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2009年12月10日 (木)

給食センターの民間委託は撤回せよ

 今日の上毛新聞によると、沼田市は2011年度(平成23年度)から学校給食の調理業務を民間委託することを決めたらしい。以下に記事の要約を紹介する。 

給食センターの調理を民間委託へ 沼田市11年春から
 沼田市は、市給食センターの調理業務を民間委託する方針を固めた。人件費抑制や業務効率化による経費削減が狙い。献立作成や食材調達は市が行う。市職員7人とパート従業員26人は他職種や職場へ配置。
(中略)
 学校給食の調理業務の民間委託は、市行財政改革の検討項目に挙げられ、市教委などが検討を進めていた。

 私は、原則として官の業務を民間委託する必要はないと思っているが、民間委託に絶対的に反対なわけではない。民間の知恵をうまく使って、今よりも安くて良い給食が提供できる仕組みが整うのであれば賛成だ。(もっとも、それは民間委託でなければ出来ないことではないだろう。)
 そのような柔軟な考え方を持っているつもりだが、今回の民間委託は絶対的に反対だ。沼田市、沼田市民、小中学生にとって最悪の内容だ。その理由を説明しよう。
 第1に、行財政改革に著しく逆行するからだ。たしかに民間委託すれば給食センターの人件費は抑制される。しかし、「市職員7人とパート従業員26人は他職種や職場へ配置」するというのだから、沼田市全体の人件費はまったく変わらない。そして、民間委託に伴う委託費の分だけ、沼田市の支出は増える。行財政改悪にしかならないことは明らかである。
 民間委託すると経費削減になるというのは、その分の市職員をタダで解雇できる場合の話だ(これ自体幻想だと思うが)。職員を解雇せず、その職員がやっていた業務を民間委託するというのは、仕事だけ民間にやらせ、職員を遊ばせて給料を払うと言うことだ。余分な職員を増産すると言うことだ。市民をバカにするにもほどがある。
 第2に、食の安全が守られるか不安があるからだ。「献立作成や食材調達は市が行う」というから、食の安全に配慮しているつもりなのだろう。しかし、食の安全は調理の過程に負うところが大きい。どんなに安全な食材を使っても調理が悪ければ食の安全は守れない。また、逆説的になるが、献立作成や食材調達を市が行うのであれば、民間委託の効果などあったとしても極めて小さいものにしかならないだろう。市の給食センターの施設をそのまま使うのだから、効率化の余地は人が担う調理作業にしか見いだせないのである。現在の調理作業に無駄があるのなら、それを改善しその分の職員を減らせばいい。それだけで解決する問題だ。仮に、現在の調理作業に無駄が無いというなら、民間委託したところで効率化など期待できない。現在無駄がないのに民間委託で経費を落とせたとすれば、それは効率化ではなく民間業者に対する無理強いだ。それでは、食の安全など期待できない。それだけではない。献立作成や食材調達を市が行う以上、市の職員と民間業者の職員との業務連絡という新たな仕事が発生し、そこに食の安全に対する新たなリスクが発生するのである。(市の職員が調理員を直接指揮監督すれば偽装請負になりかねない。)
 第3に、新たな利権の発生である。沼田市の給食は1日4000食以上である。これだけの量の調理を請け負える業者は多くない。必然的に委託先は固定されてくるだろう。そこに新たな利権が生まれるであろうことは容易に想像が付く。さらに、食材調達という利権の源はチャッカリ確保したままであることも忘れてはならない。

 今回の民間委託は良いことは何もない。市長選を4ヶ月後に控えた今、良いことがあるとすれば、新たな利権を造ることで選挙対策になると言うことぐらいだろう。しかし、それは市民にとっての利益ではない。市長の私益だ。こんな、ふざけた民間委託計画は直ちに撤回すべきである。市長や教育長が、どうしても民間委託にこだわるのであれば、市長、教育長の業務を全面的に民間委託すればいい。それが一番市民のためだ。もちろん、委託費は報酬から自分で払うことが条件だが。(杉山弘一)

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給食センターの民間委託は撤回せよを参照しているブログ:

コメント

子供の食育は自治体がするべき仕事のうちで最も重要なもののひとつだろう。予算は大したことはなくても、将来への影響が大きいからだ。給食はまず安全でなければならぬ。万が一にも事故や不祥事がないよう二重、三重の安全装置を施して当然である。次に、子供の健全な発育に資するという保証が要る。子供が好きだからというのは、必ずしも十分条件ではない。肉体のみならず精神の発達にもよい効果があることが学問的に立証されているメニューが望ましい。食材も質のいいものにすべきである。
市が考えている「民営化」は、上に上げた給食の条件のどの項を満足させるのか?
小泉改革が流行らせた「民営化」は、合理化してムダな経費を省くということが合言葉だった。しかし、その改革のほとんどが、今日では疑問視されている。格差を生んだだけで、社会は少しもよくならなかった、と批判されている。給食センターを民営化して得るものはなにか?調理の現場を民営化(つまり派遣労働化)して、わずかな人件費を節約しても、経営者がポッポに入れるカネを労働者からくすねる仕掛けをつくっただけで、市の経費節約にはならないだろう。怖いのは、そいう労働条件ではたらく調理労働の労働環境が悪化し、料理の品質に悪影響を及ぼすことである。
結論を言おう。沼田の全PTAは、これが星野の選挙目当ての無意味な改悪であることを見抜き、断固反対し、撤回させるべきである。
星野、幹部職員、議員のモラルなき馴れ合い政策の正体を看破し、市民はだまされてはいけない。

「民間委託して経費削減する。」
 それならば峯崎さんが指摘されるような議論が起きるのでしょうが、今回の民間委託は、明らかに経費を増大させるものです。議論にもなり得ない愚行です。
 上毛新聞の記者もリストラ(解雇、人員整理)を一切伴わない民間委託が経費削減になるはずがないと思ったからこそ、わざわざ「市職員7人とパート従業員26人は他職種や職場へ配置。」と記事に明記したのでしょう。

給食センターの民間業務委託には無能な最大会派沼田クラブにも根回しがあった事だろう。教育長始め教育部署に食堂業界のノウハウは無い。またサラダパークの食堂を見れば当局の食べ物に関する感度はゼロだ。
飲食業界の管理能力の無い当局は生き馬の目を抜く業者の監督は出来ないだろう。
食材の安全、産地消費実行、衛生、労務管理など子供達の口に入る物が心配だ。まして経費削減がさほどでも無いとすれば委託に疑問がある。

少しでも経費が削減できるのなら議論の余地もあるのですが、今回は、給食センターの職員(常勤、非常勤共)を配置転換するだけで雇用は継続するというのですから、人件費は一切減りません。よって、委託費の分だけ経費は増大します。
この点、以下も参照下さい。
http://www.horibe-yasushi.com/Aaa/20010604.htm

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