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2008年9月 4日 (木)

沼田の闇の背後にあるもの

沼田に住んでいると、闇に閉ざされた思いにかられることがあるはずである。そうした感じを一度も感じたことがない住民は、よほど鈍いか、本人が闇のなかで暗躍することが好きな人である。私は最近沼田の闇をまざまざと感じた。グリーン・ベルを巡る騒ぎを闇が覆ったのである。グリーン・べルは、沼田市街の中央に位置する貸しビルである。テナントを募集し、テナントからもらう家賃で経営をすることを目的に、三井生命(株)と二十七人の地主が集まって建設された。いくら一等地でも、沼田にこれだけの面積のビルを維持させていく経済力(需要)があるかどうか、疑問視する向きも専門家筋にはあったらしい。しかし、地主たちは、七階建てのビルぐらい建てられなくてどうする、と張り切り、慎重論を抑え込んだと言われる。しかし、その後の経済状況が、右肩上がりどころか、下降傾向を辿ったため、ビルの経営は困難に遭遇した。有力なテナントが出て行き、ビルは赤字経営に陥った。そして、今は年間三千万以上とも言われる赤字を垂れ流す、典型的な失敗ケースになっている。大企業の三井生命(株)もこれにはたまらず、ビルの持分(85%)を沼田市に無償で寄付する、と言い出した。ところが、ビルの15%を所有している旧地主連二十七名が、おれたちはどうしてくれるんだ? とごねだした。一等地を提供してビルの建設に貢献したのに、今無償で放棄しろ、というのか? とんでもない! 沼田市がビルを受け取るつもりなら、二十七人に何らかの賠償を約束するのが先決だろう、というのである。

グリーン・べルが赤字に陥った原因はいろいろある。経済規模に合わなかった、という説明が広く行われている。誰も責任を負わなくて済むので一番大きな声で言われる。これは半分の理由にしかならないというのが私の考えである。見通しが甘かったうえに、見栄を優先した希望的観測と、建ててしまえば、大企業の三井生命がなんとかしてくれるだろうと、地元の地主たちは欲ぼけも手伝って、強行した。ビルは建った。都市計画(株)が、これを借り受け、テナントを募集した。経済規模を上回るビルだから、当然、経営はむずかしい。ところが、地元地主たちが主体となった都市計画(株)を経営したのは、事業経営の素人である。経営能力がまるでなかった。やる事なす事が裏目に出た。そして、ビル経営は、ずるずると赤字に落ち込んだ。その上さらに、自分たちの無能を自覚するどころか、責任の押し付け合いを始めてしまい、経営改善のため何ら有効な手を打たなかった。こうした二重の無能経営こそ、失敗の最大の理由だと考えるのである。グリーン・ベルに関する限り、経済環境の変化の所為で経営がなりたたなくなったというのは、遁辞であるというほかない。

先の太平洋戦争では、日本の敗因として生産力の途方もない格差を挙げる人が多い。しかし、格差は初めから存在した。生産力に格差があっても、精神力で十分補えると唱えた軍人がいた。もし、精神力で弾丸を防ぐのは無理だ、などと言おうものなら、たちどころに非国民のレッテルを貼られ、牢屋にぶち込まれた。戦争に負けた本当の原因は、こういう精神主義者をのさばらせ、反論を抑圧した社会システムにあった。かつて精神主義を唱導した連中は敗戦後は口を拭って、一億総懺悔の群れに紛れ込み、戦争責任の徹底的追及はおろか、敗戦の原因追及すら真剣にやろうとしなかった。

沼田の闇の背後には、経営失敗の事実を覆い隠し、無能経営の事実を明らかにすることを避け、責任の追及をしない、卑怯な権利者がいる。ビルの経営は失敗すべくして失敗した、と私は思っている。持分をもった人たちは、地主の権利を主張するのに熱心であったが、経営に力をあわせることはせず、経営に責任を持とうとはしなかった。ビルは事実上倒産してしまったのである。会社が倒産しても、株主は持分を放棄するだけで、責任を免れる。株式会社のありがたいところである。だから、グリーン・ベルの二十七人が今すべきことは、倒産を事実として受け入れること、である。受け入れる、ということは、すべてを放棄することである。

経営がまずかったことは、過去を振りかえってみればすぐ具体的に挙げることができるだろう。あきれたことに、地主たちは団結どころか、互い同士、嫉視反目がひどく、誰かが成功しそうになると、みんなで足を引っ張って駄目にするということをした。つい最近も、同じ愚劣を繰り返そうとしている。しかも、相手方はドイツ大使館である! 私は、心底あきれ果てるとともに、こういう連中が死に絶えるまで、沼田の闇は続くのだろうと情けなくなった。

沼田の闇の背後にあるのは、嫉妬深く、疑心暗鬼にとらわれがちな、沼田地主層の気質である。こうした陰湿な気質がどうして形成されたのか。どうすれば克服できるか。沼田の課題はここにある。嘗て沼田が沼田町であった時代、これほどいやらしい町ではなかったように思う。少なくとも、石田文四郎のような学者が情にほだされ沼田町史を書いたとき、沼田はもっと貧しかったが、人間的には豊であった。この町から、星野直樹のような人物が出たことは実に信じがたいが、事実である。(星野直樹は、満州国総務長官を務め、後に企画院総裁、内閣書記官長を務めた官僚である。戦後東京裁判でA級被告として終身刑に処せられたが、昭和三十年に釈放された。)

さて、グリーン・ベルに未来はないのだろうか? 私はガソリンの高騰と人口の高齢化の社会状況が、沼田の市中のど真ん中にあるこのビルに起死回生のチャンスをもたらす可能性があると思う。120号線沿いの発展も続くだろうが、グリーン・ベルにもチャンスが来る。しかし、チャンスには前髪しかない。三井は早晩グリーン・ベルを放棄するだろう。そうなれば、二十七人の地主たちが、五千万円の固定資産税を引き受けなければならなくなる。払えなければ、汚辱にまみれて死んでいくしかない。今こそ、事態を正面から受け止め、再生の道を探るしかない。遅れれば遅れるほど、可能性は遠のく。

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コメント

今言われている問題は、
沼田市が寄附を受けると市の財政負担が増える、
寄附を受けないとビルが訳の分からぬ輩の持ち物になり再開発に支障が出る、ということだ。
では、どうするか?簡単に解決する方法がある。
それは、三井生命が持ち分を放棄することだ。共有者が持ち分を放棄するとその持ち分は他の共有者に帰属する。これは、民法255条で決まっていることだ。つまり、三井生命を除いた27名で100%の持ち分となる。
これなら、市の財政負担も発生しない。固定資産税もこれまで通り入ってくる。そして、もとものと地権者27名のものになるのだから、再開発にも好都合だろう。27名にとっても持ち分(資産)が数倍に増えるのだから、文句は言えまい。

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