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2009年7月22日 (水)

市民参加を阻害する沼田市の協働事業

  6月30日と7月6日の2回にわたって、市主催の「市民協働事業説明会」が開かれた。この開催方法や内容を見ると市長を始めとする市幹部が市民協働をどのように考えているかがよく解る。彼らの頭の中では、「市民協働」=「無償労働提供」なのだ。市長ら市幹部が推進しようとしているのは、「市民無償労働提供制度」でしかないのだ。このまま、市幹部が考える市民協働が進んでいけば、沼田市政への市民参加は大きく阻害されることは間違いない。どうしてこう断言するのか以下に説明しよう。
 第1に、同説明会は、市が、市と協働事業をしていると認定した市民団体を呼び出して行われた。2回の期日を設定したからどちらかに出てこいと言うのだ。既に市と協働事業をやっている市民団体に市の考え方を説明するならば、協働事業を実施する際の打ち合わせの中で説明すれば済むことだ。それをせずに、一同に呼び出すと言うことは、「行政はお上であり、市民団体は僕(しもべ)である。」という発想に基づくものだとしか言いようがない。これでは、「市民と行政が対等の立場に立って」と言う市民協働の理念からはほど遠い。
 第2に、同説明会は広く市民に公開されていなかったことだ。前述のとおり市が認定した市民団体だけを対象とし、一般市民には何も知らせれないまま実施されたのだ。これでは、市長にとって都合の悪い団体や市民を排除することになりかねない。ましてや、市民協働の輪を広げることなど到底不可能だ。そもそも、当日配布された資料の「公表」の欄には「事業の成果などをホームページなどを使って公開します」とあるのだ。それなのに市のホームページには同説明会の開催について一切公開されていないのだ。自己矛盾もはなはだしい。
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 第3に、同説明会の進行方法が悪い。市民協働と言いながら市の一方的な説明ばかりだ。市長はお通夜が控えていたのか挨拶だけして帰ってしまうし、市民協働といいながら市民団体と意見交換をする時間がほとんど設定されてないのである。また、協働について有効な意見交換をするつもりがあるなら、市民団体側に事前に資料を送付するなどして準備に便宜を図るべきだが、それもしない。その結果、2カ所の会場を通して、質問は2名だけ、意見交換らしきものは行われなかったのである。これでは、協働にはなるまい。
 第4に、「沼田市の協働事業の進め方」の内容に重大な問題がある。それは、協働事業の企画段階への市民参加が排除されている点である。
 つまり、配付された資料をみると「事業の検討」、「パートナーの検討」と言う協働事業の企画に関する項目は行政側だけが行うことになっているのである。そして、資料のどこにも、市民からの市民協働事業の提案方法については書かれていないのである。市民(=パートナー)の役割が出てくるのは「事業の実施」 からなのである。 これらの意味するところは、協働事業の企画段階には市民は参加させないということだ。市民は、行政が企画した事業の実行部隊として労働力を提供すべきだと言うことでしかない。
 第5に、これも内容に関することだが、事業の評価段階への市民参加も排除されていることである。たしかに、配付された資料の「事業の評価」の欄には「市とパートナーがチェックシートを利用して双方で評価します。」と記載されてはいる。しかし、配布されたチェックシートを見ると行政側の視点でしかないのである。これでは、実質的に評価段階の協働とは言えない。
 この事業の評価への市民参加に関しては、平成20年3月11日の市議会で興味深い議論がなされている。市長の考え方が端的に表れているので、長いが該当部分を全文引用しよう。 
 市長は、評価段階への市民参加を沼田の実状にそぐわないと強く否定しているのである(太字は筆者)。これでは、担当者が形式だけの市民協働を進めざるを得ないのも致し方ない。

◇19番(井之川博幸君) だからその数字を目標に向かってやるのはだめだと。そこだけ追いかけていったのではだめだと、こういうことを言っているのですね。昨日もありましたけれども、行財政改革をするということでは、全ての事務事業の見直しをすると。内部評価という話が出ておりました。私は、外部評価ですね、市民会議の提言書、市長が諮問した会議の内容で提言が返ってきた中に事業の外部評価のシステムを付けると、こういうことが提言をされているわけなので、これから行財政改革を進めるということでありますから、どうしても市民による事業評価システムを作ってほしいというふうに思うのですけれども。この点はどうでしょうか。これをやらないと本当の行財政改革にはならないと。なぜかと言いますと、市長はもうご承知なのですけれども、今までも市民は、システムはないのだけれども、滝坂エレベーターの建設や公園の二重櫓の建設、議会のチェック機能と市民の協働でストップさせてきたのですよ。議会の中では小数意見でしたけれども、市民の中では大きな多数意見で、そういう事業評価も滝坂エレベーターなどは地質調査までやっていたわけですよね。そういう中で、いま凍結というのですけれども、しているわけですよ。市民の力というのは大きな力があって、わざわざそういう市長が作った市民会議からの提言もそういうふうにされているわけですから、この市民による事業評価システムをぜひ具体的に構築していただきたいというふうに思うんですけどどうでしょうか。

◇市長(星野已喜雄君) 今の県下の流れが、外部評価ということも当然大きく取り上げられているということは私も承知をしております。ただご案内のとおり、市議会の選ばれた、市民の代表の方々もおられますし、そういうようなこと等、いろいろと判断しながらですね、今ご提起されている関係等については、今後、研究をさせていただく中で、本市の実態に合ったような、そういう評価システムを構築していくということになっていくと思います。これからの行財政改革を進めていく上におきましてはお説の感もあります。そういったことをとらえたときに、やはりいろいろと総体的に物事をとらえて、本市の実態、現状に見合った方向をやはり考えていく必要があるのではないかと思っておりますので、ご理解を賜りたいと思います。

◇19番(井之川博幸君) 議会の、自分らは代表ですから、そういう意見を聞いていただくということは本当に大切なことであります。しかし今までも、議会の中でも意見は出ていたのです、いろいろね。その時は検討しますと言うのですけれども、実際、全然実行されていないのですよね。ですから、議会の中で一般質問いま私やっていますけれども、一人の議員としてやっていて、議会全体で議決して何かやっているということではないですから。やはりその点は、市長、執行機関とすれば、議会全体が議決をすればそれは完全に無視できないけれども、一人一人の議員の、こういう一般質問なり意見などは参考にしていただくと、参考にするという程度でやってきたのだと思うのです。今までを考えると。だから、やはりどうしてもそういう議会のチェック機能と市民の参加、両方なければきちんとした行政の事務執行ができないというふうに私は考えるわけです。これからは行財政改革を進めていくというわけですから、今までもやってきたのですよ。計画ができてやってきたのですけれども、おそらく進まない部分を今度は本気で進めるというわけですから、これはどうしても市民参加で、事業評価システムというのが必要だと私は考えます。もう一度お願いしたいと思います。

◇市長(星野已喜雄君) まず最初に、皆さんからの一般質問等についてのことを参考にしてきたぐらいではないかという、それではなく、やはりご提言されたことについては、少なくとも今回の一般質問の答弁書を作成するにあたって、大体5日くらいかけていろいろと調査をさせていただいております。従いまして、そういう意味では、当然部課長会議でも一般質問が、議員の方々の最高の発言の場所であるからということでもって、一生懸命対応させていただいておりますので、まずもってその辺のところについてはご理解を賜りたいと思っております。
 なお、今のご提案につきましては、やはりいずれどこかで論議をせざるを得ない大変重要な案件であるということは前から承知をしております。ただ、本市の実態に合った形の展開をしていくということでもって、ぜひこの辺はご理解いただければと思っております。当然それは、時代背景、それから本市の諸々の社会構造、あるいはまた、いわゆる中央等の動向等見てですね、これらについては検討を加えていきたいというふうに思っております。従いまして、今ここで「はい、わかりました」というわけにはなかなかまいりません。いずれにいたしましても、十二分な研究をさせていただく中で、今後の対応に処してまいりたいというふうに思っております。しかし、いずれ避けて通れない大きな問題であるというふうには、しっかりと受け止めているつもりでございます。

(杉山弘一記)

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コメント

「本市の実状とか実態」というのは遁辞である。何が実状で何を実態というのか、星野は明らかにすべきだ。このような言い逃れを並べる本当の理由は、市民に本当のことを知られては困る、ということに他ならない。なぜ隠すか? 疚しいからである。星野は疚しいことをこっそりやることを政治と考えている男だ。耳に聞こえのいいことを並べ、その実やるのは、自分に都合のいいことばかり。こういう市長には早く辞めてもらうのが市民のためである。

 市政の執行段階には議会でさえ参加することはできません。ましてや、一般市民が参加出来ないことは明らかです。議会も一般市民にも執行権限がないからです。
 一般市民が市政にもっとも参加しやすいのは、事業の評価段階です。事業の受益者でもあるし、執行権限は不要だからです。地方自治法242条が住民による監査請求を認めているのも、評価段階ならば住民参加を認めやすいからです。
 その評価段階への市民参加すら沼田市の実状、実態にそぐわないということは、沼田には市民参加がそぐわないと言っていることと同義です。ましてや、市民参加の発展型である市民協働がそぐわしいはずがありません。
 結局、市長が言っていることは、「沼田市には市民参加や市民協働はなじまない。しかし、余所でやっているから、カッコだけは付けたい。だから、形式的にだけで良いから、市民参加・市民協働を進めていることにしてくれ。」と言うことに他なりません。
 こんな茶番に公金を使うべきではありません。

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