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メンバーの裁判

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2011年3月25日 (金)

デマに騙されるな

 放射性物質が群馬にも飛んできた。しかし、今はまだ微量である。人体への影響は無視出来るレベルである。
 しかし、この事実を否定するデマを飛ばし、騒ぎを拡げ、社会を混乱させ、その結果として、弱者を苦しめ、場合によっては死に至らしめて喜んでいる愉快犯がいる。

 やっかいなのは、こういったデマを信じ、それを拡げる連中だ。2011年3月23日 (水) 19:52のコメントをしたこまちゃんのような方達だ。コンピュータウイルスに感染してそれをまき散らすように、犯罪に加担しているのに、悪意がないから自分が良いことをしているつもりで一生懸命になっているからだ。デマの被害者でもあるが、完全に加害者になっている。

 非常時の今、まともな方達は、今の被曝レベルが直ちに健康に影響を及ぼすものではないことを訴えている。冷静な対応を求めている。風評被害の拡大を防ぐためだ。その点で原子力推進派も反対派も関係ない。

 群馬県も放射性物質汚染に対する農産物の安全検査についての中でこう言っている。

「2,630Bq/kgのヨウ素が検出されたほうれん草を20g食べた時の人体への影響は、2,630Bq/kg × 20/1000 × 2.2×10-5 = 0.00115mSv になります。0.00115mSvの人体への影響は、胃のエックス線集団検診を1回受診した場合の人体への影響(約0.6mSv)の約500分の1です。」

 これを鵜呑みにせずに、批判的に見ることは必要だが、大筋で間違いはない。これは、私が言っているだけではない。日本の反原発運動をリードしてきた原子力資料情報室も政府や自治体が公表しているこの種の情報をまったく批判していない。

 しかし、悪質なデマはこう反論する。

 これには、重大な話(論理)のすり替えがある。と思います。
 線量限度というのは、外部被曝、つまり、体外に存在する放射性物質が放つ放射線を浴びるという事象を本来対象にしたものです。空間線量も外部被曝の尺度です。
 これに対して、放射能を帯びた水や食物を摂取することは内部被曝、つまり放射線を放つ物質を体内に取り込んでしまうことです。当然、そういうものを摂取すれば継続的に被爆し続けることになります。

 しかも、放射線を出す物質は細胞組織の中にあるのです。人体への影響は外部被曝の比ではありません。外部被曝の尺度で、内部被曝の危険性を論じて、安全だと言い張っている。

どこがデマなのか、解説しよう。
  2011年3月23日 (水) 19:16のコメントで述べたことだが、県の公表値は、すでに外部被曝と内部被曝の違いを考慮して、人体への影響という尺度であるシーベルトで比較しているのである。
 ヨウ素131が摂取され、放射線の影響を受けやすい甲状腺に停滞し、極めて近距離で周辺の細胞を継続的(50年で評価)に照射する。それらの要因を全て考慮して、胃のエックス線集団検診を1回受診した場合の人体への影響(約0.6mSv)の約500分の1といっているのである。

 エックス線検診装置の線源の強さは500ベクレルである。これに対して、ホウレンソウを食べてヨウ素131が甲状腺に集まったとしても、1ベクレルにしかすぎない。だから、安全だ。

 仮に、政府や県がこう言っているならば、デマが指摘するように悪質な論理のすり替えである。それを指摘するのは当然である。しかし、政府や県はそんなことは言っていない。デマの方が論理をすり替えているのである。

 デマは、放射線源の強さを表す指標であるベクレルと人体への影響を表す指標であるシーベルトの違いが解りにくいことに乗じて、外部被曝と内部被曝の違いを取り出し、不安をあおっているだけだ。絶対にこの手の話しに騙されてはいけない。

 ここまで書いても、ベクレルとシーベルトの違いが理解できない方、理解しようとしない方、何が何でも反原発という反原発教の信者の方は、信用しないだろう。

それは勝手だ。

 しかし、そういうわからず屋は、原子力資料情報室の言い分を聞け。今のレベルが危険だなどと一切言っていない。

 話がそれるが、私は、原子炉の設計者であったときから、この団体の主宰者であった故高木仁三郎氏の主張に共感していた。会社を辞める決心をするにあたって、高木の思想から大きな影響を受けた。結局は、原子力からまったく離れる道を選んだが、一時は高木の運動に参加することも考えた。
 沼田に来てから、しばらくして知ったことだが、高木が反原発運動を始める経緯には物理学者である故武谷三男が大きな影響を与えたそうだ。
 武谷が書いた原子力発電を読んで原子力の道を目指すようになった私である。武谷から影響を受けた高木に影響を受け、もんじゅの設計から離れるようになったのは当然の成り行きだったようだ。

 原子力資料情報室は、毎日、放射線の測定結果を公表しているが、3/21 11:30 コメント追記としてこうある。
「屋外での測定値が高くなっています。これは雨のために普段から自然界にあるラドンの影響が出てきているためで、原発に起因するものではないと思われます。」

 今求められているのは、こういう姿勢だ。(杉山弘一)

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コメント

専門家から見て、被害が拡大、つまり放射能が今まで以上に漏れ出す可能性はどのくらいあるのでしょうか?
また漏れ出す可能性があるとしたら、何が原因でそうなるのでしょうか?

Kitaさんへ
私は原子力の専門家ではないが、あなたの質問はほとんど無意味です。杉山氏も答えようがないと思う。わかっているのは、最悪の事態が起きれば大勢の人が死ぬだけでなく、東北はもちろんおそらく関東も長期間無住の地となることだ。
確率とは繰り返して起きる事象にだけ言えることで、今度の事故のように一回限りのものには確率はない。火星に火星人がいる確率がいるか、いないかのどちらかだから、確率は2分の1というのが間違いであることは、あなたもおわかりでしょう?同じことをあなたは尋ねて折られる。私が大錦の話をしたのはそのためです。
今は黙って見守るしかない。最低の反応は根拠のないデマを吹聴して、群馬のほうれん草を売れなくしたりすることだ。心配される気持ちはよくわかるが、今はみなが大錦に倣って黙って座っているときだ。それができないなら、避難所にいる被災者救済のためボランティアでもすることです。(峯崎淳)

 もう専門家ではありませんが、可能性は無視できない程度あります。数値で現すことは困難ですが、今は綱渡り状態で冷却していますから、かなりヒヤヒヤものです。

 原因は、なんと言っても燃料棒の冷却が出来ないことです。

 まず、使用済み燃料貯蔵プールに貯蔵されている燃料棒の冷却が出来ず、燃料被覆管(さらには燃料ペレット)が融け、その中に閉じ込められていた放射性物質が出てくるおそれがあります。

 また、炉心の燃料が冷却できずに、同様に放射性物質が出てくるおそれがあります。
 ただし、炉心の燃料は原子炉圧力容器、格納容器と二つの容器の中に入っているので、直ちに大気中に放出とははなりません。
 もっとも、炉心の燃料が融けるような事態(既に一部融けている)になれば、圧力容器・格納容器もさらに厳しい状況におかれるので(すでに設計条件を超えた厳しい状況にあります)壊れる可能性があります(既に一部が壊れている可能性大。)。
 両容器にはたくさんの配管がつながっていて、バルブやパッキンがたくさんあります。水道やガスが漏れるように、それらの気密性が不完全になり漏れ出る可能性がもっと考えられますが(この領域に入りつつあるようです)、水素爆発や水蒸気爆発によって、容器が大きく損壊する可能性も捨てきれません。
 なお、核爆発の可能性はまずありません。(理由は説明が複雑になるので割愛します。)

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