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メンバーの裁判

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2011年4月16日 (土)

やらない善よりやる偽善。

3月11日に東日本大震災が起きてから、ひと月以上がたち、1週間後の18日に南相馬市の人たち1000人が片品村に避難してきて4週間がたった。南相馬に戻った人や親戚などの所に移った人がいて、今、片品には700人くらいの人が滞在しているらしい。この受け入れについては異論もないし、評価もしているが、受け入れをめぐる裏には、残念ながら数々の疑問もある。

3月15日の上毛新聞によれば、千明金造村長は14日、1000人の受け入れを決めた。必要な費用を7千万から1億と見積り、専決処分で予算化、国や県の支援を前提に3千人から5千人を受け入れる準備を進める、とぶち上げた。これが村内外から「英断」と受け取られ、受け入れ応援メッセージが寄せられ、感激した若者グループが“仲間で”や“縁の力”を強調してボランティアでの協力を申し出た。

村内にある260軒の民宿や旅館、ペンションには1万人の収容力があり、新聞には、民宿旅館組合に協力を要請した、とあるが、これら宿泊施設への説明が後回しになったままの新聞発表だった。

人道的な大義には誰も表立っては反対できない村の決定に、その説明がないまま、宿泊施設は受け入れるしかなかった。尾瀬を生活圏に持つ戸倉地区の宿は、東電が尾瀬の地権者であることより、その子会社として尾瀬を管理する尾瀬林業が地区内の仲間という意識があったのだろう、南相馬から1000人の人たちが避難してきた18日、半分の500人を受け入れたが、尾瀬戸倉観光協会のこの意気はもっと評価されてもいい。

受け入れから10日ほどたって、村観光協会が、4月2日に南相馬の人たちを他の宿泊施設へ移すことを決めた。村全体で受け入れる、他の地区の宿の受け入れ体制が整った、が移す理由らしいが、そこには南相馬の人たちの思いも当初受け入れた宿の思いもまったく反映されていない。実際、戸倉の宿では決定が伝えられたとき、南相馬の人たちも宿の人たちも涙、涙になった、と聞く。ある宿の主人は「情が移って」と言ったが、大変な思いを味わった人たちと幾日かでも共同生活をすれば、人として自然の感情だろう。

医療でも介護でも最優先されるべきは、そのサービスを受ける人たちの思いであって、今回の受け入れについても、南相馬の人たちの思いが最優先されるべきで、次が受け入れた宿の人たちの思いなのだが、村はそれをまったく理解せず、ただ杓子定規に移動を決めた。金造はこの決定を村観光協会に任せてある、と言っているようだが、そもそも、金造が村観光協会長なのだから、これで責任を逃れることはできない。

受け入れている宿からの要請を受けて、受け入れから10日たった28日、ようやく役場2階会議室に宿の人たちを迎えて、村の受け入れ決定に関する説明会が開かれた。一向に収束に向かわないどころか、日に日に新たな事態を見せる福島原発の予想される長期化は金造の想定も越えていたのだろう、「ご理解の上、ご協力を」に終始した。「戸倉の○○です」、「花咲の○○です」と名乗っての質問を遮って、名前も名乗らず、どこかの馬鹿女将が「そんなこと言っている場合じゃないでしょ」とやったが、こんな馬鹿が応援するから、金造は図に乗るばかりで、金造の馬鹿も一向に改善しないのだ。

いち早い受け入れ決定が金造の「英断」だとしても、物事にはすべて後先があり、実際に受け入れるのは宿泊施設の人たちなのだから、決定を発表する前にその説明会を開いて理解を求め、協力を仰ぐべきで、場合が場合なのだから、急げば2、3日あれば足りるだろう。そこに考えが及ばないのは金造の知能の限界なのか、決定を急ぐ裏に何かの思惑があったのか、と勘ぐらざるを得ない。

この説明会が開かれた週末の4月2日、戸倉に残っていた380人が他の地区への移動を余儀なくされた。その時の様子が3日付けの朝日新聞 東京新聞 に載っている。戸倉のいくつかの宿では、福島原発が収束するまで半年でも1年でも、と腹を括ったらしいが、まったく聞く耳を持たない村のやり方に反発して、戸倉観光協会の意志として全員の移動を受け入れた、と聞いている。南相馬の人たちとの名残りを惜しみつつ村への怒りで送り出したのだろう。

次に受け入れた土出や花咲の宿でも、期限が切られ、次の移動が決まっているという。村は南相馬の人たちを何だと思っているのか。突然の地震で日常を断ち切られ、仕方なく避難して来て、帰りたいと思っても、原発の事故の影響で帰れない人たちなのだ。できるだけ日常に近い環境を用意することが受け入れた側の役割ではないのか。村の都合でたらい回しするなど、以ての外である。そして、村全体で受け入れる、と言いながら、民宿組合やペンション協会に加入していない宿には、受け入れる意志があっても、情報も届かず、受け入れることもできないらしい。今に始まったことではないが、この村のやることはおかしいことだらけである。

話は前後するが、南相馬の人たちが3月18日の夜10時を過ぎて到着し、全員が宿に落ち着いたのは夜中の2時3時を回っていたというが、翌朝8時半に金造は防災無線を通じて南相馬の人たちに向けた挨拶をした。突然の防災無線の音に、わずか1週間前の地震の恐ろしさが甦って震えだした人たちがいたという。この配慮を欠いた早朝の挨拶を、あのだみ声の早口で金造はわざわざ2度も繰り返した。その中で金造は、「私自身も佐藤福島県知事とは、大変親しくさせていただいております」と、年に1度の尾瀬サミットで顔を合わせるだけだろう福島県知事を持ち出し、わずか5000人の小さな村の首長でも、県知事と肩を並べる大物だ、とアピールしたかったのだろう。金造の貧しい想像力ではこういう福島県人 がいることも、同じような考えでいる南相馬の人たちがいることも想定外なのだろう。

  金造はこの挨拶の中で「村内の被害はほとんどありませんでした」とやって、少なからぬ村民の神経を逆撫でした。確かに地震による村内の土地や家屋への一次被害はなかったものの、スキー場は休業を余儀なくされ、そこで働いていた農家の人たちの冬の収入は途絶え、民宿やペンションの予約はほとんどがキャンセルになったのだ。広く全体に目配りをする視野に欠けた金造は、自分をアピールすることに汲々とし、この二次被害には考えが及ばない、その程度の男なのだ。

挨拶の最後に金造は「村民の皆さんには、想像を絶する恐ろしい思いをされて、片品村に避難してこられた、 多くの被災者の皆さんに、片品村民らしい、温かい励ましの声をかけていただきたいと思います」と言っているが、村からの説明も受けないまま、黙って南相馬の人たちを受け入れた宿の人たちの善意に比べれば、いちばん片品村民らしくないのが「金造、お前だろ」ということだ。

村は7日、地元での就職を希望する南相馬の人たちを対象に初の企業説明会を開き、4社が名乗りを上げた。村の担当者は「避難生活が長期化した場合、雇用問題が今後の大きな課題となる。村としても積極的に支援したい」と東京新聞 にはある。この企業説明会に反対するものではないが、何かおかしくないか。地元に残りたいと思っても、村内に就職口がないから、とこれまでは学校を卒業すると外へ出て行く片品の子供たちを、毎年毎年手を拱いて見送りながら、村の人口が減る、高齢化が進む、と嘆いていたのは、何処のどいつだ。雇用問題はこれまでにも大きな課題だったのではないのか。南相馬の人たちが来たから、初めて雇用問題に気が付いた、というわけか。

要するに、役場入口正面に貼り出された「受け入れ応援メッセージ」は、受け入れを決めた村の自画自賛メッセージというわけだ。このひと月、南相馬の人たち受け入れに関連して村がやってきたことは、「片品村を二元代表するKYたち。」に寄せられたアンチマスヨのコメントにある「やらない善よりやる偽善」が言い得て妙である。どうせ偽善をやるなら、それを徹底する、というのもひとつの手だ。国や県の支援を前提に3千から5千人を受け入れる準備を進める、なんてセコイことを言わず、片品の260軒の宿泊施設の収容力いっぱいの1万人を受け入れることだ。4月12日の上毛新聞 にも、「群馬デスティネーションキャンペーン」にも暗雲が立ち込める、とあるように、今年は観光客の激減が予想されるのだから、計算できない客数に期待するより、いっそ今年は通常の営業を捨て、1万人受け入れにシフトする。費用をどうするか、のヒントは4月9日付け朝日新聞 にある「観光庁は3月24日からホテル、旅館の業界団体を通じ、対応できる宿泊施設を募った。災害救助法に基づいて1泊3食付き5千円を国が負担し、最短でも1ヶ月以上は継続して受け入れるというのが条件。8日現在で40都道府県で13万6900人の受け入れが可能という」これだ。通常営業との料金の差額分は東京電力に請求すればいい。宿の人たちは忙しくなるだろうが、これだけのことをすれば、スキー場の休業や続出した予約キャンセルで蒙った損害を多少でもカバーすることはできるだろう。交渉の先頭に立つのは勿論、千明金造だ。奴の交渉能力のほどは不明だが、奴にとっては男を上げるチャンスだし、1万人を1年間受け入れる、と言えば、全国的に村の知名度も上がる。一石二鳥だ。

  この提案が荒唐無稽だ、と言うなら、村は受け入れの本来の意味を理解し、そこに戻ることだ。南相馬の人たちがいちばん望むのは、一日も早く南相馬に帰って、断ち切られた日常を取り戻すことだろう。今はまだそれが叶わないなら、せめて片品で日常に近い生活を送れるように、その環境を整えるのが受け入れた村の使命だ。つまり「片品村民7年目」さんが言うように、廃業した旅館、集会所、空家をリストアップし、すぐに家主との賃貸契約の交渉を始め、一日も早く今残っている700人分の住まいを確保する。どうしても足りなければ、休耕田畑を借り上げて仮設住宅を建てる。それでも足りなければ、金造が産業廃棄物を不法投棄したあの土地にも仮設住宅を建てる。「あの程度は問題ない」とした産業廃棄物も撤去したのだから、文字どおり問題はないはずだ。費用は災害救助法に基づく1泊3食付き5千円で賄えばいい。足りない分は東電がつぶれる前に補償交渉をすぐに開始する。忙しくなるぞ。酒を呑んでいる暇がないぞ。後を継ぐ、と言っていた、その前任の賢二前村長は任期中、酒を断っていたそうじゃないか。そこも後を継いで、急げ!金造。(木暮溢世)

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やらない善よりやる偽善。を参照しているブログ:

コメント

本題からずれてしまいますが、

「こういう福島県人」のリンク先
何を今さら!!
http://abukuma.us/takuki/11/059.htm

 福島の原発非難地域についての分析ですが、素晴らしい内容です。今求められているのは、こういう分析です。単に非難地域を50Kmまで拡げろ等と無責任なことを言っている奴らとはまったく違います。

 それから、私はこれまで、東電の責任を繰り返し言ってきましたが、忘れてはいけないのは、安全審査をとおした国の責任です。あとで詳しく書くつもりですが、安全審査のデタラメさは酷いです。

こんばんは、ACです。

 はじめに、初めてのコメントで木暮を小暮と間違えまして申し訳ございませんでした。
 
 相変わらずの木暮節、待ってました。
自分も片品には知り合いが多数おりまして
例の受け入れの件もいろいろ聞いておりました。

 びっくり話:その1

 迎えに行ったバス25台
 役場職員他、13名(らしい)。じゃあ12台のバスは運転手とガイドと片品がどんな所かも解らない人をろくな説明もないまま連れてきた。

 その2

 中には車いすがなければトイレにも行けない老人もおり、役場職員が、おんぶしてトイレまで送迎した。まだ役場の人間が乗っていたバスはいいけど。。。

 その3

 「むらんてぃあ」だか、「村てぇ」
だかがあまりにも一生懸命がんばるので、
民宿の旅館の人は、その人間まで受け入れ人数にいれてしまった。「荷物、持ちます」とか言って、バッグ一つ嬉しそうに運んでほんとに邪魔だった。

まだまだ、ありますが今日の所はこの辺で。
 
P.S
 受け入れの関係は村づくり観光課がやってるって、なぜ?総務課じゃないの?

以上ACでした。
 


    

杉山さん、

<本題からずれてしまいますが>

 対象をふたつ考えて、このリンクを紹介しました。「私自身も佐藤福島県知事とは、大変親しくさせていただいております」の千明金造には、「佐藤雄平と、あっさりとプルサーマルを受け入れ、東電の言いなりになっていたのはあんただろ」から「余計なことを言ってますます県民の命を縮めるなら、何も言わずひっこんでいろ」までで十分かな、と。
 その先の分析は、フラットな地形と無風状態でない限り、半径20キロとか30キロという括りは大雑把過ぎるだろ、と考えていましたから、一般向けには有効かな、と。

ACさん、
 コメントありがとうございました。先のコメントで、片品の方かと思っていましたが・・・。

 びっくり話:その1、その2は私も知りませんでした。その3のバッグ一つ嬉しそうに運んでいたのは・・・。バスが到着したとき、いろいろあった、と聞いていますので、想像はつきます。他にもおもしろネタ、いろいろ教えてください。

 受け入れ関係がなぜ総務課ではなく、村づくり観光課なのか。想像ですけれど、南相馬の人たちにイイ顔して、働き盛りに移住させようという企みか、と。長期滞在、半定住を謳って演劇をやって、団塊の世代の懐(退職金)を狙った山賊のような村ですから、今回も、今まで村の子供たち向けにはやったこともない企業説明会をやって、納税者が増えれば税収も増える、人口が増えれば村に落ちる金も増える、というわけでしょう。ただ、この村の人、よそ者には土地を売らないどころか、家も貸したがらない。というわけで、先日も防災無線で村づくり観光課が空家集めの呼びかけをしていました。受け入れのためではなく、南相馬の人に限らず、移住者のためにって。
 で、住民票を移した途端「ここは片品だからネ、ここのやり方に合わせてネ。あんた、よそ者だからネ」。

<プルサーマルを受け入れ>

 電力会社の擁護をするつもりはまったくありませんが、多くの方がプルサーマル関して誤解しているようなので説明しておきます。
 プルサーマルつまり、Mox燃料を使うと原子炉の安全性は低下します。ウラン燃料に比べ運転もやっかいです。それだけではありません、Mox燃料はウラン燃料よりも高いのです。したがって、プルサーマルを実施すると電気料金が高くなるのです。電力会社もこれを認めています。
http://www.kepco.co.jp/plu/19.html

 では、なんでプルサーマルをやるのか。電力会社はやりたくないけど、国から強要されているのです。勘弁してくれというのが本音でしょう。
 あえて、電力会社のメリットをあげるとすれば、プルサーマルを受け入れることで、国との蜜月関係を維持し、電力独占体制を維持するということでしょう。

 で、なぜ、国はプルサーマルをやるかと言えば、使用済み燃料の再処理を止められないからです。一度決めた政策を変えられないからです。その結果プルトニウムが余ってしまい、アメリカからは核兵器をつくる気かと文句を言われ、仕方なくやっているのです。

 これほど無駄なことはありません。

Ppl like you get all the barins. I just get to say thanks for he answer.

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