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2011年8月10日 (水)

東電の電力融通問題

 東北電力で電力供給がピンチだ。原因は暑さに加え、先日の福島新潟豪雨で福島県内の水力発電所が故障したからだ(毎日新聞)。約100万キロワットもの供給が失われたようである。そのため、東京電力が170万キロワットも融通している(毎日新聞)。

 これをもって、「東北電力にこんなに融通できるのにどうして節電をお願いするのか」とか「やっぱり電力は足りていた」と批判する見解があるが、何か忘れていないだろうか。

 東電がどうして、東北電力に融通するのか。その理由は、もちろん、融通しあう契約をしているからだが、それだけではない。東電は自分のために融通しているのである。

 福島原発第1、第2、柏崎原発、すべて東北電力の管内にある。東電は東北電力からも給電を受けて、止まった原発の冷却をしているのである(産経新聞)。7月21日にも外部電源のトラブルで、3号機の使用済み核燃料プールの冷却機能が4時間以上も失われていたのである。この時、事故の原因となった非常用電源が機能していないのである。津波対策のため高台に置いたり、電源車を配置したりしたはずなのだが、4時間以上もの間、まったく機能していないのである。免震重要棟の機能も失われているのである。このような状態で、大きな余震が来て火力発電所が停止したらどうなるのだろうか。考えるのも恐ろしいことだ。

 東電にとっても、東北電力による外部電源の確保が何よりも大切なのである。設備容量のみを持って、電力供給が足りているという見解は、「発電所は故障する」、「災害によっても停止する」という原則を忘れているとしか言いようがない。原発の安全確保のために何が必要かと言うことを忘れているとしか言いようがない。
 たしかに、電気が不足するから原発が必要だというのはブラフだが、原発を止めても電気が足りているというのも間違いである。この1、2年では、原発が動かせなくとも停電にならないような対策こそが必要なのである。それは節電(ピークカット)であり、老朽火力発電所の再稼働や火力発電所、水力発電所の新設計画の前倒しである。

 再生可能エネルギーにその役割を求めるのは無理だ。短期的には、火力発電や水力発電で、安心して電力供給がまかなえるような体制を造ることを最優先させるべきだ。そのうえで、落ち着いて再生可能エネルギーを普及させていけばいい。造った火力発電所は無駄にはならない。老朽火力はいずれ作り替えなければならないのだし、そもそも、設備費に比べ燃料費が高いのが火力の特徴である。稼働が安定しないけれども運転費のほとんどかからない風力や太陽光と組み合わせるのに相性が良いのである。風力や太陽光が稼働した分、火力の燃料を節約できるのだ。そういう使い方をすべきなのだ。

 天気予報では、暑さのピークは明後日までだそうだ。幸い、東電の供給力はまだ10%近く余裕があるから、東北電力にもっと融通出来るだろう。まあ、我々は、それを見守り、熱中症に気をつけながら、節電(ピークカット)を続けるしかない。稼働中の発電所を停止させるような地震が来ないことは、祈るしかないのだから。(杉山弘一)

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