肥田舜太郎氏の説を信用してはいけない
またまた、敵を増やすことになりそうですが、言わないわけにはいきません。
3月24日、利根沼田9条の会7周年の集いで、「放射線被害の実態に迫る」と題する肥田舜太郎医師の講演会があるそうです。肥田医師は自ら広島で被曝医師としてのべ6000人を超える被爆者の診察を続け、その経験を下に元原発運動に関わってきた尊敬に値する方です。しかし、臨床と放射線の健康影響の学問的研究は別物です。
御年今年95歳、氏の主張する原発ぷらぷら病は専門医の間では、臨床的にもまったく認められていない代物です。また、鼻血や下痢は低線量の内部被曝のせいだと言っている時点で医学的には信頼に値しません。残念ながらデタラメと言い切れます。専門家の書いた本を読めばすぐ解ります。肥田さんの論文リストをみても専門的なものは見当たりません。60年の間に放射線医学は大きく進歩したのです。
野呂美加さんのように不安商法をしているわけではないので、心底善意で活動されているのだと思いますが、その分信じてしまう人も多く、問題はかえって大きいかも知れません。野呂美加さんも肥田さんの言説を引き合いに出して、おかしな商品を勧めています。
9条の会のように民主的な活動をしている方たちが肥田さんの説を信じやすいことも問題を複雑にしています。
しかし、考えてみて下さい。肥田さんご自身も広島で被曝されているのです。そして、95歳になろうとしているのにお元気に講演活動を続けられています。肥田さんの健康がご自身の内部被曝脅威論が間違いであることの証拠としか思えません。
同じ日に、沼田市主催で、日本原子力開発機構の小林泰彦さんの講演があります。小林さんは原子力開発機構で放射線と生物の研究をされている方で、群大の重粒子線治療センターの客員教授も兼任されています。原子力発電とは無縁で、放射線の人体への影響について最前線の仕事をされていて、講演の内容は信頼できるものです。
利根沼田9条の会の関係者には申し訳ありませんが、肥田さんの古く誤った説を聞くよりもはるかにお勧めです。
これまでさんざん行政に楯突いてきた私が、9条の会の講師を否定して、沼田市の選んだ講師を持ち上げなくてはならないのはつらいものがありますが本当のことなので仕方ありません。(杉山弘一)
原発の廃棄を唱えるのは結構だが、一ベクレルの放射能も許さない、という主張はいかがなものか?勇ましいけれど、科学的事実に合わない。今度の事故でにわか勉強して知ったのだが、自然の状態でもわれわれは放射能に被曝していて、一ベクレルの放射能も許さぬ、などということはナンセンスなのだ。
そういう手合いに限って、自分だけは放射能の被害から逃れたいと、詐欺師の売る偽薬の類に簡単に引っかかる。放射能汚染に効く妙薬はない、というのが科学的事実なのに。
このような無知で我慾が強い人ほどあさましい姿で狂奔するようだ。自ら風評を流布し風評被害を掻き立てるのもそうした手合いだ。
詐欺師を呼んできて騒ぎ立てるのだけでもせめて止めて貰いたい。(峯崎淳)
投稿: 峯崎淳 | 2012年3月22日 (木) 12:55
かつて放射性のラジウムは身体に良いものと誤解されていました。今でもラジウム温泉という形で残っています。
大正時代、銀座に「マダムキューリーキャバレット」というカフェが出来て客にラジウムから発生した放射性物質を含ませた水を飲ませたり、放射性ガスを吸引させたりしていたそうです。
また、ラジトールといわれるラジウムとメドトリウム水溶液が160種類の病気に効く副作用無しの飲み薬とされ、アメリカで特許まで取られて販売されていました。
ともに無知と金儲けが絡んだ結果です。野呂さんの勧める妙薬も似たようなものです。昔から放射能は詐欺師にとって美味しいものだったようです。
投稿: 杉山弘一 | 2012年3月22日 (木) 13:58
肥田舜太郎さんの著書『内部被曝』に関してのツイートまとめ
http://togetter.com/li/279843
投稿: 杉山弘一 | 2012年3月30日 (金) 14:57
肥田舜太郎氏の新著「内部被曝」に対しては国際連合大学名誉副学長の安井至氏も厳しい批判をしています。
http://www.yasuienv.net/IntExpHida.htm
投稿: 杉山弘一 | 2012年4月 1日 (日) 17:23