福島原発で起こっていることを理解するために
福島原発の状況について、さまざまな情報が飛び交っています。原子力反対派と称する中には、残念ながらとんでもないデタラメを述べて恐怖を煽るだけの方がいます。したがって、どの情報を信じるかということがとても大切になってきます。
私が、お勧めするのは、以下です。
京都大学原子炉実験所 小出裕章氏に聞く 4月10日付けUSTREAM
1時間を超える動画です。なぜ冷却が必要か、臨界とは何かといった基礎的な知識の説明から、今後の起こりえる最悪の事態も含めて、公開された情報を論理的に分析をして予測しています。また、もんじゅ・再処理といった原子力問題の本丸にも言及し、電力需要、電力コストの観点から原子力政策の間違いを指摘しています。
日本科学者会議 科学者による原発事故の解説は良くできています。
なお、反原発運動家と称する広瀬隆氏、田中優氏の情報は間違いが多すぎます。技術的な点について、彼らの言うことを信じてしまうと、いったい何が起こっているのか、何が問題なのかが、かえってわからなくなると思います。(杉山弘一)
初めて投稿します、みなかみ町に住む者です、
小出さんの話、良く理解しました。とても為になりました。こんな無用の長物を、強欲と私利私欲、傲慢と無知と癒着体質とで強引に造ったもんだとあきれます。
私にとって小出さんの話は、広瀬隆さんの話よりホントの恐さを感じました。私は広瀬隆さんを否定はしたくないです、彼は小出さんのいわばスポークスマンみたいな人?本も書き、大衆に露出させた人でしょう。
で、小出説を詳しく聞けば聞くほど福島は確実に破滅に向かっているように受け取れました。
ということは、日本の破滅に繋がるかもしれないと…。
覚悟しておいた方が良さそうですね。
しかし、あの連中は…核実験を世界中いたる所で、そこに住む人達の人生もその未来を担う子供達までも踏みにじりながら2053回もやってきた人達ですから…何も感じていないのでしょう。
核を弄んでいる人達、私の目には何かの狂気に動かされているある集団に見えてきてしまいます。
人間の心の闇に潜む悪魔の存在を見せてくれる、何かの役割があるのかもしれません。
が、それもこの美しい地球と同じ、神の創造物なのでしょう??そう思いたくないですが…
投稿: 福岡聖子 | 2011年4月12日 (火) 14:15
福岡聖子さん、コメントありがとうございます。
<こんな無用の長物を、強欲と私利私欲、傲慢と無知と癒着体質とで強引に造ったもんだとあきれます。>
たしかに呆れますが、なれ合い議会や談合を放置している社会も同じ程度でしょう。
<私は広瀬隆さんを否定はしたくないです>
否定したくないお気持ちは解りますが、デタラメを言っているのは事実です。否定したくなくてもしなければならないと思います。「仲間だから否定できない」という遠慮の蓄積が癒着体質を生むのではないでしょうか。
例えば、広瀬氏は海水を入れたことを「原子炉のお釜の下には、こんなに複雑な何百という配管があるんですよ。そこに海水の塩分が付着したら、どうなりますか。錆びたらいくら電気が回復しても、正常に機能しますか」と非難していましたが、全くのデマです。
海水を入れたら、いずれ問題が起こることは関係者は皆承知です。それでも、海水を入れざるを得なかったのです。事故はそれほど深刻で、冷却はそれほど重要なのです。これは、基本中の基本です。
海水を入れれば原子炉が使い物にならなくなります。廃炉です。東電はそれを気にして、海水注入に二の足を踏んでいた様子なのです。もっと早く、海水を入れことが出来ていれば状況は違っていたでしょう。
だから、当初海水注入に抵抗した東電幹部こそが批判されるべきなのです。しかし、広瀬説によれば、責任は、海水注入をためらった東電ではなく、海水注入を指示した(とされる)政府にあることになります。
この手の事例はたくさんあります。
ましてや、根拠のない放射線の影響の過大評価(デマ)はすざましく、多くの医療現場、宿泊施設、介護施設を混乱に陥れる一因になっています。許されることではないと思います。
<彼は小出さんのいわばスポークスマンみたいな人?本も書き、大衆に露出させた人でしょう。>
これは違います。大衆ならば嘘を言っても良いとはならないと思います。むしろ、技術の素養がある方が呆れて離れていく弊害の方が大きいと思います。
少し古い話ですが、東京反核医師の会に所属している放射線医学者の野口邦和氏が「デタラメだらけの広瀬隆の危険な話」という論文を書いています。原発反対派でもまともな学者は困ったものだと思っているでしょう。
そういえば、広瀬氏は講演の中で「放射線を浴びたら、酵母菌を使った手作りの味噌が効く、広島で効果があったという話がある、酵素飲料も効くが種類による、詳しくは自分の娘がやっている自然食品の店に電話してほしい」と言ったそうです。(http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-297.html )
<小出説を詳しく聞けば聞くほど福島は確実に破滅に向かっているように受け取れました。>
受け取り方が間違っています。確実に破滅に向かっているわけではありません。あくまでも最悪のシナリオです。小出さんも何度もそう言っているはずです。
そこを正しく理解しないと広瀬氏や田中氏同様、風説の流布者になってしまいます。
なお、小出さんの言っていることは何も特別な説ではありません。現時点での予想・推測ですから細かいところで、多少の違いはありますが、原子力発電所のことを多少知っている人なら誰でも思いつくシナリオです。
推進派と呼ばれる方達もほとんど同じ見解です。ちがいは、積極的に説明するか否かだけでしょう。
広瀬氏や田中氏が、裏にもっと重大なことがあるかのように言い振らしているだけです。もっとも、彼らは本当に解らないのかも知れませんが。
<しかし、あの連中は…核実験を世界中いたる所で、そこに住む人達の人生もその未来を担う子供達までも踏みにじりながら2053回もやってきた人達ですから…何も感じていないのでしょう。>
核実験をやった人達と原子力発電を推進してきた人達を一緒にするのは間違いです。
原子力発電に係わっている人達も、ごく普通の善良な市民です。今回の原発避難者には、原発で生計を立てていた方がたくさん含まれています。だからこそ問題解決が難しいのだと思います。
憶測ですが、核実験の研究者もそんな悪人はいないでしょう。普段は善良な市民でしょう。だから難しいのだと思います。
私は、もし自分がその中に入っていたら、どうやって「ノー」が言えるかということを考えていますが、そう簡単ではありません。
投稿: 杉山弘一 | 2011年4月12日 (火) 16:03
ついでに田中優の講演
http://www.ustream.tv/recorded/13373990
「私たちが選ばなくてはいけないのは、有機無農薬の空気である。」
おいおい。有機無農薬の空気って何が入っているの?
「事故から2~3週間のうちなら、野菜に付いた放射能は乗っているだけなので洗えば落ちる。
しかしそれ以上経ったものは微生物が取り込んだヨウ素を植物が吸い上げているため、野菜も牛乳も危険となる。」
おいおい、ヨウ素が悪いのか。暴論を超えて、珍説・奇説。
「今回の事故で、ヨウ素剤はどこの自治体でも用意していなかった。」
嘘もいいかげんにしなさい。
「そして、ヨウ素剤は医師が用意するものであるとか、海藻を食べてもかえって害になるので食べないで下さいとか医師が言っていた。」
海藻を食べるなと入ってないでしょう。うがい液等を飲むなと言ってるのすよ。
「しかし甲状腺の検査をする時は1週間前から海藻を取らないで下さいと医師から言われる。
やはり海藻のヨウ素が溜まるではないか。」
「専門家を信じてはいけない。」
勝手にしなさいよ。
「海藻は30グラムまでなら食べる事は確かに効果がある。」
何に効果があるの。
「ヨウ素剤が配布されるまで待っている事はできない。」
勝手に飲んでろ。
そもそも、半減期はどうなってるの?そもそも、ヨウ素が危険なのではなく、ヨウ素131などの同位体が出すβ線が危険なことも知らないの。
もう、無茶苦茶。
オカルト番組よりひどいです。失礼だけど沼○の市議よりもひどい。悪質極まりない。ここまで来ると犯罪だと思います。エセ新興宗教の類です。
こんなのに大勢集まれば、反原発派はバカばっかりだと思われます。東電の回し者じゃないかとさえおもいます。
投稿: 杉山弘一 | 2011年4月12日 (火) 20:40
福岡聖子さん、実名でのコメントであれば、その勇気を歓迎します。ただ、あなたの意見はエモーショナルに過ぎる、と感じます。
広瀬氏を「本も書き、大衆に露出させた人」という評価をするのであれば、彼は事実に徹するべきで、憶測や想像、事実に反することを書いているとすれば、「社会派」を商売にしている、としか捉えることができません。実際、海水を入れたことに対する解釈を、杉山氏は「全くのデマ」と断定しています。しかも杉山氏はその根拠も示している。
<福島は確実に破滅に向かっているように受け取れました。ということは、日本の破滅に繋がるかもしれないと…。覚悟しておいた方が良さそうですね。>
あなたは、今の時期、これを読んだ福島の人たち、日本の人たちがどう感じるか、は考えませんか。不安を煽っているだけ、とは感じませんか。私のシニカルな視点には、新興宗教やカルト教団の「掴みの台詞」にしか聞こえませんが。
<しかし、あの連中は…核実験を世界中いたる所で、そこに住む人達の人生もその未来を担う子供達までも踏みにじりながら2053回もやってきた人達ですから…何も感じていないのでしょう。>
あなたが原発に反対していることは十分わかりますが、あの連中、と十把ひとからげにすることには無理がある、と思います。私も反原発の立場ではありますが、原発そのものが悪い、とは考えていません。絶対安全と断言する推進派の傲慢や、取りまく人たちのいろいろな見方が良くも悪くもしている、と考えいます。ただ感情的に反対することにも反対です。
<核を弄んでいる人達、私の目には何かの狂気に動かされているある集団に見えてきてしまいます。
人間の心の闇に潜む悪魔の存在を見せてくれる、何かの役割があるのかもしれません。
が、それもこの美しい地球と同じ、神の創造物なのでしょう??そう思いたくないですが…>
今、福島原発で起きている事象は現実の問題です。現実の問題を議論するときに、宗教的観念論を持ち出すことには大きな違和感を覚えます。
しかし、敢えてあなたの観念論に反論するとすれば、「神は愛なり」とする西洋キリスト教の教えに照らせば、万物が神の創造物とする中に「悪魔」が存在するはずがありません。太陽からの光を「縁の日だまり」と捉えるか「砂漠の日照り」と捉えるか、はすべて人の思いの中にある、と思います。沼田のある保守主義者さんが3月29日の『神の火』と題する原稿の最後を「われわれは身の程をわきまえず神の火に手を出し、今その不遜を罰せられるのだ。」と結んでいらっしゃいますが、その言葉通り、謙虚さを忘れた人間への戒めである、と思います。
投稿: 木暮溢世 | 2011年4月13日 (水) 06:45
お二人からの早速の返答ありがとうございます。
私の意見は感情が先立っているとは思いませんし、それ自体過ぎるとは思っていません。
ここは投稿する人それぞれ自由に自分の意見を述べていいところですよね?木暮さんからこれほど批判(笑)が入るとはビックリです。一つ一つコメントをお返ししたいところですが、またそれに批判が入ると思われるので止めます。批判よりご自分の意見を先ず表明してはいかがでしょうか?私はこのサイトは自由な情報交換の場であろうと思い、有効に利用したいと思い参加させて頂いています。
自分の価値観や宗教観(宗教とは違います)と同じ人はいないでしょう?だから面白いと思いませんか?
ただ、私のコメントが有益でないと思われ排除されようとしているのかな?とも感じました。
いい勉強になりました。ありがとう。
投稿: 福岡聖子 | 2011年4月14日 (木) 11:41
わずか1グラムのウラニュウムの原子核を分裂させるだけで石油2000トン相当の熱エネルギーが得られる核分裂とはなんという福音だろう、と原子力推進派の人々は思ったに違いありません。私のごとき保守主義者でも人々の驚喜はわかります。しかしこのお話には続きがあったのです。皆様は「猿の手」という話を聞いたことがあるでしょう。インドの古物商がくれた猿の手は願い事が三つ叶う魔法の手ということを聞いて、大金がほしいと願をかけると、息子が大金持ちの馬車に跳ねられ瀕死の重傷を負います。大金持ちの執事は見たこともない大金をくれます。母親は金など要らないから息子を返してくれと嘆きます。すると跳ねられたのは息子ではなかった、と使者が来て、大金を取り返して行きます。母親は猿の手の魔法の恐ろしさに気付き
ガンジス河に猿の手を捨てます。原子核分裂をエネルギー源に利用するのは、猿の手に願をかけるのと似ていなくもありません。
願いは叶います。しかし、いつか恐ろしい代償を払わねばなりません。たとえ事故が起きなくても廃炉のときがきます。どこへどのような形で廃棄するのですか?いくらぐらい費用をかけるつもりですか?今日本にはプルトニウムが山のようにあります。もんじゅの増殖炉は人類が夢に見た無限エネルギー発生装置という猿の手です。わたしは一度杉山弘一氏にこの原子炉が大事故を起こすとなにが予想されるか聞いてみたいと思っています。
投稿: ある保守主義者の意見 | 2011年4月14日 (木) 21:31
福岡聖子さん
<批判よりご自身の意見をます表明してはいかがでしょうか?>
その通りですね。
「私も反原発の立場ではありますが、原発そのものが悪い、とは考えていません。絶対安全と断言する推進派の傲慢や、取りまく人たちのいろいろな見方が良くも悪くもしている、と考えています。ただ感情的に反対することにも反対です。」
これが原発に関する私の意見です。これ以上に言える科学的知識がありません。ですから、鐸木能光氏のブログを紹介したときも、載せるかどうかの判断を杉山氏にお任せしました。原発そのものが悪いと考えていない、というのは、絶対安全などありえない、と思うからで、単純かもしれませんが、それが原発に反対する理由です。例えば、コンビニの明るさに、そこまで明るくする必要はないだろう、という感情も多少は影響しています。
<自分の価値観や宗教観(宗教とは違います)と同じ人はいないでしょう?だから面白いと思いませんか?>
その通りだと思います。あなたのコメントが有益でなく、排除したい、と思ったわけではなく、科学の分野は科学的に議論することが相応しい、と考えているからです。言葉尻をとらえて批判したように感じさせてしまったことは、私の言葉が足りなかったか、と反省しています。宗教的と言ったのは、既成の宗教のことではなく、自己陶酔的観念につながるものの総称として言いました。
投稿: 木暮溢世 | 2011年4月15日 (金) 06:28
ある保守主義者さん
質問に答えます。
<もんじゅの増殖炉は人類が夢に見た無限エネルギー発生装置という猿の手です。わたしは一度杉山弘一氏にこの原子炉が大事故を起こすとなにが予想されるか聞いてみたいと思っています。>
もんじゅのような高速増殖炉も大事故が起これば、大量の放射性物質が放出されるという点では、福島のような軽水炉と同じです。
大きく異なる点は二つだと思います。
まず、高温の液体ナトリウムを冷却材に浸かっていることから、福島のような設計想定を超えた事態になったとしても、水をかけて冷却することが出来ないことです。ナトリウムは水や空気と激しく反応するので、水をかければ爆発します。自然循環による冷却がある程度期待できるなど挙動は異なりますが、仮に福島のような状態になれば、格段に厳しさが増します。
もう一点は、再臨界がおきやすいことです。その理由は、燃料の違いです。もんじゅでは、福島3号機の一部と同じプルトニウムが入ったMOX燃料を使いますが(一部ではなく全部)、核分裂性プルトニウム富化度(割合)が20%程度と福島の数%に比べ大きくなっています。
この点からも、福島のような状態になれば格段に厳しさが増します。
しかし、もんじゅはもう動かせないでしょう。液体ナトリウムを使うというのは工学的に難しすぎます。
もんじゅタイプの原子炉(FBR)の開発が一番進んでいたのはフランスです。
20年以上も前に、Phoenix(不死鳥)、Super Phoenix (超不死鳥)という原子炉がありましたが、満足に動かすことが出来ずに開発を断念しました。アメリカはとっくの昔に止めています。ドイツもイギリスも止めています。ロシアは良く解りませんが、まったく無理でしょう。
出来っこないFBR開発をだらだらと続けているのは日本だけなのです。不死鳥ですら、もうよみがえらないのに何をやっているのかという思いです。
投稿: 杉山弘一 | 2011年4月15日 (金) 07:27
小出氏の解説を好意的に紹介したことを反省しています。
技術的にデタラメばかりの広瀬隆氏、田中優氏との対比で、高く評価しすぎました。たしかに、紹介したビデオの内容は間違っていないと思います。
しかし、その後の言説を見ていくうちに、小出氏の底の浅さに気づきました。きっけかけは、校庭の20mSv 問題です。不安を煽って混乱を招いた責任は大きいと思います。技術的にも底が浅いと言わざるを得ません。
詳細はいずれ投稿するつもりですが、批判的な評価もあるというスタンスをとって頂きたいと思います。
投稿: 杉山弘一 | 2011年6月11日 (土) 05:46