アナザー Another(2011)
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【解説】 コミック化、アニメ化もされるなど評判を呼んだ綾辻行人の同名ベストセラーを「麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜」の山崎賢人と「告白」の橋本愛主演で実写映画化した学園ホラー。地方の中学校に転校してきた主人公が、謎めいたクラスメイトの少女を巡って恐怖の死の連鎖に巻き込まれていくさまを描く。共演は袴田吉彦、加藤あい。監督は「オトシモノ」「アベックパンチ」の古澤健。 1998年、春。父親が海外出張のため、しばらく叔母である三神怜子のもとで暮らすことになった15歳の榊原恒一。引っ越して早々、持病の発作で入院した彼は、眼帯をした謎めいた美少女と出会い、気にかかってしまう。ようやく退院し、転校先である中学校の3年3組に登校すると、そこに病院で出会った眼帯の少女、見崎鳴がいた。しかしほどなくして、クラスメイトの全員が彼女が存在していないかのように振る舞っていることに気づく。しかも、何かに怯えているようなクラスメイトたちに違和感を覚える榊原だったが…。 <allcinema> 【ウェブリンク】 【ユーザー評価】 下記フォームからあなたのこの作品に対する採点を投票してください。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
26年前に起こった事件を発端として、それ以来、次々と死者が出る現象が起こる年があるという夜見北中学3年3組。「死の連鎖」と聞いて真っ先に思い浮かべるのがあの「FD」シリーズだが、言うなればスパンの長い「FD」みたいなもんか。この現象に憂慮したクラスは、「いないもの」というおまじないのような存在を立てることで死者を鎮め連鎖が起きないようにする。要するに、担任教師も公認でひとりの生徒をハブにするわけだ。いじめが問題視されてるってのに、そりゃねぇよな。
そんなルールを課せられたクラスにひとりの転校生がやって来たことで、再び惨劇が引き起こる。クラスのルールを知らない榊原くんは、「いないもの」とされている見崎と接触してしまったことで、死の連鎖が始まる。クラスメイトから忠告を受けても、見崎のどこか謎めいた佇まいに、男子ならば抗しがたい魅力に惹かれるのも理解できる。状況をよく知らない榊原くんなら尚のこと。そういう意味では、見崎鳴役を橋本愛に振ったのは正解かもな。
遂に犠牲者が出たことで、榊原くんも「いないもの」とされてしまい3組には2人の「いないもの」がいることになったが、みんなが気味悪がっている見崎は接してみると、結構、愛らしいとこがある女の子だったりする。榊原くんと見崎はハブ同士で仲良くなってゆくが、この辺の青臭い描写、俺は好きだったりする。ほのかな恋心が芽生えているんだけど、お互いがそれに気付いていないところとか。が、この映画は青春映画ではないので、血まみれの惨劇へと突入してゆく!
原作は「このミステリーがすごい!」ということらしいが、ミステリー的な部分と言えば、クラスに紛れ込んだ死者がいったい誰なのか? ということなんだろうけど、終盤の合宿所でのくだりが「FD」+プチ「バトル・ロワイヤル」風な展開になるもんだから、そういうミステリー的な要素が吹っ飛んじまったような印象を受ける。死の連鎖と、それを食い止める謎ってのも、血まみれの惨劇のお陰で「へぇ、そうなんだ」程度で終わっちまうのが惜しいわな。あの人が死者だったてなオチも、な〜んか腑に落ちないしね。
俺はダイコンでも美味しく食べられるという、このサイトでは明らかな少数派なので演技に関してはそんなに気にはならないけど、学園を舞台にしたJホラーってのはどうも同じように見えちゃって、時にかったるく思えちゃうんだよな。生徒や教師が事故死とはいえ、ああもたくさん死んでるってのに、呑気に合宿なんか行くもんかねぇ。映画に必要以上のリアリティを求めるクチではないが、ちょいとばかり疑問符。死の扱いが軽いのは、ホラー映画にはよくあることだけどね。
中学生が主人公とはいえ、やってることはと言えば、かなりエグいんだよ。まあ、ホラー映画の専門家からすれば「たいしたことねぇよ」ってなもんだが、死の連鎖を止めるという大義があるにせよ、クラスメイトを殺めようとするんだから。その辺の不安定な心理状態は思春期だからこそなんだろうけど。やっぱ「バトル・ロワイヤル」に触発されて生まれた原作なんじゃろか? 一見さんの俺にはこの程度の感想が精一杯。
殆ど表情もなく、高揚感もなく淡々と喋る見崎鳴。ミステリアスなんだけど、普通の少女っぽさもどこかに残している。伏し目がちで眼帯着用という被虐性(?)も不思議な魅力を醸し出している。俺は「告白」ぐらいしか観てないけど、橋本愛、なかなかの逸材。「ゴメン、僕、なんかヘンなこと言った?」「言った。すごく、ヘンなこと」という榊原くんとの台詞のやり取りんときのテレくさそうな表情、イイ。ラストの、去って行く榊原くんを手を振ってずっと見送る見崎に、ボンクラどもはグッとくること請け合い。
水野くんのお姉さんの看護婦さん、佐藤寛子だとはしばらく気付かんかった。本当は加藤あいはもっといい女なんだけど、ありゃなぁ…。