学校給食と校舎耐震工事のちがい
6月25日付の上毛新聞によれば、小麦粉や調味料など食材価格の上昇によって、学校給食にも値上げの波が押し寄せ、各市町村では、① 安価な材料に切り替える、② 給食費を値上げする、③公費での負担をする、などの対応に追われているとのことである。
沼田市は、給食費の値上げについては検討中としながらも、すでに「市外業者の見積もりも取るようにした。」とのことである。市外業者も参入させ、価格競争を呼び起こして仕入れ値の上昇を抑えようと言うことだ。これにも一理あるが、学校給食の食材にこのような競争原理を全面的に持ち込むことが適切か十分に検討する必要がある。
そもそも、沼田は、お米を始め野菜など農産物の生産地である。そして、市の政策としても地産地象を推進し、月に何回かは地元産の農産物を積極的に給食に使用しているのである。市内での競争を呼び起こすらならともかく、市外業者を参入させる必要性が本当にあるのだろうか。
これに対して、公共工事については、沼田市は完全な鎖国政策を採用している。一般競争入札と言いながら、大規模な工事まで入札参加資格を沼田市内に本店がある会社に限定しているのである。その結果、校舎の耐震工事のように技術を要する工事は、数社しか施工能力がないから、競争は極めて制限される。その気になれば、簡単に談合が出来るのである。いわば談合誘発型入札だ。
例えば、今年6月13日に入札が実施された「沼田市立西中学校耐震補強工事」は、入札参加者が5社のみで、予定価格
59,100,000円に対して、57,800,000 円で萬屋建設が落札している。97.8%の高落札率であり、5社の入札価格にバラツキがほとんどないことから談合の疑いは極めて高い。
また、昨年6月8日には、白沢小学校校舎耐震改修工事 の入札が行われた。8社が指名され、
26,230,000円の予定価格のところ、山内工業が25,000,000円で落札している。これも、95.3%の高落札率であり、8社の入札価格にバラツキがほとんどないことから、やはり談合の疑いが極めて高い。さらに、このときは指名競争入札にして、山内工業を指名していたことも問題である。指名競争入札をするのは財務状況が悪い会社が受注し、途中で倒産して工事が事が出来なくなってしまうことを防止することにある。1年後に廃業する業者をあえて指名し、契約した理由はなにか、極めて大きな疑問が残る。
談合の有無はともかく、優先順位を考えれば、給食の食材よりも、校舎の耐震工事こそ、市外業者を参入させ競争をさせるべきだろう。そうすれば、落札率は70から80%台に下がるだろう。この2件の工事だけでも2000万円は節約できるのである。そのお金を給食費に回し、地産地消を推進した方が市の教育政策にも合致する。
結局のところ、市長の姿勢は、地元の大手土建業者には優しいが、地元農家には厳しいと言うことである。どうしてこのようなことになってしまうのか、それには理由がある。ここではあえて明言しないが、市民一人一人にも責任があることだけは確かだ。
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