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メンバーの裁判

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2009年8月10日 (月)

市民活動センター七不思議

  沼田市市民活動支援センターに関する投稿に沢山のコメントをいただく事が出来た。調子に乗って、この話題を続けてみよう。

 市が「( 仮称) 沼田市市民活動支援センター」を設置することに決め、今年度約500万円の予算を計上した根拠は、「( 仮称) 沼田市市民活動支援センター設置及び運営に関する報告書」にあるようだ。そこで、改めて、同報告書を読んでみたところ、以下のような感想を抱いた。センターの問題点が浮かび上がり、解決策を見いだすヒントになれば嬉しい限りである。

 第1に、同報告書の作成主体に問題がある。
 同報告書は15人の委員からなる設置検討委員会によって造られたことになっているが、それは形式だけである。実態は、事務局がつくった報告書(案)がノーチェックで出てきているに過ぎない。同報告書の書き出しを見れば明らかだ。(太字は引用者)

人口減少、少子高齢化、高度情報化などにより社会環境が大きく変化し、市民ニーズは多様・複雑化してきたことに加え、国を始めとする地方自治体も厳 しい財政状況となっています。

 太線部分は「国や地方自治体」あるいは「県を始めとする地方自治体」の間違いである。国は地方自治体ではないからだ。細かいと思われるかもしれないが、冒頭の決定的なミスである。有識者を含む15人の委員のうち一人でもきちんとチェックをしていれば気づくはずだ。しかし、それが出来ていない。お粗末だ。これでは、自立的に、行政と対等な審議をしたとは言えまい。

 第2に、同報告書の骨格が論理的な整合性に欠けている事である。同報告書は上記の「・・・厳 しい財政・・・」との書き出しではじまるが、結論はこうだ。

検討委員会一同、十分な体制を整備されたセンターが実現されることを心より望んでいます。

 この十分な体制の中身は、会議や印刷・作業のためのスペース、パソコン及び周辺機器・電話機・FAX、テーブルなどの機材と各種助成金など財政的基盤づくりの支援である。  
 つまり、同報告書は「市民活動がやりやすいように、場所、私財を提供し、財政援助をしろ。」と、市に財政支出を求めているのである。
 しかし、市の財政状況が厳しいことがセンター設立の発端だったのである。そうならば、補助金などの財政援助を削減しろというのが自然な論理展開だ。
 どのように論理を展開すれば、市に財政支出を求める結論が導かれるのか、何度読んでも理解できない。これでは、「議会活性化委員は議会活性化のために一般質問をしない」と言うのと同じである。
 これまで、市は財政難を理由に、市民活動に対する補助金をカットしてきた。その一方で、財政難を理由に、新たな補助金を含む財政支出をするというのである。矛盾である。「財政難」とは、なんと便利な方便なのだろう。

 第3に、地域内自治の軽視である。同報告書1頁3行目にはこうある(太字は引用者)。

このため、行政だけではすべての地域課題や新たな課題に対応していくことは困難な状況にある中で、地域にふさわしい解決策を市民と行政の知恵と力を結集して、共に見出していかなければなりません。

 白沢、利根は、合併特例法により認められた地域内自治区であり、地域の問題を協議し市長に建議する機関として、「地域協議会」が設置されているのである。また、地域内に振興局という行政機関を有しているのである。そうならば、白沢、利根の地域の問題は、第1義的には、それぞれの地域住民とそれぞれの行政機関である振興局に委ねるべきではないだろうか。 利根の方に、福祉センターを利用して地域の問題の解決策を考えろというのは、あまりにも酷だ。旧沼田市中心部に住む住民の奢りだろう。

 第4に、憲法にも反しかねない個人の軽視である。たしかに、同報告書1頁6行目は、以下の様に個人を尊重しているようである。

沼田市では、市民の自主的な行動のもとに、市民と行政が協働の良きパートナーとして連携し、それぞれの知恵と責任において地域課題を解決しながら、

 しかし、読み進めると「市民活動団体やボランティア団体など意欲のある人々が集う拠点施設」、「市民活動を実践している団体間」、「団体活動を支援する場」、「様々な団体活動の紹介」、「ボランティア団体やNPO法人など団体活動を実践する者の代表」、「ボランティア活動団体を基本とし」、「登録料、登録団体の会費」と団体登録を前提にした運営ばかりが目に付くのである。まれに市民という言葉も出てくるが、登録団体に加盟しなければ、センターを利用できないし、財政援助も受けられないとしか読めない。
 そうだとすると、団体には入りたくないが市民活動はしたいという主体性を持った個人はどうしたらいいのだろうか。個人利用が制限されるとすれば、それは、「会派に所属しない議員には政務調査費を支給しない」と言う弱い者いじめの議会と同じ発想であり、徹底した個人主義を打ち出す憲法に反するものだろう。

 第5に、鎖国主義である。同報告書は利用者についてこのように規定している。

・基本的には市民を対象とする。
・団体の主たる活動場所が市内の場合は、利用を可とする。
・団体の中に市民以外の人が入っていても、団体の主たる構成員が市民で
あれば利用を可とする。

 また、第4回議事録にもこうある。

*利根郡住民が利用出来ること。(広域で活動出来るセンター)について
・基本的には沼田市民ということ。公から資金が出るのに問題がある。

 しかし、市外から安い人件費でセンター長を公募しようとしながら、利根郡の住民にすら利用させないとは、勝手すぎないか。これでは、情報公開の請求権者を住民だけに制限し、公共工事の入札資格を市内業者だけに制限する発想と同じ鎖国主義ではないか。
 公金だから問題があると言うが、いったいどんな問題があるのか。そう思い込んでいるだけだ。いつまでも、こんな了見の狭い事をやっているから、他の自治体に遅れるのだ。市外にも広く門戸を開いて、積極的に外部の風を入れるべきだ。利根郡はもちろん、前橋でも、東京でも、ニューヨークの住民でも希望があれば利用できるようにすべきだ。市外の方がわざわざ沼田のセンターを利用する。こんな嬉しいことはない。そのほうが、沼田の市民運動も活性化するに違いない。

 第6に、利用できる事業の範囲である。前述のとおり、同報告書は「ボランティア活動団体を基本とし、営利団体、政治団体及び宗教団体は除く。」と利用者については制限を課しているが、利用できる事業の範囲については何も検討していないようである。例えば、NPO法人がセンターに団体登録すれば、制限なく利用できるようである。
 しかし、NPO法人や公益法人は、出資者への利益の分配は禁じられているが営利事業を行うことは自体は禁じられていない(この程度の基礎知識を有識者がご存じないわけがない)。そのため、NPO法人も営利事業を行うことがある。むしろ、営利事業を行うNPO法人の方が多いのである。センターはそのような営利事業についてはどのように扱うのか。これは、実務上大きな問題となるだろうが、まったく検討されていない。また、最近は営利法人が公益活動を行うことも多い。そのような場合も利用できないのか。こちらはレアケースであろうが、「市民や企業、行政が創造的に話し合う場」と言う以上合わせて検討しておきべきだろう。

 第7に、提供する情報の片面性である。同報告書はセンターは「情報提供・収集の場」であるとする。こうだ。

様々な団体活動の紹介、各種助成の案内などの情報提供を行うとともに、インターネットなども利用できる利用者の情報収集の場とする。

 しかし、センターは行政との協働を前提とした市民活動の支援を目的としているのでは無かったか。そうであれば、行政情報の提供が不可欠だ。情報の質、量ともに行政が民間を圧倒している。これを提供しなくては、「市民が行政と創造的に話し合う」など到底不可能であり、無償労働者紹介センターになりかねない。 いかにも情報を知られたくない市行政らしい。都合の悪い議論は委員の了解なしに議事録から削除するという暴挙も厭わない事務局が作成した報告書らしい。こういうところに、「市民活動の管理はしたいが、行政活動への市民参加は認めない。」という市長の本音が滲み出るのだ。6年前に市民参加検討会議が提言した「情報共有コーナー」の設置がよほど嫌なのだろう。(杉山弘一記)

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コメント

なぜ市民活動支援センターなどをつくろうとするのか、星野市長の真意がわからぬ、と書いたら、片品村の小暮さんから、他市がやっているからですよ、と喝破された。なるほど、星野市政の特徴は、口先できれいごとを言いながら、なかみはなんにもない、これが星野市政だと思われるのは、給食費の値上げと乗り合いタクシーや路線バスの廃止、縮小提案などだ。情報公開を嫌う体質は少しも改善していない。八月十二日の会議はどうなったのか?非公開のままか?

 選挙を見据えた実績造りをかねて、とりこめそうな市民団体に餌を撒いておこうというのが、市長の真意ではないでしょうか。センターの予算を回せば乗り合いタクシーは廃止せずに済んだでしょうに。交通弱者の足の確保よりも、選挙。いかにも、弱者に厳しい巳喜雄市長らしいでしょう。
 8月12日の会議は「原則どおり非公開」というのが、事務局である協働阻害もとい推進係長の回答です。ただし、会議の冒頭に委員に図るようですから、公開になる可能性はあります。公開すべきという委員も多いようなので、応援すべく、意見を送っておきました。はたして、事務局が委員に配布するか?かつての市民参加検討会議での真下恭嗣副委員長(現市議)のように事務局に付いて公開に反対する委員がいるか?

 今日の午後、原協働推進係長に12日の準備会傍聴の件を確認したところ、「12日は(傍聴は)駄目です。理由は各委員に問い合わせる時間がなかったから」でした。
 なお、ホームページから削除された議事録ですが、市で保管している紙版の議事録と録音テープを先週、情報公開請求しています。これが出てくれば、本当の議事内容や削除に至る経緯も明らかになると思います。

 白井さん、会議の冒頭での確認はすると思っていたのですが、それすら不可ですか。隠蔽体質がこれほどひどいとは。
 そもそも、この種の市民参加に関わる審議会(行政委員会)は公開が原則で、特段の事情がある場合に限って非公開とするもの。それが、市民参加、市民協働の推進を掲げる自治体の標準仕様です。
 同準備会の前提である設置検討委員会はほぼ同じメンバーで構成され、同準備会の前提となる議論をしていましたが、その第1回会議で、会議を公開とすると確認しているのです。
http://www.city.numata.gunma.jp/introduction/kyodo/katudoshien-gaiyou.html
 それにもかかわらず、事務局が委員に図らずに、原則を逆転させ非公開とする暴挙を働いているのです。市民協働推進の先頭に立つ、協働推進係にしてこのありさまですから、市長の本気度が「ゼロ」いや「マイナス」であることがわかります。

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