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« 反故にされた市民協働推進基本方針 | メイン | 市議会の本音は傍聴されたくない? »

2008年5月29日 (木)

市民参加の前提としての情報公開の意味

 「市民参加・市民協働を推進するための前提として情報公開が必要である。」
 さまざまなところで言い尽くされていることである。例えば、沼田市情報公開条例第1条にもこう規定されている。

この条例は、市が保有する行政情報の公開を請求する市民の権利を保障することにより、市民の市政への参加を推進し、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって開かれた市政の実現に資することを目的とする。

 今日は、この意味するところを具体的な事案に照らして考えてみたい。

 昨年秋から今年始めにかけて、市内のある小中学校で児童生徒の問題行動が発生したという噂が市内の保護者の間で流れた。詳細は明らかにされず、噂は尾ひれを付けて流れた。
 このような状況の中、いじめ問題に関心の深いある保護者が、教育委員会に「問題行動の報告書」の開示請求をした。杜撰な教育委員会の対応に意見を言い、再発防止を図らせたかったからである。
 しかし、教育委員会は一部非公開決定とした。非公開とされた部分は多岐に及ぶが、大きく分けると2種であった。一つは、生徒児童(被害者・加害者とも)の名前及びクラス名など生徒児童の特定につながるおそれがある情報である。そして、もう一つは問題行動の種類、つまり、いじめ、暴行など何が起こったかという情報である。ともに個人情報であるという理由での非公開である。
 一つ目の生徒児童を特定する情報を個人情報保護の観点から非開示としたことは当然である。教育委員会は学校名は開示したが、沼田市には少人数の学校が存在するから、学校名までも非公開にすることがあっても良いとさえ思う。
 問題は、問題行動の種類を非公開としたことだ。これを公開しなければ、教育問題に市民が参加することが出来ないではないか。市民協働での教育など不可能だろう。学校現場で起きている現実を市民が共有することで初めて、市民参加・市民協働が可能になるのだ。
 地方自治に詳しい法学者兼子仁も「学校の情報公開」と言う著書の中で次のように述べている。

1960年代以降、学校行事やクラブ・部活動などにおける子ども・生徒の人身事故の報告書が注目された。その情報公開を今日的に考えると、人身事故防止のために学校安全体制の整備を求めている貴重なデータを社会的に明らかにする手だてと考えられよう。

 問題行動の種類を非公開とすることは、市民に教育現場の現実を隠すことである。そのような問題行動を発生させてしまった、学校の体制、教育委員会の体制に対して、市民から批判の声が出ることを恐れているとしか言いようがない。教育委員会が守っているのは、生徒児童の個人情報ではなく、自分たち自身なのである。事実、これで、請求人も、杜撰な教育委員会の対応に具体的な意見を言えないままである。このままでは、教育委員会の体制の不備も是正されずに、同じ事が繰り返されるだろう。そして、噂はさらに尾ひれが付いて、生徒児童が傷つくかもしれない。
 生徒児童を守ることとは、学校現場の現実を市民に公表し、市民社会全体として再発防止策を考え、実行して行くことである。これが、この事案での「市民参加・市民協働のを推進するための前提として情報公開が必要である。」の意味するところである。
 教育委員会は、いったい何を守ろうとしているのか。生徒児童でないことだけは明らかだ。
 なお、事例の非公開決定については、行政不服審査法に基づく異議申し立てがなされ、現在、沼田市情報公開審査会で審議中である。

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コメント

冷静、沈着、理路整然の記事だ。
この3月市議会の大竹学校教育課長の「立て板に水」の答弁が空々しく感じる。
教育関係者の上層部は自分達職場の不利益を徹底的に隠す体質を持っている。 今から17~8年前
沼田東小5年のクラスが学級崩壊を起した。担任は大学院卒業のT・k教論。市の教育指導課に即担任を変えるう訴えたがうやむやにした。その後T・K教論は片品に異動したらしいが今は何処に勤務しているのだろうか?

その後の沼東小は問題なくやって居たとおもていたら先日40才代の保護者からいやいや同じような事が有りましたと聞き愕然とした。
情報公開の難しさは承知するが当局の都合良い判断だけを公表しているのではないか。
隠してばかりいるととんでもない教育での子供が出来上がりますぞ・・・・・
情報公開審査会の審議が公開されていれば広報でお知らせ下さい。


情報公開審査会の審議は、その性質上非公開です。
問題となっている情報について、公開とすべきか非公開とすべきかを審議するので、公開で審議すると、問題となっている情報が全て公開となってしまうからです。そして、委員には守秘義務も課せられます。
なお、審議結果は公開されます。
http://www.city.numata.gunma.jp/reiki_int/reiki_honbun/e2070024001.html#j16

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