筑西市の事例から学ぶこと
昨夜のTVニュースによると、茨城県築西市(旧下館市)の市民病院が経営難から民間委譲されるそうだ。今朝の読売新聞も以下のとおり伝えている。
筑西市の冨山省三市長は3日開会した12月市議会の開会あいさつで、医師不足と慢性的な赤字で経営危機に陥っている筑西市民病院を民間移譲する方針を明ら かにした。現在は公務員である病院職員の給与問題などが浮上することも予想されるが、冨山市長は「一日も早く民間に移譲し、市民に迷惑がかからないように したい」としている。
(中略)
同病院は2002年、常勤医師が23人いたが、派遣元の大学病院が医師を引き揚げるなどし、現在8人。病床数も今年1月、173床から60床に減らした。 2007年度の収支は約1億3800万円の黒字だったが、市の一般会計から約11億円を繰り入れており、今年度も約7億7000万円を繰り入れた。
要は、市に金がないから、病院を維持できなくなったということだ。自治体が財政難になると必ずこういった医療や福祉部門にしわ寄せが来る。一般市民、生活弱者にしわ寄せが来る。沼田には市民病院はないが、財政難が進めば、一般市民、生活弱者にしわ寄せが来る点はまったく同じだ。さらに財政難が進めば、路線バスも廃止しなければならなくなるだろうし、不足している老人ホーム等の施設の建設もままならなくなるだろう。そのうえ、住民税や国保税があがるのだ。
では、筑西市は、なぜ、これほどの財政難になったのだろう。原因は多岐にわたるであろうが、一つ確実な原因がある。市が駅前の大規模商業ビル「下館スピカ」を譲り受けたことだ。地権者の要望を受け、市が企業の持ち分を譲り受け、一部フロアーを市庁舎として利用した。しかし、その後もテナントの撤退が相次ぎ、空きフロアーが目立っているというのだ。市が負担する維持管理費用は莫大なものになった。
沼田のグリーンベル21とそっくりだ。沼田もこの失敗事例から学ぶ必要がある。倫理経営に励んでいるらしい方たちの商売を救済することは、その分の福祉を切り捨てることだ。財政難の現状では両立は出来ない。優先順位を付けなければならないのだ。
そして、絶対にやってはいけないことは「困窮している地権者がかわいそう」、「みんなで助けてあげよう」といった安易な同情で寄附を受けることだ。そんなことをしたら、真の弱者にしわ寄せが来る。救える命も救えなくなることは必至だ。財政難で路線バスが廃止されれば、路線バスを使って透析治療を受けていた方の命を削ることになるのだ。
「地方公共団体は住民の福祉を図ることが基本」(地方自治法1条の2第1項)を決して忘れてはならない。
さて、本日、高柳議員が一般質問でグリーンベル21問題を取り上げる予定だそうだ。一般質問発言通告順序によれば具体的で興味深い質問だ。特に、財政への影響では、経常収支比率の予測を聞き出すことを期待する。ただ、聞くところによると、同議員は寄附を受入るべきだとの意見だそうだ。それは一つの考えだが、安易な同情論から言っているのでないことだけは確認しなくてはいけない。もし、同情論だとすれば、それは真の生活弱者を見殺しにすることだからだ。
余談だが、前日市議会の最大会派が政務調査費を使って「下館スピカ」の視察に行ってきたそうだ。こそ泥会派と批判を受け続けたことで、政務調査費の本来の使い方がようやく解ったようだ。しかし、相変わらず一般質問が少ない。一般質問発言通告順序によれば、最大会派で質問をするのは5人(坂庭、井上、鈴木、大竹、布施の各議員)、そのうちグリーンベル21問題について言及するのは3人だけだ。視察の成果は議会に反映させなければ意味がない。大挙して、税金を使って視察をしてきたのだから、ぜひとも、もっと多くの議員に一般質問をして欲しかった。
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