曲げない男と、転がる奴ら。
「傍聴席から見た、片品村議会の風景 5」に書いた話の続きのような「議員定数及び議員報酬を検討する特別委員会」の第5回目の会議が去る9日(木)、傍聴を許可して本会議場で開かれた。議長席に同会委員長の吉野勲、隣に副委員長の萩原日郎が座り、議長の入澤登喜夫は議員席4番に座る。執行部席が空席なのは、定例議会で見慣れた風景と比べても違和感が大きい。
これまで4回の会議で議論を重ねてきて、そろそろ意見をまとめようという判断なのだろう、一人ひとりの最終意見を聞こうということになった。
戸丸広安--定数10名 報酬16万2千
星野千里--定数12名 報酬現状のまま削減
飯塚美明--定数12名 報酬16万2千
入澤登喜夫-定数14名 報酬10%削減
笠原耕作--定数14名 報酬10%削減(時限)
大竹文夫--定数16名 報酬現状で議員年金等特権廃止
星野侃三--定数14名 報酬20%削減
高橋正治--定数12名 報酬16万2千
星野育雄--定数14名 報酬16万3千
星 長命--定数12~3名 報酬16万5千
萩原日郎--定数14名以上 報酬10%削減
星野完治--定数14名 報酬10%削減
このように、定数で見ると、現状のままが6名、削減が5名、増が1名で、現状14名で決定した。報酬で見ると、当初から削減を言っていた反村長派は全員がそのまま削減に、現状のままを主張していたはずの村長派も何故か削減に転じている。
細かく見てゆくと、定数についても報酬についても、意見を変えなかったのは大竹文夫と星野侃三のふたり。反村長派は報酬について多少の差こそあるものの削減については変えていない。では、安くすれば次のなり手がいない、と言っていた村長派が削減に転じた理由は何なのか。中には現状のままの報酬に加えて、政務調査費までを欲しがっていた輩もいるというのに。もちろん、考えを変えるな、とは言わないが、傍聴人がいるから、やむなく報酬削減に転じた、というのであれば、こんな情けない話はない。まさか、来年4月の村議選に臆面もなく出て来ることはなかろう。もっと言えば、現在欠員が1名で13名なのだから、「お前が辞めれば、望み通り12名になるぞ」とも言いたくなる。
一応付け加えると、星長命は福島県矢祭町に倣って報酬を日当制にし、政務調査費を別途支給する、さすれば定数を20名にできる、という副案も口にした。また、これまで何度か傍聴した定例議会で一度も発言を聞いたことがなかった星野完治の、より多くの村民がもっと村政に興味を持ち、議員になって村を良くしようと言う若い人たちに門戸を広げておくことが大切であり、そのためには定数削減は相応しくない、報酬を削減して財政削減に寄与すべきである、との意見には一理ある、とこの男をちょっと見直した。
ちなみに、10%削減の金額と村長派が言う16万2千は数字としては同じである。村長の報酬57万5千の28.27%の百の位以下を切り捨てたもので、これは昨年8月、県が出した県内各市町村の首長と議員の報酬の比率のデータの平均値に則したものである。それを参考にすることを否定はしないが、自治体としての自主性や独自性を考えれば、それに捕われる必要もないと思う。多くの村民に行政をお上と崇める傾向があるのを感じているが、県をその上のお上と崇め奉る空気がここにもあることの証と見るのは、穿ち過ぎか。
定数と報酬が決まったところで、入澤登喜夫が報酬については時限立法とすることを提案した。つまり、財政改革に向けて、現議員が今できることとして、自分たちの報酬を下げようという意思表示であり、来年4月の村議選以降の報酬については次の議員たちが決めればいい、というわけだ。これについて村長派が条例で決めることを主張して、6対6のまったくの互角になった。報酬が下がれば次のなり手がいない、という村長派だから、ますます出にくくなって、次を諦めた腹いせか。それとも、定数削減と報酬は現状維持のどちらも通らず、ヤケになっての何が何でも反対か。
最後に委員長の吉野勲が時限立法に手を挙げて一件落着したが、さて、議員定数と議員報酬を検討する委員会の決定を受けて、報酬審議会がどのような答申を出し、それを受けた金造が自分の報酬をどうするのか。
私の傍聴とは違い、議員として一部始終を見てきた星野侃三が自身のブログで反村長派への怒りを書いている。いつもは数行で終わる彼の議会報告だが、この件に関しては普段に増して詳しく、しかも4回に分けて書いているから、表現にわかりにくい個所は多いが面白い。これだ。(木暮溢世)
記事に間違いがありました。
(誤)星野千里——定数12名 報酬現状のまま
(正)星野千里——定数12名 報酬削減
(誤)星野侃三——定数14名 報酬20%削減
(正)星野侃三——定数14名 報酬削減
(誤)星野侃三が自身のブログで反村長派への怒りを書いている。
(正)星野侃三が自身のブログで村長派への怒りを書いている。
訂正してお詫びいたします。
投稿: 木暮溢世 | 2010年9月14日 (火) 19:51