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メンバーの裁判

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2009年6月 2日 (火)

衆議院選挙の本当の争点

 前回の郵政選挙で争われたのは、実は郵便局の民営化の是非ではなく、日本の国をどんな原理で動かすかということだった。小泉純一郎は、選択の本質を巧みに隠し、甘い日本国民に一杯食わせたのである。衣の下に新自由主義的資本主義の鎧を着ていることに気づいた人は少数だった。マスコミも流行に乗り遅れたら冷や飯食いだと小泉の詐術に乗った。
 サブプライム・ローンのインチキ商法を金融工学だなどと持ち上げた連中も詐欺の片棒を担がされたのである。金融危機が来て、話が違うじゃないか、と言い出したが、遅すぎた。派遣が切られ、テント村ができ、母子家庭は窮地に追い詰められ、あっちでもこっちでもお先真っ暗の話ばかり。小泉に尻を持っていこうとしても、本人は早々と引退し、次男を後継者に仕立て、素知らぬ顔である。

 今度の選挙で何を選択すればいいか。それを決めるには、面倒ながら、アメリカの政治思想史を少々勉強する必要がある。少なくとも、自民党が辿ってきた政治思想の変遷を見てみると、アメリカの政治思想をつまみ食いしてイデオロギーとして採択してきた歴史が見えるからだ。小泉はブッシュの尻にへばりつき、ブッシュの市場原理主義の口真似をした総理大臣だった。イラク戦争に踏み切るかどうかというとき、サダム・フセインが大量破壊兵器を隠匿している証拠を掴んだとブッシュが言い、その証拠を小泉に示した。小泉も確かにその通りだと請けあった。そんな証拠はなかったことをブッシュは後に白状した。小泉は自分の発言を未だに撤回していない。ブッシュの戦争を支持したことの誤りも認めていない。口を拭って知らん顔である。自民党の思想などこの程度にすぎない。新自由主義にしたって、もう忘れている。いや、忘れたいと思っている。「行き過ぎだった」と言えば済むと思っている。そのために雇用の根底を崩され、経営者の都合で何の保証もなく巷に放り出された人々の人生がどうなるかなど、「ある程度の犠牲は止むをえない」で片付ける。こういうお粗末な政治家ぞろいになった自民党にはこんどこそ政権から外れてもらう。

 さて市場原理主義に基づく新自由主義や金融資本主義がだめだとすれば、それに変わりうるアメリカ思想はあるか。ある。こうした従来の思想の根幹をなすのは、リバタリアンの思想である。つまり、個人の自由を最高の価値とする思想だ。自由を極大にすれば、無政府主義に行き着く。リバタリアンの社会は本質的に不安定ならざるをえない。

 これに対立するのが、コミュニタリアンの思想である。国家社会主義や社会主義や共産主義が代表的だが、両者とも二十世紀の実験では失敗だったとされる。国家社会主義は専制に陥り、社会主義は官僚が強大な権力を振るい、共産主義では市民的自由のまったくない窒息状況になった。

 しかし、人間は地域社会などさまざまなコミュニティで生活する。昔あった真のコミュニティが破壊され、人々が孤立し、お互いの絆が切れたことが、小泉後の日本の諸悪を生んだ。だからと言って、昔に戻ることはできない。われわれに必要なのは、現在の日本を廃墟と認識し、この廃墟の上に新しいコミュニティを築くことである。人と人とが心を通わせられるコミュニティを建設することである。社会主義や共産主義では駄目なことはもう分っている。

  オバマはGMを国営にした。一昔前なら考えられなかったことである。アメリカ人もコミュニティの大切さに遅まきながら気づいたのかもしれない。

 同じく派遣切りで失業したブラジル人が幸いまだ失職していない友人の助けを得て生活をしている。日本人の失業者は親元に帰ることすらできない。カトリックの信仰があるブラジルに対し、アメリカを猿真似し、個人主義と利己主義の蔓延した日本との違いがはっきり出ている。カトリックは人間は本来罪深い不完全なものとして貪欲を戒めている。アメリカとは違う。

 今度の選挙では、コミュニティの再建のビジョンが争われなければならない。どういうコミュニティに日本の国をしたいかを各党に各候補者に問うのである。沼田のわれわれも大いに議論すべきである。

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