。国会事故調も終身雇用制度を事故の遠因にあげていますが、全く賛成できません。
 なぜなら、終身雇用制度のもとで造られてきた日本の技術は決して劣ってはいないからです。新幹線はTGVに比べて見劣りをしません。ハイブリット車は世界一でしょう。火力発電、地熱発電などでも日本のメーカーは世界のトップランナーです。
 福島原発事故の原因はもっと深く考えるべきだと思います。

杉山さん
早速ありがとうございます。
素人の悲しさ。用語の定義の曖昧混用など記述中から心配していました。
<人間との関わり、自然災害との関わり、社会経済との関わりなどを・・

専門の科学者が基本技術を解説することで、日本国内に展開する具体的な施設の不具合や危うさが明確になるはずだと考えたのです。
日本的状況というのは、これは戦争体験者の永井さんにお教え願いたいのですが、4年または十五年に及ぶ戦争を遂行した日本の最高の叡智が誤っていたのかいないのか、仮に正しくなかった(このいいかえにおとしはありません)としてそれは戦後ただされたのか。
農地解放や新民法・憲法制定などでただされたことはなかったと思うのです。
国民の頭脳で国民の議会においてただの一度も大東亜というか太平洋戦争というかこれを検討したことがなかった国民です。
復興の命題の元に、国民一丸となって原因を考えることなくしたがって自国民の発意による責任追及をおろそかにして経済復興を成し遂げたのです。
日本的状況、日本的「負」の状況は制度はもちろん精神的にも六十年前と変わることなく存在し続け、一つの行政区域が消滅する事態にもかかわらず、将来の原発の存在を問いかける政権というのが、国民一般の性質であるようにもみえる様子を言いたいのです。
かわらないところを日本的状況と称してみました。このようないわば利根沼田的な心優しい友愛に満ちた国民が原発のようにひとたび事故や災害に見舞われたときの悲惨な事態とそれが長い年月にわたる対処を必要とする施設を持つことを、原因や責任追及などまでの思索を抜きにして、問い掛けまたそれに応じる劇場の嘘くささにどちらさまもそれでいいのかな、と。
専門家の皆さんの声がいずこかにあるものを、拾って届けてくださるチャンネルがないのかとも。
ぼんやりと東京の反対大集会の報道画像を見ておりました。

△熱中症予備軍△


 将来の原発依存率を今選択しようなどというのは、全く無意味なパフォーマンス、ガス抜きだと思います。

 まず、2030年、20~25%の選択肢ですが、実現出来ないと思います。なぜなら、再処理工場が稼働しない現状では、使用済み燃料の行き場がないからです。各原発にある使用済み燃料プールはすでに埋まってきていますから、あと18年分も貯蔵できません。
 また、0%の選択肢ですが、これは代替え電力が確保できれば数字上は可能です(これは再生可能エネルギーでは無理ですから、火力に頼らざるを得ないと思います。燃料調達と温暖化の問題をどうクリアするかがポイントになると思います。経済問題も無視できないと思います。)。
 しかし、廃炉は、この選択肢をとっても、おそらく1基も出来ないでしょう。廃炉にするには、使用済み燃料を取り出す必要がありますが、行き先がなく取り出すことが出来ないからです。
 約16万キロワットと小さい新型転換炉原型炉「ふげん」ですが、9年前に廃炉を前提に運転が停止されましたが、廃炉出来ないままです。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120322/trd12032219320017-n1.htm
 これが現実です。全原発即廃炉などという要求は絵空事です。「何も考えていません」と言っているのと同じです。
 今選択すべきは、原発依存度よりも再処理を続けるか否かの方でしょう。この点、廃炉を急ぐには(とは言っても20年以上かかります)再処理工場の稼働を急ぐしかありません。それは、再処理開発を続けるという選択肢です。やれば何とかなるでしょうが、それは問題を先延ばし、大きくするだけのように思います。直接処分を選ぶか、ひとまず、中間貯蔵で数十年の時間を稼ぐというのが賢明だと思います。
 いずれにしても、使用済み燃料の中間貯蔵施設の建設こそ必要なことです。どの選択肢をとるにしても、やらなければなりません。
 問題はどこに造るかです。原発サイトに造り、これまでどおり、負担を強要するのか、それとも、電力消費に応じた負担をするのか、つまり各県につくるのか、その選択こそが何よりも重要だと思います。

 しかし、東京や群馬にもつくるということになれば、反対運動がすごいでしょうね。瓦礫受け入れ反対の比ではないと思います。その結果、原発サイト内に造らざるを得なくなるでしょう。また、廃炉を急ぐことは、被爆労働を増やすことです。

 なお、よく10万年貯蔵が必要といわれる最終処分地ですが、こちらは、中間貯蔵施設の問題が解決したあとの問題として残ります。国内に適地があるかすらわかりません。

「熱中症予備軍」さん の問いかけに、回答にはならないでしょうが、1920年生の人生体験を基盤とした私の想いを述べて、(日本的状況) の我が国を、他の国々が模範としたくなる様な国(例えばスイスの様な)にする発想を、挙国一致(戦時中を思い出
す)、立ち上げて欲しいと希います。

私はこんな考え方をしています。
1) 世の中(世界)で、総ての人が絶対に(正しい)と言い切れる事例は見つからない。甲論乙駁、宗教戦争とも言われる争いもある。
2) 真実の追求は、結論の達成まで努力すべきだ。十五年戦争に至った原因、経過。515事件・226事件から軍国主義と称された軍人政権の誕生
3) 原子力発電の依存からの脱却
  広島・長崎での原子爆弾の体験者が、制御不能(未知)である原発からの脱却は当然だ。然し、運転休止の原発の地震・津波等の事故による被害が、運転中の原発と、あまり変わらないとすれば、撤去まで数十年間を要する由なので、過渡的な運転は止むなしと思う。政府は、脱却の方針、計画・日程等を公表のこと。 
4) 政治の力は偉大である。戦争だってやれるのだ。災害地の復興計画など、政治家が協力・団結すれば、国家的自治体の建設など、たやすいことだ。予算の捻出など、難しいことではない。
 大東亜戦争開戦から敗戦まで駆逐艦乗艦参戦   永井 羊一

<運転休止の原発の地震・津波等の事故による被害が、運転中の原発と、あまり変わらないとすれば>


 原発のリスクは、炉心のリスクと使用済み燃料プールのリスクに分けて考えるとわかりやすいと思います。

 炉心のリスクは、発電するか否かで大きく変わってきます。
 発電していれば、発熱量が大きいですから、冷却不能になった場合、数時間で炉心溶融が起こります。発電していない場合、炉心から燃料を取り出し済みであれば、炉心溶融のリスクはゼロです。また、燃料が残ったままの場合、運転停止からの時間によって炉心溶融が起こるまでの時間が変わってきますが、数日から数十日は大丈夫です。
 一方、使用済み燃料プールについては、発電するかどうかは関係ありません。常に、燃料棒が融けるリスクがあります。さらに、格納容器の外ですから、もし融けた場合、放射性物質が即環境に漏れることになります。もっとも、融けるまでの時間は数日から数百日の余裕があります。
 
 基本はこれですが、発電中の炉心の事故が使用済み燃料プールに波及することを考えると、発電していた方が使用済み燃料プールのリスクが高いことになります。しかし、発電が停止していると所内電力が使えませんから、使用済み燃料プールの冷却系が停電で止まるリスクは大きくなります。また全原発停止で電力が不足して不安定になれば、やはり、停電のリスクが高くなります。この場合、通信や交通網なども乱れますから、避難のリスクも高くなります。また、発電停止中は原発の保安管理体制も落ちますからリスクは高くなります。非常用ディーゼルの分解点検などもその間の停電リスクを増やす要因でしょう。
 
 また、原発の事故が地震津波で起こるという昨今の議論には大きな違和感を感じています。確かに地震津波は事故の大きな要因です。しかし、スルーマイルもチェルノブイリも、地震津波がきっかけではありませんでした。もし、次に事故が起きるとしたら、地震津波がきっかけではないように思います。今は、想定していない、想定できない何かがきっかけで事故が起こるのではないでしょうか。それが何かを考える事の方が重要な気がしますが、地震津波にばかり目が行ってしまいその検討がおろそかにならなければいいと思います。

永井様には突然お名指しし、失礼のほどお詫びいたします。

原発技術を図鑑で見たのは中学校最後の夏休みが終わり利根郡の早い運動会の練習の時期だったか曇りのうっとうしいような下校間近の図書室でした。沼田の書店から図書室へ届いたばかりの一冊でした。DNAのらせんの図もついていました。
とても完璧でエネルギーについては無限に使い続けることができると、とても安心した記憶があります。人形峠など言う地名も劇場的にすてきでしたね。炭鉱の廃止やら、坑内の落盤爆発など不安な日々でもありました。

原発の稼働を停止すればすぐにでも、放射能汚染のリスクから解放されるという国民が、たとえば先日のデモに参加した親子のなかにも相当数いたのではないでしょうか。

自分がそうだからとひとまとめにしてはいけないと思いますが。

杉山さんのお話の通りとして、やはり問題は管理するシステム、緊急時のシステムに
問題が戻ると思います。これが六十年おざなりに放置されてきたというのが一番の不安なことです。

惚れて捨てられた経験豊富な心配性は、ほぼ絶望感に満たされています。
暑い夏です。

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