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2011年7月 8日 (金)

棄民

 政府が邪魔な国民を捨てる政策を棄民政策という。戦前に満洲に送り込まれた開拓団は日本が敗戦に追い込まれると、そのまま放置された。関東軍の兵士は、いち早く本土に引き上げるか、ソ連に拉致されシベリアで強制労働させられた。関東軍の上層部には飛行機で逃げた奴もいた。もちろん自分の家族は連れて。

 いわゆる偉い人たちが全部卑怯者だったわけではない。最後まで現地に留まって日本人の帰国に死力を尽くし、その間日本人の生活の面倒を見た人もいた。最後の復員船に乗った榊谷仙次郎などはその一人である。

 棄民などは昔話だと思っていたら、そうとも言い切れない、と考えている。棄民は日本のお家芸ではないか? 最近その感慨を強くしたのは、被災した国民に対する扱いのお粗末さだ。日本の政府、国会議員の反応の鈍さはひどい。

 それを象徴するかのような言葉が特定避難勧奨地点というわけの分からない呪文である。向こう三軒両隣の家から二軒選んでこれに指定、非難するかしないかは、選ばれた家族が自主的に決めてくれ、避難すると答えた人には援助します、というのである。なぜ選ばれたか、あるいはなぜ選ばれなかったかの理由はまったく示されない。今日まで仲良く暮らしていた隣近所がこれでめちゃくちゃになってしまう。こういった無意味な地域の共同体をずたずたに切り裂くような施策をする理由は、政府はこの人々を棄民したいと思っている証拠である。要らない人々なのだ。

 避難所でばたばたと高齢者や病弱者が死んでいる。早く死んでくれれば、面倒が減る。日本は今も棄民の国である。|沼田の保守主義者|

 

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コメント

 沼田の保守主義者さんが書かれた「棄民」の記事、読み終わった後、こころの奥がずっしりと重くなってしまいました。残念ですが、いくつかの報道によっても事実と認めなければなりません。

 福島第一原発周辺にある特別養護老人ホームや養護老人ホームで、避難を余儀なくされた計12施設の入所者826名のうち77名が事故後3ヶ月以内に亡くなっているようです。この12施設の昨年同期の死者数は25名前後であったようですから、実に三倍を超えるものになっています。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110701-OYT1T01246.htm?from=main1

 福島県内の4~6月における自殺者数は160名で昨年同期の2割増となっています。岩手県や宮城県が昨年同期対比で減少しているのとは、全く正反対です。従いまして、原発事故が福島県の自殺者が増えた原因とみなすことは、ほぼ間違いないと思われます。
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110709k0000m040151000c.html

 6月下旬、南相馬市に住む93歳の女性が自ら命を絶ちました。
 3/17に次女の嫁ぎ先の相馬市へ同居の長男夫婦、孫と一緒に避難した。長男夫婦と孫は、翌3/18、片品村の民宿に南相馬市が用意したバスで移動した。93歳の女性は、長距離の移動や避難所生活などを考えて、次女の嫁ぎ先に留まった。5/3、ひとりで南相馬市の自宅に戻り、長男夫婦らも、6/6に戻ってきた。しかし、6/22、彼女は亡くなった。
 残された遺書には、「こうするよりしかたありません さようなら 私はお墓にひなんします ごめんなさい」と記されていたようです。
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110709k0000m040149000c.html
 
 93歳の女性が「私はお墓にひなんします」と書き残こすとは、原発事故とはなんとむごいのでしょう。

<向こう三軒両隣の家から二軒選んでこれに指定>

そうだとしたら、とても酷いことだと思いますが。この確認がとれません。
http://www.meti.go.jp/press/2011/06/20110616007/20110616007.html
によると、「事故発生後1年間の積算線量が20mSvを超えると推定される」地点が特定避難勧奨地点であり、選ばれた理由ははっきり示されていると思います。

 問題は、第1に、避難した住民への賠償は政府の原子力損害賠償紛争審査会で検討するとしながら、避難を希望しない住民への賠償について言及していない点にあると思います。これでは、実質的な避難強制、地域社会の崩壊を招いてしまうでしょう。
 避難しない方も、避難を検討しなくてはならない状況下で不便な生活を強要されるわけですから、避難しない方についても賠償をする方針を明言すべきです。

 第2に、避難するかどうかは最終的には個別の判断にならざるを得ないでしょうが、地域社会としてどうするかを協議する仕組みが欠けていることです。地域社会が足並みを揃えることが出来ればそれに越したことはありません。

 第3に、年間20mSvのリスクの意味が正しく理解されていないことです。地域共同体を壊してまで避難するメリットは少なくとも自然科学的にはないと思います。 

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