民主党の政策と沼田
民主党が政権を取ったことが具体的な形となったのは八ッ場ダムの工事の中止だった。これに地元の反撥が起き、「地元にひと言の相談もなくいきなり中止するという非民主主義的なやり方」が工事継続を求める地元民や首長たちの声としてマスコミに報道された。マスコミには出なかったが、これら「地元民」は、ダム反対者や懐疑派を排除した、いわゆる「賛成派」の人々であって、大半は何らかの形で、工事によって大なる金銭的利益を得ていた。そのため、民主的手続きを無視したやりかた、という抗議も、なにかうつろに響きがちだったことは否定できない。とりわけ、地元首長や現元県知事などの抵抗は、「お前たちが八ッ場を巡って歴然と行われた談合と無関係だったのか? 落札額が予定価格の九十九パーセントなどという入札を平気で認めてきたお前らに民主党のやり方を批判する資格があるのか?」という一般市民の評価に答える義務がある。このような旧自民党の腐った尻尾のような地方の首長やそこにぶら下がる寄生虫どもをきれいさっぱり駆除してほしい、というのが、市民の本音である。
さて沼田である。市議会が終ったが、いつも以上に低調だった。市政に問題がたくさんあるのに議会は死んだふり。こそ泥会派を問題にした頃がなつかしい。いまは、全員が俸給泥棒である。自民党の腐った尻尾が葬式に血道をあげていても知らん顔。市民の苦痛などどこ吹く風、己の地位と月給さえ安泰なら、市民の目など、「気にしない、気にしない」!
隣の片品村では、汚染物質を違法に畑に埋めるなど批判の多かった現職の千明金造が辛くも当選、村長に留まった。また、水上町長には、鈴木和夫前町長の後継者を自認する岸信昌が大川氏を破って当選した。いずれも現状維持派、つまり自民党の腐った尻尾が勝った。
利根沼田地方の夜明けは少なくとも四年先に延びたかに見える。しかし、本当に自民党の腐った尻尾が幅を利かすのはそれほど楽ではない。なぜなら、両町村とも、批判票、それも単なる「反対派」ではない、芯に骨のある批判票が多数あったからだ。厳しい監視の目が注がれるだろう。
不可解なのは、水上町長戦である。三人の候補が出たが、次点の大川氏と三位の島崎氏の票を加えれば当選した岸の得票を上回る。島崎氏はかつて新治村の村議時代、鈴木和夫村長の批判派として名を馳せた人物。その島崎氏は今度の選挙期間中、正面切っての鈴木批判をしなかった。なぜか? 理由はわからないが、臭い。(峯崎淳)
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