NPOの財務資料から(1)~消えた会費の謎
ざしきわらしさんから投稿を頂いて、さじきわらしさんが投稿した第十五回紙芝居サミットの事業予算書に対して、嵐のようなコメントをいただいたことを思い出しました。論争を蒸し返すようですが、あの時言い足りなかったことを具体例を交えて説明します。
まず、投稿: うみ | 2010年8月15日 (日) 11:49 は以下のように述べています。
「なぜなら個人や私的な団体の活動は寄付者の意向を汲んだ偏った活動になる可能性があるため、寄付元の公開・非公開がとても重要になるからです。このような(寄付者は非公開でOKのような)状態で活動の独立性・自主性を保ち続けることはできるのでしょうか?」
では、寄附元の個人名まで公開されているか沼田に実在するNPO法人を事例に検証してみましょう。あるNPO法人の収支決算書(21年度)です。クリックしてみてください。
寄付金収入はありません。これでは、寄附元の公開非公開を論じることが出来ません。
しかし、活動の独立性・自主性に関してわかることがあります。このNPO法人の総収入は約3,897万円ですが、自主財源と呼べる収入は、正会員会費 5万5000円と入会金13万1000円の計18万8,000円しかないことです。自主財源の占める割合は5%未満です。沼田市を筆頭にした公的機関からの補助金、委託料などが財源の大部分を占めているのです。
では遡って、20年度の収支決算書を見てみましょう。クリックしてみてください。
やはり寄付金収入はありません。自主財源と呼べる収入は正会員会費15万1000円と入会金2万の計17万1,000円とやはり低い水準です。一方、総収入は約2,688万円ですから、自主財源が6%以上を占めていたことがわかります。つまり、21年度は、総収入は1,000万円程度増加したが、自主財源は延びなかったということです。
総収入が延びた最大の要因は、沼田市からの補助金の増加です。学童保育に対する補助金が600万円以上増加しているのです。財政上、沼田市への依存度がますます大きくなっていることが解ります。
うみさんに伺いたいのですが、このような状態で活動の独立性・自主性を保ち続けることはできるのでしょうか?
話がそれますが、ここで、奇妙なことに気づきます。20年度は正会員会費収入が15万1000円だったのに、21年度は約3分の1の5万5000円に減少していることです。定款をみても会費を値下げした形跡は見られませんから、会員が大幅に減少したのでしょうか。それとも・・・
また、定款によれば、正会員の年会費は2,000円です。だとすると、20年度の正会員の会費は75.5人、21年度は27.5人ということになります。半人前の方がいらっしゃる?それとも半年割引があるのでしょうか。
また、定款には、会員種別は社員会員、正会員、賛助会員(それぞれ団体会員、個人会員がある)となっていますが、事業報告書では団体会員と正会員になっています。定款とは異なる会費の集め方をしているのでしょうか。
また、社員会員は特定非営利活動促進法上の社員であって、社員名簿も公開されています。大部分の社員が理事をかねているようですが、定款で5,000円と定められいる社員会員の会費収入がまったく計上されていないということは、会費を徴収する任務を負っている理事自らが会費を支払っていないということになりそうです。
さらに遡って、19年度の収支決算書を見てみましょう。89万1800円の寄付金収入があります。しかし、当然の事ながら寄付者の個人名など書いてありません。他のNPO法人も調べてみましたが、寄付者の個人名を公表している事例を見つけることはできませんでした。
ここでわかることは、寄付者の個人名まで公開すべきと言う「うみ理論」は、現実をまったく見ていない机上の空論に過ぎないと言うことです。しかし、うみ理論によっても、私の考えによっても、このNPO法人は独立性・自主性に疑問があるということになります。そうだとすれば、プロセスこそ違いますが、結論は一緒です。
それにしても、19年度の収支決算書はおかしな点があります。会費収入がゼロなのです。入会金収入もゼロのようです。(右の欄に89万1800円とに記載がありますが、正会員会費収入、法人会員会費収入、寄付金の小計が89万1800円という意味でしょう。)
事業報告(19年度)を見ると活発な活動をされているようですから、会員がいなかったはずはありません。そうだとすると集めた会費はどこに行ってしまったのでしょうか。
また、福祉機構に対する寄附3万円を含むとの括弧書きも不思議です。独立行政法人福祉機構に対する寄附をNPO法人が代行したのでしょうか。そうだとしたら、支出の欄に福祉機構に対する3万円の寄附が書かれていなければなりません。しかし、そのような記載は見あたりません。
ところで、投稿: うみ | 2010年8月14日 (土) 00:40 にはこうあります。
「一部地域のオンブズマンはNPO法人化して活動していますが、そちらのやり方のほうが寄付金控除の記録が残りますし、不正な公告や不実記載などに罰則規定があり信頼されるのではないのでしょうか?」
罰則規定まであるというのですから、まさか、公表されている収支決算書に間違いがあるはずはありません。そうだとすると、集めた会費や預かった寄付金3万円はどこにいったのでしょうか。うみさん、教えて下さい。(S)
罰則規定とはこれですね。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H10/H10HO007.html
NPOの理事や監事の責任はずいぶんと重いようです。知らなかったでは済まされない。
特定非営利活動促進法49条
次の各号のいずれかに該当する場合においては、特定非営利活動法人の理事、監事又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。
4号 第28条第1項の規定に違反して、書類を備え置かず、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。
同法28条1項
特定非営利活動法人は、毎事業年度初めの三月以内に、内閣府令で定めるところにより、前事業年度の事業報告書、財産目録、貸借対照表及び収支計算書(次項、次条及び第四十三条第一項において「事業報告書等」という。)並びに役員名簿並びに社員のうち十人以上の者の氏名(法人にあっては、その名称及び代表者の氏名)及び住所又は居所を記載した書面(次項、次条及び第四十三条第一項において「役員名簿等」という。)を作成し、これらを、翌々事業年度の末日までの間、主たる事務所に備え置かなければならない。
投稿: 杉山弘一 | 2010年11月16日 (火) 13:31
下線の決算書を見ようとしましたが、ファイルが壊れている、と出て見られませんでした。ぜひ見てみたいものです。そんな出鱈目なNPOが沼田にあったとしたら大問題です。うみという人とどういう関係があるのかも是非知りたいです。小生の推測では、うみ、ダルタニアン、ね、という投書者は、某NPOの理事であるGというきわめていかがわしい人物と重なるのですが・・・
投稿: 峯崎淳 | 2010年11月16日 (火) 14:36
峯崎さんへ
1 「下線の決算書を見ようとしましたが、ファイルが壊れている、と出て見られませんでした。」について
PDF形式のファイルですので、PDFリーダーがインストールされてないと見ることが出来ません。詳しくは以下をご覧下さい。
http://www.adobe.com/jp/products/reader/
2 「そんな出鱈目なNPOが沼田にあったとしたら大問題です」について
たしかに集めた会費を故意にネコババしていたとなれば大問題ですが、おそらく、杜撰な経理の結果、数字が合わなくなったのだろうと思います。それはそれで問題ですが、NPOの経理はこの程度のところが多いです。なお、本当の大問題はこれから書く予定です。
例えば、久保健二議員が理事長をつとめるNPOは、21年度の財務資料を提出すらしていません。
http://www.npo.pref.gunma.jp/db/npo/view.php?id=336
また、利根沼田地域ボランティアセンター(林浩安理事長)は、現金がマイナスというとんでもない貸借対照表を提出しています。マイナス1万円札というのを持っている?
http://www.npo.pref.gunma.jp/db/npo/attachment/501_taisyaku_19.pdf
経理を少しでもかじれば、これが如何にとんでもないことか解りますが、おそらく指摘されても何が問題なのか解らないでしょうね。お金の管理が出来ていないということです。
投稿: 杉山弘一 | 2010年11月16日 (火) 15:04
19年度の会費収入がゼロ?3年前に私が払った会費はどこに行ったの?
市のホームページには会員数 210人 と紹介されてます。
http://www.city.numata.gunma.jp/numatanchi/touroku/07.html
年会費2,000円×200人でも40万円。
会費収入がゼロはありえないし、15万1000円もおかしい。
投稿: 元会員 | 2010年11月16日 (火) 18:25
このNPO法人の21年度事業額3897万円で利益831千円とは驚いた。
沼田の事業者で年間、これだけの売り上げをしているのは何軒あるだろう?
しかも汗水流す事無く公金が手元に入る。
この金額を扱うにはしかるべき経理マンが居るだろう。市の公金が投入された団体である以上予算作成所管の町田総務部長および村沢財政課長の実情精査を期待。
市の税収が伸びないのだから徹底した事業仕分けを実行するのが貴職達だ・・・
投稿: おかめ八目 | 2010年11月16日 (火) 21:53
「尾瀬なでしこの会が壊れています。修復できませんでした。」おっと、間違えた。「ファイルが壊れています。修復できませんでした。」と出て、19年度、20年度、21年度それぞれの収支決算書、社員名簿、19年度事業報告書が見られません。アドビ・アクロバットは入っているんですが、どうしたんでしょう。本当に壊れてしまったか。それともなでしこの会が壊したのか。はたまた、なでしこの会そのものが壊れてしまったのか。消えた会費の謎にまつわる消えた?消された?リンクの謎。ぜひ見てみたいものですが、(S)さんの雉(おっと、また間違えた)、Sさんの記事で大体の要旨はわかったので、杉山さんがこれから書く予定という“本当の大問題”に期待しています。
投稿: 沼田太一 | 2010年11月17日 (水) 07:00
「尾瀬なでしこの会」の定款を読んで驚いた、素晴らしい内容です。
実績が無い「なでしこの会」に当局が認定し補助金を拠出した根拠はこの「定款」を見て決定したのか?
ブログで指摘しているように会計報告に不備があれば即刻修正報告されるべきだ。
反論や説明があればこのブログに投稿して理解をうる方法もある。だんまりを決め込むとNPOを名乗り福祉を食い物にする団体と思ってしまう。
当局はいままでいくら公金を投入したの?
投稿: 鵜の目鷹の目 | 2010年11月17日 (水) 23:14