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メンバーの裁判

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2011年12月21日 (水)

廃炉もいばらの道である

 岩手や宮城の瓦礫受け入れに堂々と反対している鬼蜘蛛おばさんですが、その一方で泊原発の廃炉を求めて札幌地裁に提訴されているそうです。しかし、こんな矛盾したことはありません。

  東北のお世話にならずに、いったいどうやって3機の原子炉を廃炉させるつもりなのでしょうか。

 北海道電力のホームページに使用済燃料の貯蔵数が公開されています。停止中の1号機には654体の使用済み燃料が貯蔵されています。使用済み燃料ピットの貯蔵容量は690体ですからほぼ満杯です。1989年から20年分以上の使用済燃料が冷却貯蔵されているのです。2号機も似たような状況です。停止中の1号機、2号機を廃炉にするためには、この使用済み燃料をどこかに持って行かなければなりません。そして持って行った先で、100年以上の冷却貯蔵(必ずしも水冷が必要なわけではありませんが、その場合でも空冷は必要です。)をしなければなりません。使用済み燃料の中にはたっぷりと放射性物質が入っていて、冷却が滞れば温度が上昇し燃料棒が融ける恐れがあります。また、地震などの外力で燃料棒が破損すればやはり、放射性物質が飛散する恐れがあります。そのようなやっかいな使用済み燃料をどこかで管理しなければ廃炉は実現しないのです。 

 泊原発では1,2号機の使用済燃料ピットが満杯にちかく今後の使用済み燃料の行き先が問題になっているからこそ、3号機には1440体もの容量がある巨大な燃料ピットを造りました。

 現実的には、1,2号機の使用済み燃料をすべて3号機の燃料ピットに移し、そのうえで、1,2号機を廃炉にするしかないと思います。そうすると3号機の燃料ピットもすぐに満杯になりますから、それ以上3号機も運転できなくなります。でも、3号機は廃炉に出来ません。1400体の使用済燃料を冷却保管しなければならないからです。
 ここで、福島第1発電所4号機の事故を思い出して下さい。冷温停止していた4号機が電源喪失によって使用済み燃料プール(BWRではプール、PWRではピットといいます)の冷却が出来なくなり事故につながったのです。泊3号機でもあの福島第1の4号機と同じ状態を受け入れざるを得ないのです。安全なはずがありません。これだけでは脱原発にはほど遠いのです。冷却には電力も必要ですから、いっそ発電したほうが良いという意見すら出てくるでしょう。

 使用済み燃料をもっと安全に長期間保管できる施設を造らない限り、どうにもならないのです。しかし、どんなに安全に造ってもリスクはゼロになりません。20年分以上の核分裂生成物つまり放射能がつまっているのです。瓦礫とは比較にならないリスクがあります。使用済みといっても核分裂性のウラン235やプルトニウム239もたっぷり残っていますから臨界管理も必要です。しかも、毒蜘蛛おばさんが信奉するアー二ー・ガンダーセンによれば使用済み燃料のも核爆発のおそれすらあるというのです(ガンダーセンがデタラメいってるだけで本当は核爆発はしません)。瓦礫の受け入れに反対する一方で、そんな施設をどこに造れというのでしょうか。

 もちろんこんな状態で原発を導入した電力会社にこそ非があります。しかし、出来ない事を求めても何も解決しません。どうやってリスクを受け入れるかを冷静に考えないと何も進みません。廃炉も出来ないのです。

 また、使用済み燃料輸送実績を確認すればわかりますが、泊原発の使用済み燃料は、燃料ピットに貯蔵されている分だけではありません。英国に35体、フランスに30体搬出しています。これが再処理され戻ってきたので北海道電力は今プルサーマルをやらざるを得なくなっています。プルサーマルで燃やすのは私も反対ですが、燃やさないとするとプルトニウムがつまったこの燃料をどこかで保管する必要があります。さらに、高濃度の廃棄物(発熱もします)も戻ってきます。これもどこかで保管する必要があります。どこも決まらなければ、泊原発サイトに一時貯蔵するしかありません。もちろん、瓦礫とは比較にならない大きなリスクがあります。

 それだけではありません。泊原発の使用済み燃料は青森県の六ヶ所村の再処理施設に280体も運ばれているのです。再処理施設はまだ試験運転をしただけですから、これらの使用済燃料は保管されているだけです。ここには日本中の原発から使用済み燃料が運ばれてきていますが、再処理施設は稼働していないので、いつまで経っても減りません。溜まる一方なのです。もう満杯になります。

 再処理はできそうもないしすべきではありませんから、なんとかこれを止めることが出来たとします。その後、「青森県は最終処分地ではない。再処理しない以上、使用済み燃料の受入は出来ない。こんな危険なもの持って帰れ。」となると泊原発はどうするのでしょうか。

 東北の瓦礫の受入を拒否する北海道に対して、東北にある青森の方たちがそう言っても責められないでしょう。隣県である岩手の方が言い出すかも知れません。なにしろ一番困っているときに瓦礫の受入を拒んだ憎き北海道ですから。一方、1、2号機を廃炉にすれば、3号機の使用済燃料ピットも満杯です。そのとき、どうするのでしょうか。

 それだけではありません。廃炉にすれば放射性廃棄物が大量に発生します。それの処分地を考える必要があります。東北の瓦礫を拒否しておきながら、六ヶ所村の放射性廃棄物埋設センターに核廃棄物の受け入れをお願いするのでしょうか。東北の人は被曝してもかまわないのでしょうか。それとも、汚染されてしまった東北にはもう人が住むなとでもいうのでしょうか。そんな勝手なこと、青森や岩手の方が承知するとは思えません。なにしろ一番困っているときに瓦礫の受入を拒んだ憎き北海道ですから。そのとき、どうするのでしょうか。処理施設を幌延に造りますか、それとも泊に造りますか。

 また、廃炉工事の過程である程度の放射性物質の飛散も避けられません。瓦礫受けいれと同じ論理でリクスゼロを求めると廃炉工事も出来なくなってしまいます。もっとも札幌や十勝まではとんできませんから、泊の方が多少被曝するくらいはかまわないというのでしょうか。

 八方ふさがりの中で解決策を模索していくことが脱原発です。これはそう簡単ではありません。原発を造って運転してしまった以上、被曝リスクゼロはあり得ません。

 そして、北海道が東北の瓦礫受入を拒否することは泊原発の廃炉にとって命取りになりかねないと思っています。(杉山弘一)

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廃炉もいばらの道であるを参照しているブログ:

» 瓦礫と廃炉問題に関する杉山弘一氏への反論 (鬼蜘蛛おばさんの疑問箱)
 群馬県の杉山弘一氏が、私の書いた「瓦礫の受け入れ拒否はエゴで、被ばくを恐れるのは愚かか?」という記事への反論をしている。以下の記事だ。それについて私の意見を述べておきたい。廃炉もいばらの道である(市民の目!沼田) 杉山氏は、瓦礫の受け入れに反対している... [続きを読む]

コメント

トラックバック元の鬼蜘蛛さんのブログを読んで悲しくなってきました。

瓦礫の放射能リスクの大きさのとらえ方の違いが意見が異なる原因だと思っていましたが、それ以外にも違いがあるようです。生き方がそもそも違うようです。

鬼蜘蛛さんの主張は、放射能で汚染された瓦礫は全部福島に集めるべき。北海道には瓦礫も核廃棄物も一切持ち込ませない。しかし、泊原発の廃棄物を六ヶ所村が受け入れていることは言及無しです。

そのうえで「裁判によって運転停止、廃炉の決定がなされたとしても、すぐに廃炉にできるわけではない。燃料の保管場所が決まらない限り、とりあえず使用済み燃料は泊原発の建屋内にあるプールに保管しておくしかないだろう。
(中略)
そのことも承知の上で、まずは運転停止と廃炉の決断を求めているのである。少なくとも私はそのように理解している。」

廃炉の実現可能性は二の次でなんですね。廃炉をさせることが目的ではなく、裁判闘争することが自体が目的としか思えません。運動家なんでしょうかね。

泊原発の廃炉を求めて提訴した方、みんなこんな考えなのかな。そうだとしたらとても付いていけません。

福島で苦しんでいる方たちがどう思うのかな。
利根沼田も被曝地ですから、被曝地を見捨てて瓦礫置き場にしろなどとは到底思えない。

初めまして。現在福島市に暮らす者です。こちらを知って未だ日も浅いのですが、とても勇気づけられております。

つい昨日まで、鬼蜘蛛おばさんとあちらのブログで(何故か同じ内容で2つあるんですね。それが普通なんでしょうか?私が書き込んだのはpart2の方です)やりあっておりました。とはいえ鬼蜘蛛おばさんを知ったのがつい最近で、その人物像をよく知らなぬまま、あまりの暴論に我慢できずに脊髄反射で書き込んでしまったということなのですが・・・。「話せば解るはず」と考えた自分の甘さに後悔と言うか、反省と言うか、やりきれない思いで一杯です。

『行っちゃった人』と言えばそれまでですが、なぜあそこまで独善的になれるのか、私にはとても理解できません。

オレンジ様

 コメントありがとうございます。
鬼蜘蛛さんpart2の書き込み拝見しました。すごい状況ですね。お疲れ様です。

 そもそも白血病は癌ですから、急性と言っても発症が急なだけであって、その原因は少なくとも2年以上前にあるはずです。

この点は医師でもあるNATROMさんの解説が詳しいです。
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20110830

とすると今急性白血病を発症し亡くなったことが事実だとすれば、その原因は福島原発事故による被曝ではないことが立証されたということです。これだけで調べるまでもなくデマである事は明らかだと思います。

 また、「10万cpmを超えガイガーカウンターが振り切れていたという」には笑ってしまいました。
 10万cpmとは1分あたり10万カウントですから、1秒あたりにすると1670カウントつまり1670ベクレルです。

 普通、人体にはカリウム40だけで約4000ベクレルあります(ガイガーには約1割しかカウントされませんが)。外部被曝と内部被曝を足せば、人体は自然放射線からだけでも100万cpm位は被曝しているでしょう。

 核種によって違いますから正確にはなんとも言えませんが10万cpmでは1年間で1ミリシーベルトにもならないでしょう。しかも、この時点ではたった数日でしょうから、急性症状が出るとされる100mSvにはほど遠い被曝量です。急性放射線障害が出たら不思議な量です。(もっとも、こんなこというと振り切れたのだから、10兆cpmの可能性も捨てきれないとの反論が来そうですね。)

 しかし、福島でつらい思いをされているオレンジさんに向かってあの言い方はありませんね。常軌を逸しているとしか思えません。

私も泊原発には反対なんですが、11月の提訴報告の集会の際、別海の方が「被災地の瓦礫を北海道に持ち込まないように、断固として闘おう!」と発言しました。

私は岩手県出身ですし、仲間も宮城、福島に住んでいます。

たしかに、北海道を第二の福島にしたくないという思いで、その方は発言されたと思うのですが、復興するためには、瓦礫の処分は深刻な問題です。

実際に杉山さんの講演を聴講させていただき、ブログを読ませてもらうと、本当に将来の日本の事を考えるのなら、瓦礫を受け入れて協力してほしいと願うばかりです。

泊も六ヶ所も、瓦礫異常に怖いところになってしまいました。でも、現実に原子炉は建ってしまったしピットは貯まるばかりですし…そちらの方が、はるかに恐怖です。下北半島近辺で大地震が来たら、多分、福島第一原発よりもはるかに大きな事故になるのでしょう。泊の近くにも断層があるそうですし…ここまで、あれよあれよと原子炉ができた今、「なんちゃら婆さん」には、中途半端な知識で騒ぎ立てるパワーがあるなら、もう少したくさんの人の話を素直に聞いて、何が正しく、何が間違いなのか、再度勉強してほしいと思いました。その婆さん、頭が堅すぎるし、困ったもんですね!

とにかく、瓦礫を受け入れてくれる地方自治体が増えることを願うばかりです。

オレンジ様

私のブログが二つあることについて説明しておきます。もともとは「チャンネル北国tv」でブログを始めましたが、共同出版問題に関わる記事で不当な削除要請があり、削除要請された記事をココログに移転しました。その後、同じ記事を二つのブログに掲載しています。不当な削除要請への対抗手段を持つためと、ブログ運営会社のサービス終了などの場合に備えて、二つのブログに書いています。疑問があるのでしたら、直接聞いていただけたらと思います。

田村恵様

「なんちゃら婆さん」とは私のことを指しているとしか思えませんが、そうですか? そうであるなら誹謗といえる表現です。私の発言に対し意見があるのなら、是非私のブログに同じ表現でコメントしていただけたらと思います。

今朝の松田さんのコメントを拝見し、松田さんのブログを訪問させていただきました。私が書いた「なんちゃらばあさん」について、訂正させていただきました。

杉山さんのブログなのに、私の書いた一言で、不愉快なコメントが残ることになり、すみませんm(__)m

さて、話題は変わりますが…八ツ場ダムって、本当に今、必要なんでしょうか?私は民主党が政権を握ってから、八ツ場ダムの存在を知りました。80%は完成しているのですよね。一都五県(神奈川県をぬかし)の水ガメになるらしいですが、調べてみたら、60年前から地元の反対運動やら、支流川の(吾妻川でしたか?)強酸性水との闘いやらで大変な道をたどってきていることを知りました。

3.11の復興もままならない中、巨額の予算を使うなら、社会保障関係(福祉、教育も含め)にお金は使うべきだと思うのですが…。

やはり、野田の消費税アップ政策を後押しするためのものなんでしょうか?

地元、群馬県民の杉山さんをはじめ、群馬県在住の方のご意見を聞かせてください。私は真実が知りたいので、正しい知識を伝えていただけると嬉しいです。

杉山弘一様

私は急性白血病で亡くなった方がいる可能性がある、と書いた記憶はないことを念のため申し上げておきます。

なお、大熊町の被曝遺体に関しては、以下の「院長さん」の記事が参考になると思います。
http://onodekita.sblo.jp/article/47795460.html

また、「院長さん」は白血病についても解説しています。以下の記事の最後に関連記事があります。ご存知と思いますが、「院長さん」は元東電職員で、福島第一原発にいらしたこともあるそうです。
http://onodekita.sblo.jp/article/47696763.html

環境省のホームページの災害廃棄物の広域処理に関する部分です。

パンフレットとビデオ
http://www.env.go.jp/jishin/waste/media_111121.html

説明資料
http://www.env.go.jp/jishin/attach/waste_koiki_mat20111206.pdf

一度みておく価値はありそうです。

田村 恵さん

 八ツ場ダムですについてですが、私は、同時期に警察裏金問題を担当したなどの事情から、八ツ場住民訴訟の原告にはなっていませんが、建設の必要性が解らないのですから当初から反対のスタンスです。
 ただし、昔は反対していた地元の方が今は早期建設を求めるなど(反対している方もいます)、ねじれ状態になってしまっています。反対運動と地元の方々の関係も微妙で、一緒に反対とはなりません。難しいです。

 泊の廃炉訴訟も泊村の方が名乗りを上げられない状況とお聞きしましたが、八ツ場と同じ状況にならないかは気がかりです。(かといってどうしたらいいのか解りません。)
 泊村の方はとても複雑な心境だと思います。福島の事故をみて同じことにならないか心配なはずです。その一方でそこが故郷生活の地ですから、危険性を過度に言われればいい気はしないでしょう。また、原発で働いている方も多いでしょう。
 本当に難しい問題だと思います。

杉山弘一さん、ありがとうございます。

ダム建設も原発問題も、そこに住んでいる人の、いろいろな問題があり、解決は難しいですね。

本音を語れない人もたくさんいますね。

以前、樋口健二さんが札幌で講演された時、質問の時間に発言された女性の方が、「兄弟も泊原発で働いていて、危険であることや無くしてほしいのは十分理解している。でも、自分達の生活がかかっている。年齢的に再就職は難しい。」と、現実の生活と脱原発の気持ちの板挟みの中で生きていることが切実に伝わってきて、本当に気の毒でした。

ダム建設での村人も、根底にあるものは泊村人の人と同じで、いろんなシガラミや葛藤により、発言できないことがたくさんあるのでしょうね。

でも、野田さんはマニフェストに反して、ダム建設を再開すると決定しちゃいました。野田さんによって、民主党は崩壊するかもしれませんね。

瓦礫処理については環境省のサイトだけではなく、こちらも合わせてご覧ください。

http://onodekita.sblo.jp/article/49107504.html

松田さんのコメントで紹介されたサイトで東日本震災で生じた宮城岩手両県の瓦礫の広域処理に反対しておられる青木泰氏の主張が取り上げられていましたので、青木泰氏が書かれた「週間金曜日」掲載記事「放射能汚染がれきや汚泥、剪定ごみは燃やしてはいけない」の感想を書きます。http://gomi54.cocolog-nifty.com/blog/files/031.pdf
残念ながらこの記事には事実を誤認したり論理が飛躍した部分があるように思われました。
一つ目は、2ページ目の一段二行から始まる「しかも七月に見つかった牛肉・稲わら汚染では、宮城、岩手でも露天においていた稲わらの高濃度汚染が明らかになった。環境省は当初、放射能汚染は福島県内のみと考え、福島県内のがれきは、福島県内で処理し、宮城と岩手のがれきは、全国に運んで処理するとした。環境省がこの方針をいまだに変えていないのは大きな疑問だ。このままがれきを全国に運べば放射能汚染を全国に広めることになる。」の部分です。
詳しくみてみましょう。
<しかも七月に見つかった牛肉・稲わら汚染では、宮城、岩手でも露天においていた稲わらの高濃度汚染が明らかになった。>これについては、宮城県も岩手県もHPで公表しています(宮城県http://www.pref.miyagi.jp/tikusanka/0400-souchishiryou/110715pr1.pdf
岩手県http://www.pref.iwate.jp/download.rbz?cmd=50&cd=33500&tg=3

が、汚染地域は2県の内陸の隣接地域です。そもそも問題になっている瓦礫は、津波が原因なので海岸線に存在します。
つぎに<宮城と岩手のがれきは、全国に運んで処理するとした。・・中略・・。このままがれきを全国に運べば放射能汚染を全国に広めることになる。>の部分ですが、宮城岩手両県の瓦礫を全国に運べば放射能汚染を全国に広めることになる。と言うことですから両県の瓦礫は全て放射能に汚染されていることが前提になった記述になっています。
 つまり、青木氏の論旨は、稲わらの放射能汚染という限られた事実を宮城岩手両県の全域までに広げ両県内の瓦礫が全て放射能汚染されているのだということになると思います。
やはり、稲わらの放射能汚染を理由に海岸線に存在する瓦礫が放射能に汚染されているとするのはかなり無理があるように思われます。これは、文部科学省が公表した「文部科学省(米国エネルギー省との共同を含む)による航空機モニタリング結果」http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/11/1910_111112.pdf

(29ページ)を見ても地表面へのセシウム134,137の沈着量の合計は、宮城岩手両県の海岸線では稲わらの汚染地域に比べて明らかに低くなっていますので、なおさらのことです。(蛇足ですが、150km~250km離れた関東地方の一部の地域に比べても低くなっています。)
 二つ目は、2ページ目の一段二十三行から始まる<放射性物質は、東北三県にとどまらず、東日本エリア全域に降り落ちている。>の部分です。根拠も示さず、いつの間にか東日本全エリアが放射能に汚染されていることになっていますが、これも、先に示した「文部科学省(米国エネルギー省との共同を含む)による航空機モニタリング結果」(29ページ)を見れば根拠の無いことが容易に分かると思います。
 青木氏が「週間金曜日」掲載記事「放射能汚染がれきや汚泥、剪定ごみは燃やしてはいけない」でいいたいのは、つまるところ「東日本全エリアが放射能汚染されているのであるからそこにある瓦礫は放射能汚染されているしたがってその瓦礫を全国各自治体で処理を引き受ければ放射能汚染は全国に広がる、これじゃ困るから瓦礫は引きとれませんよ」ということだと思います。
もしも私の理解が間違っていなければ、青木氏は誤認した「事実」を基にして論を進めていますので、この記事を信頼するのは難しいと思います。
また、心あるジャーナリストならば、現地に赴き瓦礫の放射線量を実測し(仮に出来ないとしても公表されているデータの吟味は不可欠でしょう)、
http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=%E7%81%BD%E5%AE%B3%E5%BB%83%E6%A3%84%E7%89%A9%E3%81%AE%E5%BA%83%E5%9F%9F%E5%87%A6%E7%90%86%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6&source=web&cd=1&ved=0CCsQFjAA&url=http%3A%2F%2Fwww.env.go.jp%2Fjishin%2Fattach%2Fmemo20111118_shori.pdf&ei=4mL1TrbvFMf0mAX23YiaAg&usg=AFQjCNF9v5HKrFW5atXEfVEV8_86mKRpfQ&sig2=rLQ2Ges9_SHmoLvRdQ1I1Q&cad=rja

さらに被災地域の住民の現状も理解したうえで、論陣を張るでしょう。しかし、青木氏はそれらに一切触れていません。

松田さん、情報提供ありがとうございます。

瓦礫処理の危険性を指摘するお気持ちは解りました。

 ただあなたの見解は
「汚染された宮城の瓦礫も岩手の瓦礫も関東のゴミも東北のゴミも燃やさずに、福島の高濃度汚染地域に集め、出来れば燃やさない方が良い。」ということですよね。

 そもそも、福島にそんなにゴミ置く場所あるのでしょうか。仮におけたとしても、当面は野積みにせざるを得ないでしょう。
 あなたは、フィルターではガスの分は取り切れないことを心配されているようですが、野積みのままの瓦礫が自然発火すればやはりガスが出るのではないでしょうか。その場合はフィルター無しですから、焼却炉で燃やすよりはるかにリスクが高いと思います。ガス以外も飛び散ります。あなたはそれによる被曝リスクをどのように評価されているのでしょうか。
 また、ガスは大気中に広く拡散しますから、福島で集め焼却しようが宮城・岩手で焼却しようが同じではないでしょうか。核実験によって世界中に放射性物質が飛び散ったことを思い出して下さい。福島に集めたところで、ガスによる北海道の被曝リスクはほとんど変わらないと思います。
 広域処理をしなければ、現地で焼却するにしても何年、何十年もかかってしまうのです。瓦礫置き場の周辺には人が住んでいます。学校も病院もあります。そこでは瓦礫の自然発火も起きています。セシウムに汚染されていれば放射性のガスも出ているでしょう。
 全員が避難すべきといわれるのでしょうが、避難先もないし、仮に避難先が決まったとしても安全に避難するには時間がかかります。その間確実にリスクがあります。現に危険にさらされています。そういう現状をどうすればいいと思われるのでしょうか。

 どうか被災地の悲痛な声に耳を傾けて下さい。リスクゼロでなければダメと反対するだけでなく、現実に差し迫った被災地の方々のリスクを少しでも低減させる方策を一緒に考えて下さい。

松田さん
 熊本の院長先生がお好きなようですがあまり信頼できるソースではないと思います。
 調べるまでもなく解る間違いについて指摘してきます。

1 前に述べたとおり、10cpmを検証もせず鵜呑みにしていたこと。

2 JCO臨界事故について
http://onodekita.sblo.jp/article/45881496.html

 JCO事故が、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の製造過程で起きたといわれてますが、これは全くの間違いです。常陽の燃料は約18%の中濃縮ウランです。院長先生、新聞記事を鵜呑みにしちゃたようです。これ、高速増殖炉に携わっていると常識の部類です。

3 崩壊熱について
http://onodekita.sblo.jp/article/46638181.html

院長先生は「しかし、びっくりするのは、停止から4ヶ月もたつのに23時間冷却が停止すると、100度を超える崩壊熱をいまだに持っていることではないでしょうか。」
といわれますが、4ヶ月後に崩壊熱が発生していても何もびっくりすることはありません。当然のことです。びっくりするのは、「100度を超える崩壊熱をいまだに持っている」との表現です。院長先生、どうやら熱と温度を一緒にされているようです。崩壊熱に100度も1000度もありません。
そして、発熱と除熱のバランスで温度は決まります。これ、高校の物理でやったことです。

4 無断引用につて
院長先生新聞記事をスキャンしてそのまま掲載していますが、著作権上問題を感じないのでしょうか。明らかに引用の範囲を超え、違法だと思います。法的センスも欠けています。
ジャンク情報と言わざるを得ません。

コメントで議論をする主義ではありませので、指摘されたことに関してのみ参考サイトを紹介していましたが、一言感想だけ書かせていただきこの場から去りたいと思います。時間の無駄だとつくづく感じたからです。その理由は以下です。

まず、岩上欣也さんの14:48のコメントにしても、杉山さんの15:23のコメントにしても、私が紹介した記事と同じ著者の別記事から批判できる部分を探し、「だからこの人の言うことは信用できない」といって視点をずらしてしまうことです。岩手県や宮城県の土壌が汚染されているのは以下の実測値からわかるように事実です。当然、瓦礫も汚染されています。汚染されているからこそ、問題になっているのです。
http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/af0194da58fd9e4a9c38bd3851e3d3ce
http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/0d48eedb3ef04edbbfa019411a968627

杉山さんは環境省のHPを紹介してフィルターをつけているから大丈夫だとおっしゃりたかったようですが、岩上さんのコメントによってバクフィルターが放射性物質をキャッチできるかどうかの話はどっかに行ってしまいましたよね。キャッチできないことを否定できないから、青木さんを批判することですり替えているとしか思えません。

院長さんの記事に誤りがあるならば、直接指摘して差し上げたらいかがですか? 誰でも間違ったり勘違いをすることはあるでしょう。しかし不適切な部分があったからといってその方の言っていることがすべて否定されるというものではないはずです。それとも、あなたは絶対に間違いや勘違いを犯さないのですか?

また、院長さんの無断転載を批判されるのであれば、岩上欣也さんが引用した週刊金曜日も無断転載ではないでしょうか。そちらの事例は批判しないのですか? 新聞や雑誌記事の転載は厳密に言うなら著作権法に抵触するかも知れません。しかし実際にはこのような転載はいくらでもあり、ほとんどが黙認されているのが現状です。院長さんだけをことさらに取り上げて批判されるのは意図的としか思えません。

岩上さんにしろ杉山さんにしろ、まるで、私の示した事例を否定したいがために重箱の隅をつつくようにあら探しをし、「批判のための批判」を展開しているかのようです。私と杉山さんの意見が平行線ならそれでいいではありませんか。人によって意見が違うのは当たり前です。なぜ論点をずらしてまで批判するのでしょう。

私が杉山さんを「教祖さま」と表現したのも、こういうことなのです。菊池誠さんの信者の方が菊池さんのブログのコメントで菊池さん擁護を展開し、ときに論点をずらして反論者を徹底的に攻撃するのとまるで同じです。

松田さん、気分を害してしまったようで申し訳ありません。

 瓦礫を野積みにしておくしかない現状のリスクについて言及して欲しかったですが、もうかなわないようです。まあ、そんなことはまったく考慮していなかったのでしょうから、どうしても触れたくないでしょうが。

 でも、松田さんには感謝しています。あなたのいわれる、すべて福島を始めとする東北に押しつけるしかない、という主張によって、多くの読者の方が瓦礫反対について理解を深めたと思うからです。一連のコメントおよびトラックバックありがとうございました。
 より一層のご活躍を祈念します。

>>菊池誠さんの信者の方が菊池さんのブログのコメントで菊池さん擁護を展開し、ときに論点をずらして反論者を徹底的に攻撃するのとまるで同じです。

おっしゃる通りw
過去ログ見ましたが、批判者に対し集団で徹底的に攻撃して吊るし上げてますね。
異様なものを感じます

ひねもすさん

コメントありがとうございます。

管理人として、論点整理が下手で申し訳ございません。

私が重要な論点だと思っているのは、瓦礫を野積みにしておくしかない現状のリスクをどう評価するかという点です。
 なお、ある証言を否定したいときに、その証人の別証言からウソや記憶違いを探し、だからこの証人の言うことは信用できないといって、証言の信憑性を落とすことは、裁判では良くやる方法です。
 廃炉訴訟に勝つためにはそのくらいのテクニックは覚えておいた方が良いと思います。
 また、裁判に勝つためには、頭の固い裁判官に理解してもらう必要があります。なんでこんなことも解らないのかと頭に来ることもあります。それでもじっと我慢して、丁寧に説明を続ける必要があります。この程度の議論で、投げ出すようでは、とても勝ち目はありません。
 また、低線量被曝の健康被害についていろんな説がありますが、裁判所がICRP以外を採用するはずありません。仮にどんなに正しいことを説明しても、バズビー説など絶対に採用されません。そんな極端な説を持ち出せば、心証を悪くして逆効果になるだけです。

 ところで、行政を批判して何度か住民訴訟を起こしたことがありますが、原告は私一人、被告が県知事以下幹部職員と県議合計30人以上ということもありました。それはもう、集団で徹底的に攻撃されましたが異様とは思いませんでした。これは、1審勝訴。2審3審引き分け。実質勝訴でした。

松田さん
 私の拙いコメントを読んで頂きありがとうございます。
 松井さんから「岩上欣也さんが引用した週刊金曜日も無断転載ではないでしょうか。」と著作権上の貴重なご指摘を頂きましたので、青木泰氏が書かれた「週間金曜日」掲載記事「放射能汚染がれきや汚泥、剪定ごみは燃やしてはいけない」のリンク先を当初の
http://hostingserver.sakura.ne.jp/data/kinyoubi-aoki.pdf
から
http://gomi54.cocolog-nifty.com/blog/files/031.pdf
へ訂正させていただきます。
 訂正したリンク先は、青木泰氏ご本人のブログhttp://gomigoshi.at.webry.info/
で紹介されたものですので著者ご本人との著作権の問題はないと思われます。もし仮に「週間金曜日」社から著作権上の問題を指摘された時は、著作権は守らなければならないとの立場から真摯に対応させていただく心算です。
 とりあえず、お礼とご報告まで。

鬼蜘蛛婆さん

<新聞や雑誌記事の転載は厳密に言うなら著作権法に抵触するかも知れません。しかし実際にはこのような転載はいくらでもあり、ほとんどが黙認されているのが現状です。>

赤信号みんなで渡れば怖くないか。デマを飛ばすのもみんながやってるから黙認される。福島いじめもみんながやってるから黙認されるか。
オイオイ、誰も黙認なんかしてない。

論点をすり替えているのはおまえの方だ。

日本の環境放射能と放射線のサイトを一見の価値あります。
http://www.kankyo-hoshano.go.jp/study_flash.jsp?runmode=3

 例えば、事故前のセシウム137の土壌汚染度です。
http://www.kankyo-hoshano.go.jp/01/0101flash/01010521.html

多いところでは毎年100bq/kg位出ています。

地域ごとの事故前(2009年)のセシウム137による土壌汚染度です。

http://www.kankyo-hoshano.go.jp/01/0101flash/01010522_2.html

地域によって大きなバラツキがあることが解ります。北海道は14Bq/kg、群馬は1.1Bq/kg。北海道は群馬の十倍以上ですが、北海道の農産物は食べられたものじゃないなんていいません。

地域ごとの事故前(2009年)のストロンチウム90による土壌汚染度です。
http://www.kankyo-hoshano.go.jp/01/0101flash/01010512_2.html
 やはり、地域によって大きなバラツキがあることが解ります。北海道は3.2Bq/kg、群馬は1.1Bq/kg。北海道は群馬の3倍以上ですが、北海道の農産物は食べられたものじゃないなんていいません。

地域ごとの事故前(2009年)の牛乳のストロンチウムによる汚染度です。
http://www.kankyo-hoshano.go.jp/01/0101flash/01011212_2.html

ほとんどの地域で不検出ですが、残念ながら北海道では検出されました。でも、十勝牛乳は飲めないなんていいません。

セシウム137も似たようなものです。
http://www.kankyo-hoshano.go.jp/01/0101flash/01011222_2.html

ゼロベクレルを求めると食べ物はありません。餓死します。

鬼蜘蛛おばさん、またトラックバクもかけずに反論書いてる。
http://onigumo.kitaguni.tv/e1865843.html
こっそり批判がお好きなようですよ。
言い返したいけど反論が恐い。

鬼蜘蛛おばさん(自称されているわけですし、蔑称には当たりませんよね?)はそもそも議論する気もなく、相手の意見に耳を傾けませんし(話す前から「平行線にしかならない、時間の無駄」とよく仰います)、一定数の読者の支持者は得るのでしょうが、その数倍の批判者や懐疑者を生んでいるはずですから、時々その主張の矛盾点を指摘してあげれば充分なのではないかと感じています。

以前、杉山さんの質問に対しての回答で、
「避難するのが最善だと思います。(中略)しかし、最終的には本人が判断するしかありません。だから指示まではしません。」
と回答されていたのには絶句しました。とんでもない勘違いをされている方です。

『鬼蜘蛛おばさん』というのは、実に示唆に富む秀逸なアイコンだと思います。

 ある別のメーリングリストで以下のような意見があったので参考になるだろうと知らせてくれた方がいますので紹介します。私もその通りだと思います。
 なお、御本人の承諾は得ています。
------------------------------
焼却炉からの放射性物質の放出問題は、まずは焼却炉での実験を市民が納得できる形で公開して行うのが、事の真偽を確かめる一番の方法ではないかと思います。

 また、●●さんご紹介の記事も読んで見ました。

気化状態の金属はフィルターではキャッチできないというのはその通りだと思います。問題は、焼却炉から本当に気化状態で出てくるのか?でしょう。

 これに関して、金子勝氏が以下のようにツイートしていました。
「児玉龍彦氏に聞くと、排気中の放射線量の流量測定器を設置すればセシウム漏れをチェックでき、焼却炉の冷却金属除去システムと組み合わせ、HEPAフィルターをおいて飛灰の除去を徹底するとほぼセシウムは除けるそうだ。消却灰はコンテナにつめ人工バリア型処分場で長期間保管。希望の持てる話だ」

確かに、これまでも焼却炉からはセシウム(沸点671 °C)と同様に、気化しやすい重金属類の水銀(同356.73 °C)、カドミウム(同767 °C)、鉛(同1749 °C)などを除去できないといけないはずですし、有毒ガス類も、気化した金属も、フィルターだけでは除去できないはずなので、そうしたものも除去できるシステムが焼却炉にはあるはずだと思いました。

私もその辺は全く存じませんし、児玉氏の言う「冷却金属除去システム」が気になりましたので、焼却炉の仕組みについて調べてみました。

 焼却で発生した排ガスは、そのままフィルターに行くのではなく、ダイオキシン類の再発生を抑制したりフィルターを保護するために、まずは重金属類の沸点よりずっと低い200℃まで冷却されるようです。それからそこに活性炭を吹き込んでこれらを吸着させたのち、フィルターを通して除去するそうです。それでも一部が気化してすり抜けてくる水銀などは、さらに排ガス洗浄装置で除くようです。
 他にも、有害ガス類を除くための消石灰を吹き込むような工程もあるようです。
 さらにこの活性炭での吸着率を高めるために、意図的に重金属類の化合物を作らせるという新たな方法もあるようです。

この工程が想定通り働くのであれば、フィルターに来る前に単体の気体ではなく、活性炭に吸着されているのでフィルターでキャッチできるという話になります。これが、児玉氏が解説していた事だと思います。

問題は、この想定通りにセシウムでも働くのか?でしょう。
 これを誰もが納得できる形で実験して確かめる事が大事だと思います。

その結果、児玉氏の仰ることが事実だと確かめられれば、被災地にとっても、瓦礫を受け入れる側にしても朗報だと思います。
逆に、NGと分かれば、排ガスから分離する技術はどこで処理しようとも必要ですから、国をあげて研究する必要があります。

 そもそも日本全国全く汚染されていない地域はありません。ゴミには常にK40が含まれ、さらには核実験のフォールアウトの時代から焼却炉ではずっと放射性物質が濃縮され続けてきたのですから、焼却物への放射性物質混入問題は、今に始まった問題ではなく、程度問題であることもこの問題を考察する前提理解としては必要ではないかと思います。

以上、この問題を考える上で参考になれば幸いです。

震災瓦礫の発火のニュースです。

 現状の処理能力では、岩手は11年分、宮城は19年分の量の瓦礫です。あり得ないことですが、これらの瓦礫が、もし、フィルターが付いた焼却炉で焼却するのも危険なほど放射性セシウムで汚染されているとすれば、こんな現状を放置しておくことの方がよほど危険です。 焼却炉のフィルターで除去しきれないとしても(100%絶対は無理です。)、自然発火による飛散よりははるかにマシです。

岩手・陸前高田
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111210/dst11121011510004-n1.htm

宮城・名取
http://www.asahi.com/national/update/0916/TKY201109160518.html

気仙沼
http://www.nictrix.com/archives/84325/

東松島
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110918/dst11091822340022-n1.htm

朝日新聞のまとめ
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201109170566.html

オレンジさん

コメントありがとうございます。

「鬼蜘蛛おばさんはそもそも議論する気もなく」

 私もそう感じています。そもそも、おばさんはトラックバックもかけないで、私のブログを引用して批判していました。ここにコメントを入れることもしていません。そのため、約1ヶ月も私は批判されていることを知りませんでした。
 私が気づいて、反論し、その結果都合が悪くなってくるとまたトラックバック無しで反論を書いています。

 自分の言い分は主張したいけど批判はされたくないし、議論も出来ない。だからこそ、自分で仕掛けた(そもそもこっそりやっていたのですから仕掛けたつもりもない)議論なのに今頃こんな寝言を言っているのです。

「私と杉山さんの意見が平行線ならそれでいいではありませんか。人によって意見が違うのは当たり前です。なぜ論点をずらしてまで批判するのでしょう。」

 ことの始まりは、私が彼女のブログ記事を批判したのではありません。彼女の方から、私の記事を引用して名指しで、教祖様とか脳天気と書いたのです。それをすっかり忘れてます。

 しかも、たちが悪いのは同じ内容のブログを二つ書いていることです。一つに反論をして、あとは読者の判断と思っていると、別のところで反論に晒されない同内容のブログを紹介しているのです。批判を避けるためのテクニックだけは持ち合わせているようです。
 もっとも、「この程度のことはみんながやってるから私だけ批判するのは別の意図がある」なんて言い訳するのでしょうが。

 鬼蜘蛛おばさんはマナー違反の最ブロガーです。それ以上に、被災地の方々の気持ちを土足で踏みつけるような言動はとうてい看過できません。
 彼女が引用するサイトには信じがたいようなデタラメがたくさんあります。おいおいそれを示して、如何に彼女が科学リテラシーに欠けている「困ったおばさん」であることを示していきたいと思います。

松田さんが以下のコメントで
http://numata-city.kazelog.jp/numata/2011/12/post-d553.html#comment-48137609

「岩手県や宮城県の土壌が汚染されているのは以下の実測値からわかるように事実です。」といって根拠にあげているのは木下黄太のブログです。
 そのブログで木下氏は「宮城の中心も満遍なく汚染されていて、」なんてことまで言ってますが単なる空想にすぎません。こんなもの実測値でもなんでもありません。

 この自称ジャーナリストの人物像は以下をみれば解ります。
http://togetter.com/li/230905

 堀江貴文氏の盗撮までやったというのですから。
http://news.nicovideo.jp/watch/nw74098

鬼蜘蛛さん(紛らわしいけど)
鬼蜘蛛おばさんがまたトラックバックをかけずに反論書いてることを知らせて頂きありがとうございます。

トラックバックをかけずに反論書いてる記事が他にもありました。

チェルノブイリの被害に学ぶ
http://onigumo.kitaguni.tv/e1857894.html

で私がリンゴペクチンの効果を否定していることを批判していました。
しかし、リンゴペクチン摂取して害があったらどうするつもりなんでしょう。

 面白いのは、「カリウムやルビジウムはセシウムが体内に取り込まれるのを阻害し、カルシウムはストロンチウムの摂取を阻害するという。」といって、カリウムが入った補助食品を勧めている点です。
 これは詐欺です。鬼蜘蛛おばさんは詐欺の片棒担いでます。

 第1に、カリウムを摂取すれば、それだけ被曝が増えます(気にするレベルでは全くないですが)。
 第2に、そもそもカリウムを摂取すればセシウムが体内に取り込まれるのを防げるなんて、量の概念を無視した妄想でしかありません。
 カリウムは30ベクレル/gですが、セシウム134は4.8×10の13乗ベクレル/g、137は3.2×10の12乗ベクレル/g です。同じ100ベクレルでもセシウムの質量はカリウムに比べ10桁以上小さいのです。
 ベクレル数が同じならセシウムはカリウムの100億分の1以下の量しかないのです。50mプールに水をいっぱい張って満水にしておけば、水滴が一滴はいる事を防げるといっているようなものです。

杉山弘一様

はじめまして、さつきと申します。
少し古い記事に始めてコメントさせていただき、恐縮です。

杉山様は大変正確な記述に心がけていらっしゃるようで、それ故信頼を寄せられる方も多いと思います。放射線被曝は健康の問題に直結しますが、信頼されているブログであればこそ、以下のことで誤解が広まることを恐れます。

> 10万cpmとは1分あたり10万カウントですから、1秒あたりにすると1670カウントつまり1670ベクレルです。

「1670カウント」イコール「1670ベクレル」ではありません。
これは説明不要と思います。次のように書かれていることから、杉山様ご自身、カウントとベクレルの違いを正しく理解されているものと思います。うっかり筆がすべったのでしょう。

>普通、人体にはカリウム40だけで約4000ベクレルあります(ガイガーには約1割しかカウントされませんが)。

さて、人体が持つカリウム40の4000ベクレルの一割のカウント、つまり400 cps ものカウントが得られるガイガーカウンターを知りません。アロカの30万円くらいのものでもせいぜい120 cpmつまり、2 cpsくらいしかカウントしません。これは、人体の内部で発生したβ線のほとんどが体組織に吸収されてしまうこと(自己遮蔽効果)と、センサーの窓のサイズが体表面に比べて圧倒的に小さいこと(線源効率)が主な原因です。

逆に言えば、ガイガーカウンターで測定したときに「10万cpm」のカウント率を与える物体の放射能は、決して侮ることはできません。杉山様もガイガーカウンターをお持ちのようですが、身のまわりで1000 cpm以上のカウント率を経験されたことがあるでしょうか?
そのような物体には近づかない方が良いでしょう。

次に、

>ベクレル数が同じならセシウムはカリウムの100億分の1以下の量しかないのです。

これ自体はその通りです。しかし、次の一文は問題があると思います。

>50mプールに水をいっぱい張って満水にしておけば、水滴が一滴はいる事を防げるといっているようなものです。

ご存知のように、カリウムとセシウムはどちらもアルカリ元素で、人体がカリウムを必須元素として取り込む際に間違ってセシウムも取り込んでしまうことから、特有の問題が生じている訳です。このとき、カリウムとセシウムが、例えば土壌→作物→人体と移動する際の「移行係数」が問題となりますが、その研究によると、カリウムとセシウムの移行係数は、人間も含めたいろいろな生物で、ほぼ比例関係にあることが知られています。

このことは、セシウム/カリウムの比が高い食物ほど、それを摂取したときに取り込まれるセシウム/カリウムの比も高まることを意味します。人体は代謝によってカリウムの濃度を一定に保つようになっていますが、そのカリウムを補給するための食物のセシウム/カリウム比が高ければ、それだけ、人体中のセシウム/カリウム比も高まります。

従って、放射性セシウムによる被曝を避けるための食品選びで気をつけるポイントは、放射性セシウムの濃度でも絶対量でもなく、ましてやカリウムの濃度でもなく、肝心なのは、セシウム/カリウム比の小さな食品を選択するということになります。その意味では、セシウムを含まないカリウム補助食品の摂取に効果を期待するのは決して間違いではありません。

長文失礼しました。

さつきさん

コメントありがとうございます。

カウンターに関するご指摘はおっしゃるとおりだと思います。誤解を招く表現でした。

 カリウムとセシウムの問題については、指摘されていることがよく理解出来ません。以下の点について教えて頂ければありがたいです。

1 「その研究」とはなにか。

2 作物→人体の移行係数はどの程度か。

3 内部被曝に影響があるのは移行係数よりも排出速度(生物学的半減期)ではないか。

4 「人体は代謝によってカリウムの濃度を一定に保つようになっています」について

 カリウムの1日平均摂取量が1グラムでも3グラムでも、人体中のカリウム濃度は一定に保たれるのと考えられるのでしょうか。
 高血圧の予防にはカリウムを多く(1日3.5グラムぐらい)摂取する事が勧められているようですが、もし、摂取量にかかわらず人体中のカリウム濃度が一定に保たれてしまうのであれば、カリウムを多く摂取することの意味が理解出来ません。
 直感的には、多く摂取していればカリウム濃度は高い値になり、少なく摂取していれば小さな値になるように思います。濃度が一定に保たれるというのは、あくまでも一時的な制御に過ぎないのではないでしょうか。

5 カリウムの摂りすぎは問題がないのでしょうか。多く摂っても排出されてしまうので問題ないと考えるのでしょうか。
 腎臓が悪い方はカリウムの摂取が制限されますが、もし、多く摂取しても排出されてしまうのであれば制限する意味が解りません。
 腎臓でカリウム濃度を一定に保つ機能が劣化するするから、制限が必要になると考えるのでしょうか。
 はやり、あくまでも一時的な制御に過ぎないと考えると理解しやすいのですが。

6 放射性セシウムの濃度とは何を指しているのでしょうか。
 放射性セシウム/全セシウムの比率でしょうか。

7 「放射性セシウムによる被曝を避けるための食品選びで気をつけるポイントは、放射性セシウムの濃度でも絶対量でもなく、ましてやカリウムの濃度でもなく、肝心なのは、セシウム/カリウム比の小さな食品を選択する」について

 セシウム/カリウム比の小さな食品とは、結局のところ、放射性セシウムの絶対量が少ない食品ではないでしょうか。
 放射性セシウムの絶対量は多いけれどセシウム/カリウム比の小さな食品とはどんなものでしょうか。

 数字の上の話ですが、1回で100グラムのカリウムを摂取できる補助食品があったとします。これには、放射性セシウムが10ベクレル含まれるとします。これならセシウム/カリウム比は十分低いと思います。

 この場合、セシウムを10ベクレル、カリウム40を約3000ベクレル摂取することになります。
 こんな補助食品を毎日摂取して内部被曝を防ぐことが出来るとは思えません。もっともそれ以前にカリウムの摂りすぎで問題が生じるように思えます。

杉山 様

>カウンターに関するご指摘はおっしゃるとおりだと思います。誤解を招く表現でした。

ご理解いただけたようで良かったです。

>1 「その研究」とはなにか。
>2 作物→人体の移行係数はどの程度か。
>3 内部被曝に影響があるのは移行係数よりも排出速度(生物学的半減期)ではないか。

この三つはどれも関係があるので、まとめてお答えします。
まず、作物→人体の「移行係数」が、セシウムとカリウムの各々について、それぞれa, bという一定の値を持つとすると、その<絶対値如何にかかわらず>、次のことが言えます。

食品1 kg中のセシウムとカリウムの量をそれぞれCs0、K0、人体1kg当たりに取り込まれるセシウムとカリウムの量をそれぞれCs1, K1とすると、

Cs1 = a × Cs0   ・・・ 1)
K1 = b × K0  ・・・ 2)

1)式を2)式で割ると

Cs1/K1 = (a/b) × (Cs0/K0) ・・・ 3)

aとbは定数なので、(a/b)も定数となり、人体中のセシウム/カリウム比(左辺)は、摂取する食品のセシウム/カリウムの比(右辺)に比例することになります。(全セシウム中の放射性セシウムの割合の効果については、後の質問でお答えします)

上記のことは、土壌→作物間の元素の移行にも言えることで、例えば次の論文を参照して下さい。

Tsukada et al., 2002, Journal of Environmental Radioactivity, 59, 351-363.
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X01000832
この研究では、土壌中のK濃度が高いほどCs-137の作物への移行が少ない傾向にあるということを明らかにしています。

津村ほか,1984,農業技術研究所報告B, 36, 57-113.
http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/publish/nias/nias_b36_57_113.pdf
この研究では、カリウムを施肥すると、作物へのセシウムの移行係数が(見かけ上)小さくなることを明らかにしています。

これらの研究成果は、一定濃度のセシウム-137で汚染された土壌にカリウムを添加すると、セシウムとカリウムが化学的に類似した挙動を示すという状況下で、上記3)式のように、セシウム/カリウム比が小さくなる効果が現れるからです。

>4 「人体は代謝によってカリウムの濃度を一定に保つようになっています」について

>カリウムの1日平均摂取量が1グラムでも3グラムでも、人体中のカリウム濃度は一定に保たれるのと考えられるのでしょうか。

これは、ごく常識的なことで、例えばWikipediaの「カリウムー40」の項には次の記述があります。

「飲食で人体中に取り込まれるカリウム40の放射能強度は1日あたり約50ベクレルであるが、人体中の余分のカリウムが排出されるのに伴って1日あたり同量(放射線強度約50ベクレル)が排出される[5][6]。天然に存在する放射能の中で内部被曝による線量が大きいものの一つであるが、カリウムの経口摂取量の大小にかかわらず、カリウムの体内量は常に一定に保たれているため、食事による被曝量の変化はない。」

>高血圧の予防にはカリウムを多く(1日3.5グラムぐらい)摂取する事が勧められているようですが、もし、摂取量にかかわらず人体中のカリウム濃度が一定に保たれてしまうのであれば、カリウムを多く摂取することの意味が理解出来ません。

上記Wikipediaの項に引用されているATOMICAのページなどによると、健康な人体のカリウムの濃度は、摂取量に関わらず0.20 重量%とされています。有効数値がコンマ二桁に設定されていることから、カリウム欠乏や「過多」とされる状態であっても、コンマ二桁目の変動でしかなく、かなり強力に制御されているようです。

質問5について:ここでは一般論として健康な人体を問題にしているので、すみませんが、ご自分でお調べ下さい。

>6 放射性セシウムの濃度とは何を指しているのでしょうか。
> 放射性セシウム/全セシウムの比率でしょうか。

ベクレルで表される放射性セシウムの、食品や人体の一定質量中に含まれる量のことです。

質問7について

>セシウム/カリウム比の小さな食品とは、結局のところ、放射性セシウムの絶対量が少ない食品ではないでしょうか。

冒頭の式で「セシウム」としたのは、安定同位体のセシウムと放射性セシウムを合わせた全セシウムのことですが、全セシウム中の放射性セシウムの分率をcと置いて式を展開しても、同じ結論になることがご理解いただけると思います。

このとき、同じ量の放射性セシウムを含む食品でも、カリウムの含有量が高いほど、<放射性セシウム/カリウム比>は小さくなり、人体に取り込まれる放射性セシウムの量も少なくなります。

> 放射性セシウムの絶対量は多いけれどセシウム/カリウム比の小さな食品とはどんなものでしょうか。

これは、個々の汚染量に依存するので特定することはできませんが、同じくらい汚染されている食品群の中では、できるだけカリウムの多いものがお勧めということになります。食品の成分表は文科省の下記のページをご覧下さい。

「第2章 五訂増補日本食品標準成分表(本表)」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/05031802/002.htm

> 数字の上の話ですが、1回で100グラムのカリウムを摂取できる補助食品があったとします。これには、放射性セシウムが10ベクレル含まれるとします。これならセシウム/カリウム比は十分低いと思います。

> この場合、セシウムを10ベクレル、カリウム40を約3000ベクレル摂取することになります。
 こんな補助食品を毎日摂取して内部被曝を防ぐことが出来るとは思えません。もっともそれ以前にカリウムの摂りすぎで問題が生じるように思えます。

「数字の上での話」と切り出しておきながら、このようなとんでもない量のカリウムを接収することを仮定して問題だと結論するのは、いかがなものでしょう。

Wikipediaの「カリウム」の項には次のような記述があって、注意が必要です。

「典型的な医薬用サプリメントは、一回につき 10 mg 当量(400 mg、およそカップ一杯の牛乳や6オンスのオレンジジュースに含まれるカリウムと同じ量)から 20 mg 当量 (800 mg) の範囲で服用される。サプリメントのカリウム濃度が非常に高濃度になるとカリウムイオンが細胞組織を殺してしまい、また胃や腸の粘膜も傷付けるため、高濃度のカリウムがゆっくりと浸出するようなタブレットやカプセルの形でも用いられる。このような理由により、アメリカの法律では処方箋の不要なカリウム錠はそのカリウムの含有量が 99 mg までに規制されている。」

以上です。

さつき様

丁寧な解説ありがとうございます。

 しかし、汚染土壌から作物への移行係数の理論を現象の異なる人間の食物摂取に適応することは出来ないと思います。

 5,000Bq/kgに汚染された土壌で稲を栽培しても、稲には500Bq/kg移行することもあるしその1/100の5Bq/kgしか移行しないこともあり得ます。その際、土壌のカリウム濃度が影響することも理解出来ます。稲がセシウムの含まれた土を食べるわけではありませんから。
 しかし、5,000Bq/kgの食物を1Kg食べれば、5,000Bq全量が体内に移行するのであって、そこにカリウム濃度が影響する余地はないと思います。この時点では移行係数は1にしかならないと思います。
 内部被曝(預託実効線量)に影響するのは体内に取り込まれた後の排出速度です。
 なお、体内のカリウム濃度が高ければ、人体はカリウムを多く排出しようとするでしょうから、カリウム似た挙動を示すセシウムも、より早く排出されるであろうことは定性的には推測できます。
 しかし、内部被曝低減のためカリウムを服用するとなると話は違ってきます。カリウムによるセシウムの排出速度を速める効果、カリウムの過剰摂取の弊害、カリウム40による内部被曝、セシウム汚染の実態などを定量的に評価する必要があると思います。(医薬品として使われるのは内部被曝低減のためではなくカリウム欠乏症の治療のためです。当然副作用もあります。)
 
 また、カリウムとセシウムの化学的性質が似ていることを前提とすると放射性セシウムに汚染された土壌で種類の違う農産物を育てた場合、もっとも放射性セシウムを多く含むのはカリウムを多く含む農産物になると思います。

杉山様

> しかし、5,000Bq/kgの食物を1Kg食べれば、5,000Bq全量が体内に移行するのであって、そこにカリウム濃度が影響する余地はないと思います。この時点では移行係数は1にしかならないと思います。

「摂取」と「吸収」を混同されていらっしゃるようです。
「食物→人体」の移行は、「摂取→吸収」の関係と考えて下さい。吸収されてはじめて「生物学的半減期」が問題となるからです。

参考までに、Wikipediaの「カリウム」の「摂取」の項の冒頭に次の記述があります。

「経口の場合では吸収は緩やかであり、全身の細胞で速やかに取り込まれることと、過剰分は腎臓での K+ 調節機能により排泄されるので、細胞外液中濃度は常に低レベルに維持される。一日の所要量は約 0.8–1.6 g とされる[44]。2010年5月の厚生労働省「日本人の食事摂取基準」で目安量は男性 2,500 mg/日、女性 2,000 mg/日と勧告されている[44]。」

ここで、「一日の所要量は約 0.8–1.6 g 」とあるのは、所要吸収量ですが、「「日本人の食事摂取基準」で目安量は男性 2,500 mg/日、女性 2,000 mg/日と勧告されている」とあるのは、文字通り、所要摂取量です。つまり、一日に0.8–1.6 gの吸収量を達成するには、一日に2.0–2.5 gの摂取が必要であるという意味で、これ以上摂取しても、吸収されずに「ダダ漏れ」になって、すぐに排泄されてしまうということです。

人体にはセシウムとカリウムを識別する機能がないので、カリウムが「ダダ漏れ」になる状況では、セシウムも「ダダ漏れ」になって、摂取しても吸収されません。吸収されるにせよ、排泄されるにせよ、どちらもその量比は、セシウム/カリウム比に<比例する>ことになる訳です。

> しかし、内部被曝低減のためカリウムを服用するとなると話は違ってきます。

私も、内部被爆低減のためにカリウム剤を服用することを推奨したいとは思いません。
最初のコメントで、「その意味では、セシウムを含まないカリウム補助食品の摂取に効果を期待するのは決して間違いではありません」と書いた以上の事を主張する意図はありません。

このことを指摘したのは、一つには、鬼蜘蛛おばさんこと松田まゆみさんに対する理不尽ないいがかりがあると思ったことと、もう一つは、次のことに関わる誤解が広まっていて、内部被爆低減のためのいろいろな工夫が空回りしているとの印象を持っているからです。

>もっとも放射性セシウムを多く含むのはカリウムを多く含む農産物になると思います。

これは、ほぼ事実です。ただし、どうでも良いことですが、セシウムは、極微量元素であるが故に、ある種の粘土鉱物に吸着される効果が大きく現れて、個々の作物がどのような土壌を好むかによって、作物中のセシウムの濃度は大きく異なってきます。一方カリウムは、土壌中に豊富にあり、かつ、どの生物にとっても必須元素であることから、結果的に食物中のカリウム濃度は、互いに何十倍も異なるということにはなっていません。前のコメントに引用した文科省の食物の成分表のサイトと、農水省が出しているセシウムの移行係数の次のpdfファイルを見比べて下さい。
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouan/pdf/110527-01.pdf

私が問題だと思うのは、カリウムを多く含む農産物は放射性セシウムも多く含まれるので、カリウムの少ない農産物を<摂取>した方が良いと、短絡的に結論されることです。カリウムが不足気味である時には、摂取したカリウムもセシウムも、そのほとんどが吸収されてしまいます。一方、カリウム摂取が過剰気味であるときには、両者とも吸収されずに「ダダ漏れ」状態で排泄されます。単純ではないのです。

以上、また長くなり、すみません。

さつきさん

「吸収されてはじめて「生物学的半減期」が問題となるからです。」

 化学的反応と核反応を一緒にされています。

 化学的反応は吸収されなければ起きませんが、核反応は吸収されなくても起きます。たとえダタ漏れであっても摂取したその時から(正確には摂取する前から外部被曝という形で)起きています。吸収されれば排出までの時間が多くなるので、生物学的半減期が長くなると言うだけのことです。
 まったく融けないカプセル(遮蔽は無視して)に青酸カリのような化学的毒物を詰めて飲んだ場合と放射性セシウムを詰め込んで飲んだ場合を考えてみれば解ります。青酸カリは何も起こりませんが、放射性セシウムの場合は1日後にカプセルが排出されても内部被曝します。

「カリウムの少ない農産物を<摂取>した方が良いと、短絡的に結論されることです。」

 私はまったくそのように思っていませんし、言っているつもりもありません。
 被曝低減の観点からカリウムの摂取量を多くすることも少なくすることもほとんど意味がない(むしろ弊害の方が多い)と言いたいのです。

杉山様

>化学的反応と核反応を一緒にされています。

余計なことかもしれませんが、セシウムの生物学的半減期について先に少し解説しておきます。

ご承知のように、生物学的半減期は、生物が取り込んだ物質が代謝によって排出される過程で最初の半分にまで減少する期間のことです。放射性元素による内部被爆の線量見積もりでは、その生物学的半減期が(放射壊変による)物理学的半減期より十分に短いときは、ほぼ生物学的半減期だけが問題となります。内部被爆の線量見積もりでベクレルからシーベルトへ換算する実効線量係数の値も、この生物学的半減期を考慮して算定されています。

セシウムの生物学的半減期についての最も詳しいまとめは、次のIAEAのレポートにあります。
http://www-pub.iaea.org/MTCD/Publications/PDF/te_1009_prn.pdf
(ファイルサイズが10.69 MBと大きいので注意して下さい)

このレポートでは、代表的な5つの年齢層毎に、摂取してすぐに排泄される分の半減期(T1)と、体組織に吸収されて長期間留まる分の半減期(T2)に分けて示されています。

いろいろな実験によって、成人については、T1が2日、T2が110日と見積もられています。

T1に比べてT2が十分に大きいことから、被曝線量は、体組織に吸収されてT2の半減期で留まる分が全体のどれくらいの割合になるかによって、<ほぼ規定されてしまう>ことがおわかりと思います。

そこで、

1)人体は、カリウムとセシウムをうまく識別することができない
2)人体におけるカリウムの平均濃度は0.20%になるように調節されている

の両方を認めることができれば、

3)体組織に吸収されて110日の半減期で留まる方のセシウムの割合は、カリウムの充足度によって決まり、カリウムが不足している時には、大部分がカリウムと共に吸収されるので大きくなり、カリウムが余っている状況では大部分がカリウムとともに排泄されるので小さくなる、

という結論が導かれます。これは、摂取したセシウムの中で体組織に吸収される分の<割合>ですが、2回目のコメントに書いた式などから、

4)その絶対量は、セシウム/カリウムの比に依存する

ということもご理解いただけると思います。

> 被曝低減の観点からカリウムの摂取量を多くすることも少なくすることもほとんど意味がない(むしろ弊害の方が多い)と言いたいのです。

その上で杉山様は、カリウムが入った補助食品を勧めている松田さんに対して、「詐欺の片棒担いでます」と批判されました。

私は、この批判は理不尽だと思ったので、最初のコメントで、上記のことを説明した上で、「セシウムを含まないカリウム補助食品の摂取に効果を期待するのは決して間違いではありません」と書きました。

そこら中の食物がセシウムで汚染されている非常時には、カリウムを少し余り気味の状況に導いて体組織に吸収されるセシウムの割合を減らす(結論3)ため、そして食品のセシウム/カリウム比を小さくして、セシウムの吸収量を減らす(結論4)ために、汚染されていないカリウムの補助食品を通常の食事に付け足すことは、決して無駄ではないと思います。

プールのたとえ話もいただけません。

さつきさん
丁寧な解説ありがとうございます。

1  しかし、「摂取してすぐに排泄される分の半減期(T1)と、体組織に吸収されて長期間留まる分の半減期(T2)に分けて示されています。」ということは、「吸収されてはじめて「生物学的半減期」が問題となる」
http://numata-city.kazelog.jp/numata/2011/12/post-d553.html#comment-50616533
とは両立しないと思います。この点ですでに論理破綻していると思います。

2 あなたはWikipediaを引き合いに出してこう言われています。
「経口の場合では吸収は緩やかであり、全身の細胞で速やかに取り込まれることと、過剰分は腎臓での K+ 調節機能により排泄されるので、細胞外液中濃度は常に低レベルに維持される。」
 しかし、経口摂取したカリウム(セシウム)はどうやって腎臓に到達するのでしょうか。腸などから吸収され体液中濃度が一時的にしろ上昇しなければ(その信号がなければ)、腎臓で過剰分を調節しようがないと思います。

3 カリウムが過剰でなくとも毎日新陳代謝によって腎臓からカリウムは排出されています。だからこそ、毎日カリウムの摂取・吸収が必要となります。
 カリウムが過剰ならば、腎臓の調節機能によってカリウム(セシウム)の排出量が多くなるのは解ります。それは、体液中のカリウム濃度が高いという信号を受け取って腎臓が頑張ると言うことでしょう。
 その際、過剰分とはたった今入ってきたカリウム(セシウム)に限定されません。腎臓はたった今吸収されたカリウム(セシウム)と毎日の代謝によって排出する古いカリウムの区別をすることは出来ないからです。古いのも新しいのもひっくるめて濃度があがった体液中のカリウムの排出量を増やすことしかできないはずです。

4 甲状腺だけに集まり、甲状腺に集まると生物学的半減期が長くなるという特殊な事情があるヨウ素とは違って、カリウムで満タンにしておけばセシウムが入るのをブロックできるというイメージでとらえるのは間違いだと思います。

杉山 様

>しかし、経口摂取したカリウム(セシウム)はどうやって腎臓に到達するのでしょうか。腸などから吸収され体液中濃度が一時的にしろ上昇しなければ(その信号がなければ)、腎臓で過剰分を調節しようがないと思います。

半減期がT2となる「吸収」の意味を誤解なさっているようです。
もし杉山様が、この問題を、単なる教養でなく、放射能汚染に見舞われている方々に役に立つ知識として必要だとお思いになるなら、Wikipediaの「カリウム」と「カリウム40」の該当項を丁寧にお読みになることをお勧めします。特に、「ナトリウム-カリウムイオンポンプ」の作用など重要です。まだお読みになっていないようで、少しがっかりしています。

胃腸から吸収されて血液などの体液中をめぐっている間は、ここで言う「吸収」ではなく、半減期T1でまもなく腎臓から排泄されるフラクションとなります。イオンポンプの作用によって細胞膜を通過し、筋肉細胞などに取り込まれてはじめて、<実質的な生物学的半減期>T2で留まるようになります。

さつきさん
 
「胃腸から吸収されて血液などの体液中をめぐっている間は、ここで言う「吸収」ではなく、半減期T1でまもなく」

高説承りました。

放射性セシウムが胃腸から吸収されて血液などの体液中をめぐっている間は内部被曝はしないということになりますが・・・

こうなってくると、レベルが高すぎて、もうついていけません。

さつきさん
難しいことはわからないけど、そんなにカリウムのサプリが良いなら、政府や東電、製薬会社などがそれをすすめないのはどうしてなの。
食品の基準を厳しくしなくてすむし、金儲けにもなると思うんだけど。

杉山 様

これを最後にします。

>放射性セシウムが胃腸から吸収されて血液などの体液中をめぐっている間は内部被曝はしないということになりますが・・・

血液などの体液中をめぐっているだけのセシウムが排泄されるまでの生物学的半減期(T1)は2日、
イオンポンプのメカニズムで細胞膜を通過して筋肉細胞などに取り込まれたセシウムの生物学的半減期(T2)は110日、

もちろん前者も内部被爆をもたらしますが、後者による内部被爆の方が圧倒的に大きい、ということを理解するのは、沼田市民の方々にとりましても決して難しいことではないと思います。

私が22日のコメントで、
>T1に比べてT2が十分に大きいことから、被曝線量は、体組織に吸収されてT2の半減期で留まる分が全体のどれくらいの割合になるかによって、<ほぼ規定されてしまう>ことがおわかりと思います。

と書いたのは、そういう意味です。

「>T1に比べてT2が十分に大きいことから、被曝線量は、体組織に吸収されてT2の半減期で留まる分が全体のどれくらいの割合になるかによって、<ほぼ規定されてしまう>ことがおわかりと思います。」

どうしてもここなんですね。
摂取したカリウム(セシウム)のうち何パーセントがT1で評価すべきかを示さないと効果は解りません。

 カリウムサプリを服用しない場合T1(すぐに排出される分)の割合が10%で、T2(長期間とどまる分)が90%だったとします。
 カリウムサプリを服用するとその割合が変わる、例えばT1が90%、T2が10%になるというデータでもあれば良いのですが。T1が11%になるだけだったら・・・ 

沼田市民さん

 抱かれた疑問はもっともだと思います。私もどんな答えがなされるのか興味津々でしたが、見事にスルーされてしまいましたね。

 そもそも、カリウムサプリに効果があるとしたら、摂取したセシウムの排出速度を速めるということだけです。言い換えればセシウムの生物学的半減期をどれだけ短くすることが出来るかということです。
 したがって、例えば「サプリを1錠の飲むと100日の半減期が50日になる。」という数値を示せば議論は終わりです。それが出来ないからこそ、難しい話を持ち出して議論を解りにくくするのだと思います。

読んだ方が誤解するといけない点について指摘しておきます。

1 Wikipediaは間違いが多い。
 例えば、カリウム40に関する以下の記述は大間違いです。(信じている人が多い。)

「天然に存在する放射能の中で内部被曝による線量が大きいものの一つであるが、カリウムの経口摂取量の大小にかかわらず、カリウムの体内量は常に一定に保たれているため、食事による被曝量の変化はない。」

 普通に考えれば解ることですが、摂取量が増えれば当然被曝量は増えます。体内のカリウム40は平衡状態(入る量と出る量が同じ、約50ベクレル)になって体内に4000ベクレル程度たまっていてそれが被曝量の大部分を占めているので、少しぐらい入る量が変わっても(50が100になっても)全体の被曝量に大きな変動はないと言うだけです。

 機械ではないのですから「体内量が常に一定に保たれている」などあり得ないことです。体内量は常に変化しています。

2 カリウムとセシウムの体内での化学的挙動が同じならば、生物学的半減期も同じになります。しかし、カリウムの生物学的半減期が約2ヶ月であるのに対してセシウムのそれは約3ヶ月とされています。両者は似ているのでしょうが、所詮違う物質です。完全に置き換える事は出来ません。

参考までに朝日の記事です。

 朝日新聞社と京都大学・環境衛生研究室が共同で調査した。福島県では3食で4.01ベクレル、関東地方で0.35ベクレル、西日本でほとんど検出されない。

http://www.asahi.com/national/update/0118/TKY201201180799.html

 カリウムサプリのカリウム含有量を99mgとすると、これに含まれるカリウム40は約3ベクレルです。
 一方毎日食物から摂取しているカリウムは2~3グラムです。1日3錠飲むとこれが約10%増え、カリウム40を約9ベクレル余計に摂取します。
 それによって、1日4ベクレル、0.35ベクレル摂取しているセシウムの排出を促す(効果は検証されていません)・・・

セシウムとカリウムの置換について日本保険物理学会の見解です。
http://radi-info.com/q-1452/

「仮に1 MBq(= 1,000,000 Bq)の放射性セシウム(137Cs)が体内に取込まれたとしても、その質量は約31 μgしかありませんので、成人の体内に存在するカリウムの質量(約140 g)に比べると無視できる量となります。放射性セシウムが体内に取込まれた場合、カリウムの量には関係なく、取り込まれた放射性セシウムの量に応じて内部被ばくを受けることになります。」

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