行財政改革はまやかしだ
広報ぬまた6月号の5ページに、「行財政改革実施に伴う本年度当初予算への反映状況をお知らせします」との記事が掲載されている。そこには、「持続可能な行財政運営を目指し、引き続き行財政改革を推進していきますので、皆さんのご理解とご協力をお願いします。」とある。
しかし、何を協力しろと言うのか。はっきり書かなければ協力しようにも協力できない。そもそも、こんな記事では理解できない。
まずは総額について具体的に指摘しよう。
最後の行に、「歳入増加額および歳出削減額計549,411」とある。単位が千円なので解りにくいが(わざと解りにくくしているとしか思えない)、行財政改革で5億4911万円を削減したということだ。たしかに5億と言えば大金だ。しかし、沼田市の一般会計の予算額は約200億である。5億はその2.5%でしかない。これがどのような意味を有するのか。
沼田市の経常収支比率は107%である。経常収支比率は75%から80%未満が妥当な数値とされ、80%を超えると財政構造の弾力性を失いつつ、100%を超すと財政構造が硬直化し、末期状態といわれている。したがって、持続可能な行財政運営をするには、これを80%以下にする必要がある。概算してみよう。
80%にするには、
200億×(107%-80%) =54億
100%にするには、
200億×(107%-100%)=14億
健全な財政、持続可能な行財政運営をするには、54億の削減が必要であり、末期状態から脱却するにも14億削減が必要なのである。5億4911万円では話にならないのである。このままでは破綻し、夕張のようになる。
グリーンベル21の寄附を断らざるを得なかったのは、こういう財政状況だからである。給食費を値上げしたのも、バスの路線を廃止したのも、乗り合いタクシーを廃止するのもこういう財政状況だからである。
行財政改革の各項目については、あまりにもひどい内容なので、日を改めるて書くことにする。
市長の義務のうちで最も大事なものは、財政の切り回しである。それには、支出に優先順位を付け、自分が何を最も大切と考え、何を無駄と考えるかを市議会公表しなければならない。市民に協力を乞うのは優先順位を分りやすく説明し、理解が得られたと確信してからのことだ。財政を縮小しなければならない場合は、とりわけ何をどれだけ削ったのか明らかにする必要がある。「持続可能な」などと聞いたふうなキャッチフレーズをつけることより、沼田が群馬県内38市町中36位という財政不健全市からどうやって抜け出すのか方針を示すべきだ。それとも、持続できれば不健全のままでいいというつもりなのだろうか。呆れた市長である。
投稿: 峯崎淳 | 2009年6月11日 (木) 17:30