NPOの財務資料から(2)~役員報酬の謎
警察の裏金問題をご存じでしょうか。かつて、私と峯崎さん他3人の群馬県民が原告となって、ネコババした金を返せと県警本部長と知事を訴えていました。その訴訟は、約4年をかけて最高裁まで争ったのですが、監査請求期間を過ぎていたという理由で門前払いになってしまいました。解りやすい言葉で言えばもう時効だから、警察でネコババがあったかどうかは裁判所は判断しないということです。裁判所も裏金の有無を判断する勇気がなかったのです。
もちろん、「嘘つきは警官の始まり」というくらいですから、警察で組織的に裏金造りが行われ、それを警察幹部が私的流用した事実は否定しようがありません。また機会があれば、ネコババした金を返せと県警本部長を訴えてみようと思っています。ところが、先日、この警察裏金問題に関して、すぐにやっておくべきことが出来てしまい、このブログを書く余裕がありませんでした。
ようやく一段落したので、リクエストをたくさん頂いているNPO問題の続きを書きます。
沼田に実在するあるNPO法人の収支決算書(21年度)をみて、気づいたことがもう一つあります。それは、支払報酬料 63,000円の記述です。各事業を遂行するために要した人件費は、それぞれの事業支出の中で賃金として計上されているはずですから、これはそれ以外の報酬ということです。いったい何に対する報酬なのでしょうか。関連法令を調べてみたところ、どうやらこれは役員報酬らしいことがわかりました。
たしかに、NPO法人でも、役員総数の3分の1までの役員が報酬を受け取ることは禁止されていないません。ただし、役員報酬とは、あくまで役員としての報酬です。理事が事務局長など職員を兼ねている場合、その労働の対価として支払われる賃金等はこれに含まれないのです。つまり、全ての役員は、職員として労働をした場合は賃金を受け取ることはできるが、その賃金以外に役員として報酬を受け取ることが出来るのは、役員総数の3分の1だけだということです。
これは、もっともな制限です。役員報酬を無制限に認めてしまえば、非営利つまり利益を分配しないという原則が踏みにじられてしまうからです。
このような役員報酬制限の趣旨からすると、NPO法人の役員報酬は、①NPO法人の資金が潤沢であり、②特定の役員がそれに大きな寄与をしたことが認められるが、③その役員が労働の対価としての賃金をもらっていないなどの条件が満たされた場合に支給される例外的なものと考えられます。
では、現実はどうでしょうか。
沼田市に本拠地をおくNPO法人は15あります。それぞれ、数人以上の役員がいますから100名近い役員がいます。21年度について調べてみたところ、役員報酬を支給していたのは、たまたま取り上げたNPO法人だけでした。報酬を得ていた役員はそのNPO法人の理事長一人です。やはり、役員報酬の支給は例外的ことなのです。
さぞ、会費や寄付金がたくさん集まるなど潤沢な資金源があるのだろうと思って、そのNPO法人の貸借対照表(21年度)を見てみました。クリックしてみて下さい。
資金が潤沢どころか、短期借入金が571万円、未払金が約190万円もあって、正味財産が約297万円のマイナスとなっているではありませんか。債務超過なのです。21年度だけを見れば、たしかに約83万円の黒字ですが、前年度末時点では、約380万円の債務超過があったので、依然として債務超過なのです。このNPO法人は会員が210人もいるのに会費がまったく集まらなかったり、集まっても5万円だけだったりしていたわけですし、寄付金もほとんどないのですからこのよう財政が苦しいのは当然です。
これでは、たとえ63,000円とはいえ、とても役員報酬を支払えるような財務状況ではないと思うのですが・・・このNPOは債務超過を解消するよりも理事長報酬が優先されるという価値判断で運営されているようです。
また、このNPO法人は、ブログで情報提供も行っています。しかし、高々年間2千円程度のブログ代すら節約して、広告盛りだくさんの無料のサービスを利用しています。ブログ代よりも理事長報酬が優先されるという価値判断で運営されているようです。
そろそろ、「いったいどこのNPOか。」という声も聞こえてきそうなので、他のNPO法人に迷惑をかけないためにも、このNPO法人の目を開かします。尾瀬なでしこの会(後藤満里子理事長)です。そう、沼田市ファミリーサポートセンターを運営しているNPOです。また、このブログを警察に通報したとか弁護士に委任して法的手段をとるとか言ってきたあのNPO法人です。
ところが、1週間以上も経過しても警察からも弁護士からもプロバイダーからも何の連絡もきていません。あれは、単なる脅しに過ぎなかったのでしょうか。しかし、お脅しは脅迫罪(刑法222条)という立派な犯罪ですから、ほめられたものではありません。
それにしても、この理事長あまりにも世間知らずというか、調査不足です。ネコババした裏金を返せと県警本部長を訴える人間に対して、警察に通報したと脅すとは。持ち込まれた、警察も困ってしまうでしょう。
この調子で、NPO法人が債務超過であることも忘れて、報酬をもらってしまったのでしょうか。でも、心配いりません。役員報酬を得る事自体は法で認められていますから適法な行為です。警察が捜査することなどありません。脅迫についてもこの程度では絶対に事件になりません。警察が捜査することなどありえません。
私がいくら批判してもしょせん価値判断に過ぎないのです。NPO法人が適法に運営されている限り、いくら批判されても異なる価値観の表明でしかないのです。適法ならば・・・ (U)
理事長がへそくりを出す決算日
お座敷でへそ下を出すかくし芸
泥ちゃんが箔付けにするNPO
東大の下の暗さは昔から
猫ばばをやったな尾瀬のくそばばあ
盗っ人に追い銭をやる太いあま
(雉東京へ飛ぶ)
ーー沼田新川柳
投稿: 尺沢の鯢 | 2010年11月22日 (月) 23:32