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« 武田邦彦はミスター風評被害だ | メイン | 原子力発電を考える群馬の会 »

2011年6月19日 (日)

本当の反原発をしてきた学者

 デタラメで放射線被曝の恐怖を煽る方達の批判ばかりしているので、原発推進派と罵られてしまいそうです。それも不本意なので、正真正銘の反原発運動を長年続けられてきた方の著書を紹介します。私の考えていること、これまでこのブログで言ってきたことは、この本でもっと解りやすくかつ高度に書かれています。

 著者の安斎育郎氏は、東大の原子力工学科第1期生で、20代のころには原子力発電の問題に気づき、アカデミックハラスメントを受けながらも、警告を発し続けてきた方です。専門は放射線防護学で、福島原子力発電所の差し止め訴訟の原告側証人になったり、原爆症認定訴訟の原告側証人にもなっています。また疑似科学批判でも活躍されている方です。

 私が強く共感したのは以下の記述です。

「私は放射線防護学の専門家として、いまとても苦しい立場にあります。被災のどん底にある人々に、原発事故に起因する放射線被曝のリスクについて語りかけるような気持ちには到底なれないのです。」(8ページ)

 学者である前に一人の人間です。こういう気持ちを抱かない人は、学者としてどうであれ人間としてとても信用する気になれません。私が、小出裕章氏を信用できないのは、こういう配慮をせずに「年1ミリシーベルトを超えるところはとても人が住めない」と平気で言うからです。

さらにこう続きます。

「放射線の危険性は危険性として認識しなければなりませんが、過度に恐れて非理性的に振る舞い、被災者にさらに無用の不安や恐怖心を与えたり、ボランティアで一生懸命救護措置にあたっている人を不要に苦しめたりすることがないように配慮しなければいけないと感じています。」(10ページ)

さらに安斎氏はこう言います。

「暫定基準いっぱいの500ベクレル/キログラムのセシウム137で汚染された食品を毎日200グラムずつ食べたときの1年間の被曝量は、幸い、自然界から受ける被曝線量に達しない程度のものです。放射線の影響を気に病むレベルからは遠いので、将来ガンになるのではないかなどと鬱々と暮らす必要はないでしょう。」(31ページ)

 また、自然エネルギーがすぐには原発の代替えにならないことを示し、原発を全部止めるためには、アメリカとの政治経済上の摩擦、停止させた原発の安全管理、火力発電所周辺の環境問題、原発労働者の生活保障の4つの問題を解決する必要があることをあげています。現実を見据えた提言です。これこそ、学者の良心だと思います。

 残念なことは、こういう名著がアマゾンの核・原発問題のベストセラーのランキングで21位であることです。上位で目を引くのが、広瀬隆、小出裕章、武田邦彦氏らの煽り本です。これが我が国の科学レベルなのでしょう。同じ反原発でも、安斎育郎氏や故高木仁三郎氏の著書がもっと上位にランキングされるようなら、こんな混乱にはなっていなかったと思います。いや、そもそも福島原発事故は防げたのではないかとさえ思います。

 なお、安斎氏の意見は以下でも読めます。
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/05/blog-post_17.html
(このサイトデタラメも混じってます)
(杉山弘一)

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本当の反原発をしてきた学者を参照しているブログ:

コメント

 私の友人の娘さんが昨年五月に福島県に嫁ぎました(福島第一原発から約40km)。私も郡山で行われた披露宴に参加し新婦の父親の友人ということでスピーチをさせてもらいました。彼女のことは、お腹の中にいる時から知っていますので、スピーチでは、彼女のお父さんが私に、子供が出来た事をうれしくもあり恥ずかしくもある表情で話した時の状況を主に話しました。後で、彼女のお母さんから聞いたところによると、自分が生まれることについてお父さんがどのように感じていたのかをはじめて知ったと喜んでいたとのことです。

 3月11日の地震で、彼女の生活は一変しました。当日は、実家とは連絡が取れず、翌日になってやっと嫁ぎ先家族の全員無事の連絡が実家に入ったようです。さらに13日の福島第一原発の水素爆発により約1週間屋内退避を強いられ、その後、避難先の70km離れた会津若松の親戚宅に移動するのに3日間もかかりその間、連絡は取れず実家では、大変心配していました。会津若松へは、嫁ぎ先の祖父母らと避難し、両親は、仕事の都合で郡山に避難し、一週間後には、祖父母の要望で、全員が避難先から自宅に戻りました。
 原発事故後、彼女は、嫁ぎ先の家族から幾度と無く、あなたは、実家に避難しなさいと言われていたのですが、家族の一員として生きることを大切にしたようです。

 福島県内に住まわれている原発事故被害者の実際の生活を私は、少ししか知りません。しかしその知り得るわずかな中にもそれぞれの人生を左右するような苦渋の選択を強いられている場面が数多くあるのです。

 今回の福島第一原発事故による放射能被害について発言されている専門家といわれる人々は、安斎育郎氏と同じ立場に立ってほしいと私は、強く願っています。

(安斎氏の立場とは、杉山さんが紹介された「私は放射線防護学の専門家として、いまとても苦しい立場にあります。被災のどん底にある人々に、原発事故に起因する放射線被曝のリスクについて語りかけるような気持ちには到底なれないのです。」や「放射線の危険性は危険性として認識しなければなりませんが、過度に恐れて非理性的に振る舞い、被災者にさらに無用の不安や恐怖心を与えたり、ボランティ アで一生懸命救護措置にあたっている人を不要に苦しめたりすることがないように配慮しなければいけないと感じています。」ということです。)

コメントありがとうございます。

木暮さん紹介の福島在住のたくきさんもこんなことを言われてます。
http://gabasaku.asablo.jp/blog/2011/06/12/5908000
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福島県から遠くで暮らしている人たちが「福島県全体を立ち入り禁止区域にしないのは殺人行為だ」などと主張しても、当の殺される側の我々はそんな簡単な理屈で動けるわけはない。福島に暮らし続け、放射線の影響で将来死ぬ(かもしれない)人の数より、福島から追い出されることで今日明日にでも死ぬ人の数のほうが桁違いに多いことは明白だ。
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武田邦彦氏に対する見方も興味深い。
http://gabasaku.asablo.jp/blog/2011/03/22/5753714

福島在住の生物学者のブログも興味深いです。
http://sallas.blog109.fc2.com/

対して、田中優「夏、若者に被災地でのボランティアは勧めない」には腹が立ちます。
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/05/blog-post_12.html

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