九州の阿久根市で起きたこと
毎日新聞の「記者の目」欄(6月16日)に福岡清哉記者が書いた記事をかいつまんで紹介する。
鹿児島から列車を乗り継いで一時間半以上もかかる阿久根市は、人口二万四千の小さな市である。主な産業は農漁業だが、いずれも振わず、駅前の商店街は開いている店がほとんどない。九州新幹線のルートから外れ、高速道路も計画だけ、小泉改革で地方交付税が激減したため、町に活気がまったくない。
この寂れた市で出直し市長選挙が行われ、市議会に不信任決議を二度も突きつけられていた竹原信一(50)市長が再選された。竹原市長は昨年九月の当選以来、ブログで、辞めさせたい市議の実名アンケート、全職員の給与明細などを公開してきた。風向きが変わったのは今年の二月、全職員268人の給与明細を市のホームページなどで公開してからだ。個人名は伏せていたが、市職員の間ではある程度特定できる。「個人情報保護の観点から問題だ」という批判があがったが、市民の間では肯定する声が多かった。「よく公開してくれた」「こんなにもらっていたのか」などだ。「高給の実態を暴いた市長」への喝采が全国から寄せられた。勢いに乗った竹原市長は、ブログで「平均年収700万円以上が市の職員の半数」などと批判を重ねた。
阿久根商工会議所幹部によると、市民の平均年収は300万円前後という。その町で700万円平均という数字は、市民の憤慨を高めるに十分だった。公務員バッシングの嵐が吹き荒れる中で出直し選挙を迎えた。竹原氏は、「革命」を掲げ、公務員の厚遇批判という一点に的を絞った。対抗馬の元国土交通省職員を562票差で破って再選された。
福岡記者は書いている。「この記事を読んで、阿久根市では革命のような出来事が起きていると思う方もいるかもしれない。だが町で出会ったのは穏やかな人が多かった。取材した農家では抱えきれないほどのボンタンを戴いた。道が分らないと、お年寄りが目的地まで一緒に歩いてくれた。こうした人たちが『現状を変えてくれ』と怒っているのが今の地方の状況ではないだろうか」
さて、わが沼田はどうか。竹原は出るか?
ブログ市長で思い出しましたが、中之条町長のブログ「町政レポート」はなかなか面白いです。
http://iriuchi.kazelog.jp/iriuchi/
投稿: 杉山弘一 | 2009年6月18日 (木) 06:58