性懲りのない奴らに
劣悪な家屋の抵当証券を寄せ集めて作ったサブプライム・ローンの債権で大儲けしたのが忘れられないウォール街の投資銀行が、新手の金融商品の検討を始めている。生命保険の債権化である。今度の仕掛けはどういうものか?銀行は、病人や高齢の人たちの生命保険を額面の何割かで買い取る。つまり、癌で余命数ヶ月と診断された方から、ご本人が加入している額面百万円の保険を、例えば、四十万円で買い取るのである。買い取った保険を何百何千と集め一つの債権(ボンド)にし、細分化して金融商品に仕立てあげ、投資市場に売り出す。保険を売った病人が早く死ねば、買った銀行は儲け、なかなか死ななければ、損をする。保険を売りたいという人は多い。子供たちが立派に成人し、金を残す必要がない人もいれば毎月払う保険料負担が重荷になっている人もいる。
保険を買う側にリスクはないのか? 保険契約を引き受けている保険会社は、支払いが予想以上に増えた場合は、保険料値上げに踏み切ることがある。
しかし、まだ検討段階だというのに、投資銀行の電話は問い合わせでなりっぱなしだという。
こないだ金融危機で炉心溶融の恐怖を味わったばかりのウォール街だが、しかもウォール街が開発した新奇金融商品に危機をもたらした多くの責任が問われているにも拘らず、懲りた風などどこにもない。ワシントン政府が、金融の規制強化を議論しているなど何処吹く風、銀行屋どもは新商品の開発に夢中なのだ。
この生命保険証券というアイデアは、保険産業や消費者にとっては悪い影響を及ぼす可能性が大きい。生命保険掛けている人は、子供が成人したりしたときに、保険をやめてしまう人が多い。だから死ぬときには生命保険に入っていない人が多い。保険会社は、支払いを免れる場合を計算に入れて保険を設計している。ところが、保険が買い取られてしまうと、投資家が代わって保険料を払ってくれるけれど、必ず生命保険金は払わねばならなくなる。(注:アメリカの生命保険はほとんど掛け捨てタイプであり、(日本のそれは貯蓄タイプが多い)途中でやめたり満期になっても何も支払われない。)
巨大投資銀行はその巨大さゆえに潰れずに済んだ。このことは、どんな無茶をやっても最後は政府が税金で尻拭いしてくれる、という悪い前例を残した。規模が大きければ安心だというので、人々はますます巨大銀行に殺到する。
アメリカの金融危機の影響はグローバライズした世界では、あっという間に全世界に伝わることが実証された。日本でも多くの人が職を失い、家をなくした。沼田といえども例外でありえない。金融市場の規制は米国資本主義に箍をはめることである。オバマ政権にそれを行う意志があったとしても、容易なことではない。あれだけアメリカ国民に支持されたオバマ政権だが、アメリカの景気はよくなっていない。グリーン革命も今ひとつだ。日本の民主党は、アメリカを含めた世界経済になにが必要かを徹底的に究明し、大胆な規制を提案すべきである。誇大妄想と笑われてもいい。いつか真実とわかるときが来る。炭酸ガスを二十五%カットするという大胆な宣言をした勢いを駆って、金融規制の筵旗を掲げてみてはどうか?(峯崎淳)
恐ろしい話しですね。
人命を商売の道具とするのが戦争と生命保険です。
被保険者が長生きすれば、保険会社は保険金を払わずに済みます。だから、保険会社は被保険者が長生きすることを願ってきました。これが、生命保険が認められてきた理由だと思います。
しかし、この金融商品は違う。この証券を買った人、売った人は被保険者がはやく死ぬことを願うことになります。これは、人殺しビジネスです。
投稿: 杉山弘一 | 2009年9月17日 (木) 21:06