傍聴席から見た、片品村議会の風景 5
先週19日、「議会だより」が届いた。6月定例議会初日(8日)の笠原耕作の一般質問での、常勤特別職三役の報酬削減をめぐる村長とのやりとりが載っている。
問(耕作)
昨年の村長選で公約した特別職給与の削減はいつ行うのか。
答(村長)
特別職の報酬削減はマニフェストには載せていないが、村長の報酬は削減したい。ただ、その前に昭和村や川場村と比べて、議員報酬が高く定員も多い疑問を払拭してもらいたい。
問(耕作)
村長選で配られたチラシには報酬削減が書かれ、頒布責任者、印刷責任者の名前も書いてあるが。
答(村長)
その文章を把握していないが、早くできるよう力を貸してもらいたい。
問(耕作)
議員報酬削減や定数削減があれば、ということか。
答(村長)
それは議員が判断してもらいたい。
問(耕作)
県から特別職の報酬が低すぎる文書指導が来ているなら、開示してもらいたい。
答(村長)
人口比率による基準の数字が示され、片品は村長は低く、議会は高いということだ。
問(耕作)
議員と村長の報酬比較でなく、チラシに書いてあるので支持した人もいるのではないか。
答(村長) 早い時期に村長の報酬は削減したい。
このとき、笠原耕作の最初の質問に対して、答弁に立った村長は「傍聴席から見た、片品村議会の風景 2」にも書いたように、質問に答える前に、滔々と安っぽい三文芝居のような大見得を切った。曰く、自分は中学卒業で学業を終えたが、両親からは厳しく人の道、つまり、嘘はつくな、約束は守れ、人に迷惑はかけるな、等々を厳しく躾けられ、その教えを守って生きてきた、というわけだ。
肝心の答弁「特別職の報酬削減はマニフェストには載せていないが、村長の報酬は削減したい」の裏には、次の質問での事実がある。つまり、昨秋の村長選で対立候補が常勤特別職三役の報酬2割削減を謳ったのを見て、金造陣営が急遽「報酬削減」をチラシに盛り込んだ、ということだ。証紙を貼られ配られた村長選用のチラシであるから、歴とした村民への公約である。「マニフェストに載せていない」、「その文章を把握していない」は金造の単なる認識の欠除であり、あのだみ声で何を言おうが、責任を逃れられるものではない。こうした流れがあって、金造は望みもしない報酬削減をせざるをえなくなった。
悔し紛れもあったのだろう、金造はその条件として、県からの指導があるとして、議員定数と議員報酬の削減を持ち出した。4番目の質問と答がそれだ。しかし、県からそんな指導は来ていない。もちろん文書もない。これは、金造の地元、花咲の住民のひとりが情報開示の請求をし、確かめた事実である。つまり、金造が"嘘"をついた、ということだ。両親から厳しく人としての道を躾けられた金造が、だ。そもそも議員定数削減、議員報酬削減の必要があるなら、それはそれで議論すればいいことで、常勤特別職三役の報酬削減の交換条件として論じられる問題ではないはずだ。
現片品村議会では、星野侃三と笠原耕作が率先して早くから議員報酬の削減を言っていた。理由には、投票の洗礼を受けず、手を上げた全員が無投票で議員になったことがある、という。一方、昨秋の村長選の後、年末から年始にかけて以降、議員定数の削減を言い始めた飯塚美明らには、近隣自治体との比較が根拠になっているらしい。この議員報酬削減か議員定数削減かについては、「傍聴席から見た、片品村議会の風景 2」から「傍聴席から見た片品村議会の風景 4」に書いたから、それを読んで欲しいが、6月定例議会で大竹文夫が提案、全員が賛成して「議員定数及び議員報酬を検討する特別委員会」が設置され、去る7月2日に第1回会議が開かれた。8月2日に第2回会議が開かれ、8月に開かれる報酬審議会に諮ることになった。要するに、いろいろな意見が出て、その意見をころころ変える議員もいて、議員たち自らが自らの意見をまとめられない、ということだ。10日に開かれた第3回会議でも、実施時期について、傍聴の可否について議論されたが、ここでもいろいろな意見が渦巻いた、という。
8月19日、報酬審議会の報告を受けて、特別委員会会議が開かれたが、村長の諮問を受けて開かれた審議会の報告は、常勤特別職三役の報酬については「答申が出ない」というもの。つまり、「報酬を削減する根拠がない」。この報酬審議会、選対本部の誰かがチラシに書いた「報酬削減」の公約によって、望んでもいない報酬削減をせざるをえなくなった金造が任命している。要するに、「報酬を削減する根拠がない」は、金造の本音をそのまま代弁したにすぎない、と見るのが妥当だろう。しかし、根拠は確かにあるのだ。村長選での公約、6月定例議会での笠原耕作への答弁は、報酬削減を正当化するに足る根拠であり、中卒で学業を終えた金造が両親から厳しく躾けられた人としての道、嘘をつかないで生きてきた、というあの本会議場での一般質問の答弁で切った大見得が、充分な根拠なのだ。
と言っても、金造には理解できないだろう。なにしろ大見得を切った直後の答弁で、ありもしない県からの指導を口にしているのだ。この男には、嘘か本当かの尺度が事実かどうかにあるという認識がないらしい。この男に、その尺度があるとすれば、そのときどきの自分の都合と損得だろう。その平気で"嘘"をつく資質には、サイコパスさえ疑われる。金造の"嘘"については、「金造が、嘘を、ついた。」にも書いたが、Bull Shit、牛のクソを、両親は、どういう思いで見ているのだろう。
蛇足ながら付け加えると、近々6月定例議会の議事録が村のHPに公開されるが、笠原耕作の一般質問への答弁の冒頭に金造の大見得があるはずだ。そりゃあ立派だから(笑)、あのだみ声の早口をイメージしながら読んでみると面白い。結構笑える。笑える、といっても苦笑というやつだが。ただ、「あれは、中卒の俺は村長だが、お前は高卒で1年生議員か」という金造の劣等感が表れている、というある人の感想には、まったく別の世界で生きてきた同じ世代の私としては、この村にある閉鎖性、排他性につながるもの以外に想像できるものはないが。(木暮溢世)
1 県が市町村の特別職の報酬について口出しすることは自治権を侵害するおそれがあるので、めったなことではするはずがありません。違法に議会を召集しないあの阿久根市でさえ、知事の是正勧告にとどまっています。違法でも何でもない片品村の特別職報酬に対して、非公開で文書指導をするなどありえません。
この程度のことは、地方自治について中卒程度の一般常識があれば、すぐに解りそうなことでしょう。金造さん、もう少しばれない嘘をつけばいいのに。地方自治について一般常識のレベルの勉強さえしないまま村長になってしまったので、ばれないと思ってしまったのでしょうね。
2 8月2日に開かれた「議員定数及び議員報酬を検討する特別委員会」の第2回会議で、報酬審議会に諮ることになったとのことですから、議会が報酬審議会に議員の報酬額について諮問したということなのでしょう。
しかし、片品村特別職報酬等審議会条例第1条には、「村長の諮問に応じ特別職の報酬等の額について審議するため片品村特別報酬等審議会を置く。」とあります。つまり、議会が造った条例では同審議会は村長の諮問機関であって、議会が諮問することは想定されていません。村長の諮問機関に議会が諮問してたら、議会の独立性もあったものじゃないでしょう。
片品村の議員さん達、ご自分達で作った条例なのですから、少しは条例を読んでみればいいのに。
3 村長にしても議員にしてもあまりにも不勉強で無知です。特別職の報酬を云々する当事者能力に欠けているように思えます。
「報酬を削減する根拠がない」ではなく、こんな連中に「報酬を支払う根拠がない」では。
4 報酬審議会の委員報酬はどのくらいなのでしょうか。片品村では、情報公開審議会の委員名が非公開なくらいですから、報酬審議会の委員報酬は非公開なのでしょうか。
投稿: 杉山弘一 | 2010年8月24日 (火) 10:00