呆れた藤岡市議会
沼田市議会が何をやっても県内のドンケツだと思っていたら、もっとひどい議会があった。藤岡市議会だ。昨日の上毛新聞によれば、藤岡市議会は同市内の工業団地開発に絡んだ住民訴訟の原告団に市議一人が含まれていたことについて調査特別委員会を設置することを決めたというのだ。
議員が住民訴訟を提訴することに何の問題があるというのか、まったく理解出来ない。地方自治法や議会規則のどこに抵触するのかまったく解らない。それもそのはずだ、そういった法律上の根拠など何もない。
調査特別委員会の設置を決めた藤岡市議会の言い分はこうだ。議会は同工業団地開発の開発に絡んだ予算を可決した。議会で可決したことについてあとになって違法であると主張するのは「議会人」としての原則に反するというのである。
まったく解っていない。では、議会選出の監査委員は何のためにあるのか、考えれてみて欲しい。市長による予算執行に問題がないかを監督・調査するのが監査委員の役目である。それは、執行が予算の範囲を超えていないだけではなく、予算の範囲であっても地方自治法や他の関連法規に反した執行がされていないか、無駄な使われ方をしていないかを調査することだ。予算の範囲であるかどうかだけをチェックするわけではない。まあそれぐらいしかやってこなかったのだろうが。
これとまったく同じで、議会もまたチェック機関である。議会で予算が可決され、その範囲で執行されていたとしても、無駄な使われ方をしていたり、目的外の使われ方をしていないかを監視するのが議会の仕事である。
議会や監査委員がこういった本来の仕事をさぼったときのために住民訴訟制度がある。主権者である住民が直接行動するのだ。地方自治法は議会や監査委員が機能しないときのためにこういう制度を用意しているのだ。今回はそれが、たまたま議員であったと言うことだ。何の問題もない。
藤岡市議会が如何に頓珍漢なことを言っているかは、公共工事の談合事件を考えればすぐ解る。談合と言ってもすべて議会で可決された予算に基づき、予算の範囲で執行されているである。しかし、そこに談合という違法行為があり、それによって自治体が高い買い物をして損害を被るのである。この時、公共工事の予算を可決した議会に違法性はない。市長による予算執行も予算の範囲なのだから違法性はない。このとき、藤岡市議会の理屈では、議会はその公共工事の予算を議決しているのだから、議員は市長に対して「談合業者に損害賠償請求をせよ」とは一切言えないことになる。
おそらく、藤岡市議会のご重鎮はこういった議会の役割や予算執行のしくみをまったく理解していないのだろう。予算案を可決することだけが議会の仕事だと思っているのだろう。あまりの程度の低さにあきれる限りだ。
藤岡市議会の愚行は、民主主義、法治主義への挑戦である。もし同じことが沼田で起きたら黙っていない。
こんな調査特別委員会は違法である。藤岡市民は、調査特別委員会設置にかかった経費を返せと住民監査請求をした方が良い。もっとも、それでも選挙で選ばれた選良だから、選挙で落とすしかないのか。(杉山弘一)
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