振興局制度の意義とは
12月議会の一般質問で、金井康夫議員が振興局制度の意義を問うたところ、巳喜雄市長は「新市の一体感の醸成に必要」と答弁した。
これは呆れるほどトンチンカンな答弁だ。
振興局制度は地域内自治を実現させるための制度である。合併などしたくないという自治体を、なだめ、騙して、合併させるために国が造った制度だ(これは、現実に合併特例債がほとんど使えないことで明らかである)。同じ自治体ではあるが利根、白沢地域のことは合併前のように自分たちで決める余地を残すものである。したがって、利根、白沢地域の独立感を維持しようとするもので、「新市の一体感の醸成」とは全く逆の効果をもたらすものだ。
財政削減のために無駄な支出をさらに増やすという給食センターの民間委託同様、論理破綻した答弁である。市長はその場しのぎの行き当たりばったりの答弁ばかりしているから、こんな基本的な矛盾にも気づかないのだろう。
一方の金井議員にはこの点こそ追求して欲しかったのだが、そうはならなかったようである。残念である。
もし、市長が本気で「新市の一体感」が必要であると考えているなら、地域振興局制度など廃止して、一つの組織にすることこそ求められるのである。それがいやだというなら別の手段も残されている。利根と白沢だけを別扱いにするから一体感が醸成しないのだから、旧沼田の各地域にも地域内自治制度を導入することだ(地方自治法の改正で可能になった)。そうすれば、どこの地域も同条件になって、一体感がでてくる余地も生まれるだろう。
もっとも、そんな高度な政策論議よりも水道料金や下水道料金などの公共料金を統一することが先決だろう。それすらおぼつかないのだから、市長の優柔不断にもほどがある。市長としての決断力どころか、一般人としての決断力すらを持ち合わせていないとしか思えない。
いずれにしろ、合併は大失敗であった事は明らかだ。私利私欲に駆られてやみくもに合併を推進してきた旧首長や旧議員らが失敗を認め反省することが新市建設のための最低条件だろう。(杉山弘一)
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