低入札価格調査制度を導入せよ
8月11日、沼田市公共工事25件の入札が行われた。入札参加者が少なく、価格のバラツキが少ないなど談合の疑いが残る入札も何件か見受けられるが、大部分の入札では適切な価格競争が行われているようであり、落札価格も低下してきている。喜ばしい傾向である。
しかし問題も残されている。
第1に、3件の入札で予定価格を未公表としていることである。3件とも、業務委託であるが、業務委託だからといって予定価格を未公表とする理由はない。他の自治体の事例をみても業務委託に関しては、予定価格を(事後でなく)事前に公表するケースが多いくらいだ。事前公表か事後公表が良いかは議論のあるところだが、市内部の不正の温床になりかねない未公表は早急に改めるべきだ。
第2に、最低制限価格以下の入札をしたため、失格となってしまう業者が多いことである。例えば、白沢町生枝集会所周辺公共施設下水道接続工事では、応札した7社のうち6社が価格が低すぎるという理由で失格となっている。一番高い価格を付けた1社が落札しているのである。具体的な価格は以下の通りである。
予定価格 7,070,000 円、最低制限価格 5,960,000 円
A社の価格 5,254,000円 失格
B社の価格 5,500,000円 失格
C社の価格 5,950,000円 失格
D社の価格 5,200,000円 失格
E社の価格 4,480,000円 失格
F社の価格 4,800,000円 失格
G社の価格 6,380,000円 落札
ダンピングを防止するために何らかの対策が必要であることは否定しないが、ここまで来ると行き過ぎである。7社中6社がダンピングをしていたとは考えられない。ここは、市が設定した最低制限価格が高すぎたと考えるべきだ。
実際、この工事の最低制限価格の5,960,000 円は予定価格7,070,000 円の約84%である。つまり、定価よりも16%以上値引きをするとダンピングで失格としていたわけだ。一般の感覚からみても、いくらなんでもこれは高すぎる。これでは、正当な企業努力が報われない。公共工事を受注しようと努力をした企業ほど受注できなくなるということになりかねない。
解決策は低入札価格調査制度の導入である。これは、低い価格の入札があった場合、即失格とするのではなく、ダンピングなどの不正がないかを市が調査して、不正が見受けられた場合にのみ失格とする制度である。たしかに、この制度には、調査をする手間が増えるという欠点がある。しかし、それは安い価格で契約するために必要な手間であり、業者の努力にこたえるためにも必要な手間だ。また、最低制限価格と制度と兼用することで、調査の手間はかなり少なくすることも可能だ。たとえば、最低制限価格を予定価格の60%、低入札価格を予定価格の75%とするのである。これなら、明らかなダンピングについてまで調査する必要が無くなる。
完璧な入札制度は存在しない。どの方法も欠点があることは確かだ。しかし、国土交通省のやり方を盲目的にコピーするのではなく、透明性の高い制度を構築し、努力をした業者が報われるようにすること。今の沼田には何よりもこれが必要だ。
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