「ヒアルロン酸のジュレは、いかが?」
デパ地下のカレーショップで、夏野菜カレーとトッピングのエビフライを注文した。
まもなく、料理が出てきたのだが、透明のゼリー状のものが小皿に着いてきた。20歳前後の店員が「ヒアルロン酸のジュレ(◆注)ですので、お料理にかけて、お食べ下さい。」と言う。
思わず、「えっ?」というと、「ヒアルロン酸のジュレでございます。」と繰り返す。さらに、「ジュレって何?」と聞くと、説明を諦めて、チラシを持ってきた。
チラシには、皮膚の断面図が描かれ、ヒアルロン酸が、その保湿機能によって、皮膚組織から水分が失われるのを防止するなど、お肌の美容にとって、いかに重要なものなのかが説明されていた。
「それは、わかった。けど・・」と、疑問が湧いた。「ヒアルロン酸を食べたら、それが、そのまま皮膚に定着するものだろうか?」。ここ十年近く話題のコラーゲンは、確か、経口摂取しても、結局、アミノ酸に分解されるのであって、そのアミノ酸が、再度、体内でコラーゲンとして再生されるものではない、という知識があったので、ヒアルロン酸についても、そんな疑問が湧いたのだ。
そんなときは、肌身離さず携行するスマートフォンである。周囲の目を気にしながら、そっと、「ヒアルロン酸」と囁く。夕暮れのデパ地下の喧噪の中でも、正確に私の声を認識して、グーグル検索の結果を表示してくれる。とりあえず、概括的な知識を得るには、ウィキペディアであり、そこをクリック、じゃなくて、タッチする。
案の定、ヒアルロン酸が、そのまま体内の組織に定着するという知見はなく、ヒアルロン酸を摂取すれば、お肌の保水機能が高まるというのは、エセ科学の類だというようなことが書かれている。
やはり、そうだった。まあ、ヒアルロン酸の類なら、エセ科学を信じたからと言っても、害はない。しかし、玄米を食べれば放射能を体内から除去できる、といった類のエセ科学は、罪深いものがある。放射能といえば、校庭使用は20ミリシーベルトまでは安全だ、などという文部科学省の暫定基準は、科学的装いをこらしているだけに、更に罪深い。
話は、ウィキペディアに戻るが、ウィキペディアの記事で、さらに面白かったのは、「頭髪の薄い人が、髪の毛を食べたからといって、髪の毛が生えてこないのと同じである。」という例え話である。確かに妙に説得力がある。
これから、「あっ、ヒアルロン酸だ。お肌しっとり。」と嬌声をあげている女性がいたら、説明してあげよう。「髪の毛食べたって、毛は生えないよ。それと同じで、ヒアルロン酸を食べたって、お肌しっとりにはならないよ。」
返ってくるのが、尊敬の眼差しか、冷たい視線か、それは、あなたの日頃の言動次第。自己責任というものだ。
◆注 ジュレ
まもなく、料理が出てきたのだが、透明のゼリー状のものが小皿に着いてきた。20歳前後の店員が「ヒアルロン酸のジュレ(◆注)ですので、お料理にかけて、お食べ下さい。」と言う。
思わず、「えっ?」というと、「ヒアルロン酸のジュレでございます。」と繰り返す。さらに、「ジュレって何?」と聞くと、説明を諦めて、チラシを持ってきた。
チラシには、皮膚の断面図が描かれ、ヒアルロン酸が、その保湿機能によって、皮膚組織から水分が失われるのを防止するなど、お肌の美容にとって、いかに重要なものなのかが説明されていた。
「それは、わかった。けど・・」と、疑問が湧いた。「ヒアルロン酸を食べたら、それが、そのまま皮膚に定着するものだろうか?」。ここ十年近く話題のコラーゲンは、確か、経口摂取しても、結局、アミノ酸に分解されるのであって、そのアミノ酸が、再度、体内でコラーゲンとして再生されるものではない、という知識があったので、ヒアルロン酸についても、そんな疑問が湧いたのだ。
そんなときは、肌身離さず携行するスマートフォンである。周囲の目を気にしながら、そっと、「ヒアルロン酸」と囁く。夕暮れのデパ地下の喧噪の中でも、正確に私の声を認識して、グーグル検索の結果を表示してくれる。とりあえず、概括的な知識を得るには、ウィキペディアであり、そこをクリック、じゃなくて、タッチする。
案の定、ヒアルロン酸が、そのまま体内の組織に定着するという知見はなく、ヒアルロン酸を摂取すれば、お肌の保水機能が高まるというのは、エセ科学の類だというようなことが書かれている。
やはり、そうだった。まあ、ヒアルロン酸の類なら、エセ科学を信じたからと言っても、害はない。しかし、玄米を食べれば放射能を体内から除去できる、といった類のエセ科学は、罪深いものがある。放射能といえば、校庭使用は20ミリシーベルトまでは安全だ、などという文部科学省の暫定基準は、科学的装いをこらしているだけに、更に罪深い。
話は、ウィキペディアに戻るが、ウィキペディアの記事で、さらに面白かったのは、「頭髪の薄い人が、髪の毛を食べたからといって、髪の毛が生えてこないのと同じである。」という例え話である。確かに妙に説得力がある。
これから、「あっ、ヒアルロン酸だ。お肌しっとり。」と嬌声をあげている女性がいたら、説明してあげよう。「髪の毛食べたって、毛は生えないよ。それと同じで、ヒアルロン酸を食べたって、お肌しっとりにはならないよ。」
返ってくるのが、尊敬の眼差しか、冷たい視線か、それは、あなたの日頃の言動次第。自己責任というものだ。
◆注 ジュレ
英語で言えば、ゼリー。フランス語で言えば、ジュレ、となるらしい。
ゼリーというより、若干、高級感が感じられる。やはり、日本人にとっては、イギリスより、フランスである。なにしろ、「おフランス」などと、国名に「お」をつけて呼ばれる国など、外にはないのだから。