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2008年11月17日 (月)

金融危機と沼田グリーン・ベル21

新自由主義のいかがわしさが、危機によって露呈してきた。ベア・スターンズやリーマン・ブラザーズが破産したのは、優勝劣敗の市場原理が働き、「劣悪な」企業が駆逐されたわけで、資本主義の創造的破壊である。ここまではいい。しかし、AIGは、連邦政府の資金援助を受けて破滅を免れた。来年大統領に就任予定のバラック・オバマは、自動車メーカーのGMを税金で援助し破産から救おうと提案している。GMを筆頭とする自動車三社が破産すれば三百万人が失業すると言われている。社会的大変動を起しかねない数で、政治指導者がうろたえるのも理解できないことではない。
AIGを破産させなかった理由は、もしこれが破産すると金融制度自体の崩壊を引き起こしかねないと危惧されたからだ。市場にすべてを任せておけば何事も最良の結果となる、という市場原理主義は適用できなかった。
オバマ新大統領がGMを救済すれば、市場の動向を見誤り、判断ミスを繰り返し、技術開発で後手後手に回ってきた経営者を会社とともに温存することになる。アメリカ社会の進歩の源泉である絶えざる新陳代謝を否定することに、少なくとも、一時的には、なる。アメリカの進歩がその間停滞し、コストは納税者が負担する。GMの破産を許すことは、一時的には大きな影響を及ぼす。大量の失業者を吸収する受け皿を用意しなければならない。もしかしたら、産業構造すら変える必要があるかもしれない。政治的には大きな試練である。1930年の大恐慌のとき、フランクリン・デラーノ・ローズベルト大統領はニューディール政策を打ち出し、大量の公共事業を行って失業者を吸収した。さらに日本が真珠湾攻撃を敢行したために、米国に参戦気分が高まり、第二次世界大戦の戦争景気で不況は吹き飛んだ。金融危機に発する今回の不況を解決するのに、かつてのローズベルトの図式は役に立ちそうもない。

さて、沼田のグリーン・ベル21の問題。二十九人の地権者が、所有する土地にビルを建てそれを賃貸する事業を始めようとした。というより、三井生命がやろうとしていた計画に便乗した。当初のフィージビリティー調査では、沼田程度の商圏規模では、五階建ての高層ビルを維持する経済力はない、せいぜい三階までだ、という結論が出ていた。それを見得と強欲の二人連れで、七階建てのビルにしたのは、二十九人の地権者たちであった、と聞く。結果はご覧の通り。テナントは次々に去り、このままではお化け屋敷になりそう。固定資産税を市に納めるどころか、市の補助金でやっと経営を続けている。貧乏市がいつまでもこのままビルを維持していくことができないのは、明らかである。沼田市自体が夕張化しそうな財政状況なのだ。市が万歳すれば、このビルはお化け屋敷になるしかない。地権者は、このまま何も手を打たずに、ビルが倒産、お化け屋敷になるのを見たくなければ、まず、己の失敗を認め、敗北を受け入れることから出発するしかない。夢は破れたのである。地権者の選択は一つしかない。一切の権利を放棄し、一切のしがらみなしに、市に引き渡すのである。市は、これを立ち木と同様の自然物と見なす。立ち木にも下草を刈ったり、枝を払ったりする手入れが必要であると同じく、これにも維持管理は必要で、市は最低限の維持管理に責任を持つ。そのうえで、このビルをどう使うか市民のコンセンサスをうる努力をする。

物売りで使う以外にも、ビルの使い方はある。沼田の市民が最も求めているものはなにか。潜在的需要を含めて、徹底的に研究すれば、ビルの利用方法は見つけられる。現に、六階のスポーツ・ジムには大勢が通っている。ジムは身体の健康を維持することへの需要に応える事業である。沼田にはまだ知の欲求に応えられる事業がない。沼田の市民は馬鹿ぞろい、口腹の慾だけで、知の欲求などないという意見がある。はたして本当だろうか。これこそ掘り起こしてみる価値がありそうな潜在市場ではないのか。たとえ今は馬鹿であっても、無知のまま墓に入りたくないという気持ちを持っている老人もいるはずだ。

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