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2011年3月30日 (水)

沼子になるな

 茨城で農家の方が自殺された。原因は放射能による出荷制限を苦にされたことのようだ。責任は、もちろん事故を起こした東電にある。しかし、根拠なく被曝リスクを過大評価して、風評被害を広めた方々も無関係ではない。

 余計な放射線など浴びない方が良い。しかし、現実に、放射性物質は群馬まで飛んできているのだから、事故による被曝をゼロにすることなど出来ない。だから、今は、被曝のリスクを正しく把握することが必要だ。過小評価もいけないが過大評価もいけない。

 私たちは日常生活を通じて、宇宙(太陽と銀河からの宇宙線)や大地からの放射線を受け、さらに空気中に含まれる自然の放射性ガス(ラドンなど)の吸入や食物に含まれる自然の放射性物質の摂取による放射線を受けている。自然放射線である。

 日本人の1年間の平均被ば く線量は1.45mSv程度でその内訳は以下の通りである。
 
大地放射線            0.32mSv (外部被曝)
宇宙線               0.27mSv (外部被曝)
カリウム(K-40 )等の経口摂取 0.41mSv (内部被曝)
ラドン等の吸入          0.45mSv (内部被曝)

 自然放射線の量は国や地域によって異なり、インドやブラジルの一部には年間10mSvを超えることがある。

 人体はこれらの量の被曝を一生受け続けている。50歳の人は、生まれてからこれまでに、1.45mSv×50年=72.5mSvの被曝をしているのである。

 群馬でも一キロあたり約2,680ベクレルの放射性ヨウ素がホウレンソウから検出された。このホウレンソウを20g摂取すると50年間で(50年と言っても、大部分を当初の1ヶ月程度で浴びてしまう)0.00115mSvの被曝をする。1kg摂取すると0.0575mSmVの被曝をする。
 1kg食べて、胃のエックス線集団検診を1回受診した場合の被曝量約0.6mSvの約十分の1程度の影響がある。

 これをどうとらえるかは、人によって違うだろう。しかし、「致命的」だととらえるのは、明らかな誤りだ。まして、問題になっていない野菜まですべて摂取を控えるなどと言うのは、明らかに行き過ぎだ。気になるなら、良く洗って食べれば良いだけの話だ。

 それでも、念には念を入れて、群馬産の野菜は一切食べないようにしようという方もいるだろう。沼子である。
 沼子は、ファーストフードのハンバーガーを食べた。もちろん、野菜の載っていないチーズバーガーだ。沼子は、食べた翌日、ハンバーガーの中にタマネギが入っていたことを知った。気になって、店に産地を問い合わせると「新鮮な地元産のタマネギを使っています。」といわれた。沼子はタマネギからの放射線でガンになるのではないかと思い出した。心配しすぎて、ついには胃が痛くなってしまった。沼子は、ガンになったかも知れないと思い医者にいった。医者は沼子にこういう。「特に問題ないので、しばらく様子を見ましょう。」 しかし、沼子は食い下がる。「念のため、レントゲンを撮って下さい。」

 ところで、人体も放射線を出していることをご存じだろうか。
 食品中に含まれているカリウム40は、食物を通して人体に摂取されるが、その濃度は生理的に調整されていて、つねに一定である。半減期も12.8億年と長い。したがって、体内量も一定である。その量は、体重60kgの成人男子で約4,000ベクレルになる。さらに、カリウム40以外にも、炭素14が2,500ベクレル、ルビジウム87が500ベクレルなどもあるから、60kgの人は、およそ7,000ベクレルの放射能を体内に有しているのである。もちろん、健康な母親の母乳からも1キロあたり約100ベクレルの放射線が出ているのである。(放射線の影響を受けやすい甲状腺にあつまるヨウ素とカリウムや炭素を単純には比較できないので、あくまで概要を示すための試算である。)

 沼子には乳児がいる。自分も放射線を出していることを知った沼子は果たしてどんな行動を取るのだろうか。(杉山弘一)

参考文献

緊急被ばく医療研修のホームページ

原子力百科事典

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風評被害に関してはこんな意見もあります

中部大学 武田邦彦
http://takedanet.com/2011/06/post_94e5.html

リンクはこちらでした↓
http://takedanet.com/2011/06/post_6864.html

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