自治体の財政は住民が監視するものだ
沼田市の財政問題を考える上で、とても参考になる書籍を市立図書館で見つけました。
まえがきにこうあります。「この本は、財政という観点で、住民が役所を監視するためのノウハウをお伝えすることが目的です。」小西 砂千夫: 自治体財政のツボ―自治体経営と財政診断のノウハウ
著者は、財政学を専門とする関西学院大学教授。内容は、一般市民向けの初級編、議員や職員向けの上級編と別れていますが、会計の知識がないと初級編でも理解するには時間がかかるかもしれません。
この上級編にある内容を理解したうえで、議会で財政論議がなされることを期待します。それと同時に、一般市民も初級編にある程度の知識を身につけて、市財政を監視する必要があります。
この本は、財政のノウハウよりも、市民参加、市民協働の理念に共感するところが多いです。以下、まえがきから面白い点を抜粋します。今の沼田における市民参加、市民協働の問題点をズバリ指摘しています。
~住民が主役になる難しさ~
「住民の参加意欲がわいてくることが住民が主役の街づくり」
「一部の自治体では、言葉では住民自治と言いながら、良く聞いてみると、人件費を節約するためだけにNPOに経費が安くなると言う意味だけで委嘱するという実態であったりします。」
~難しい専門知識を住民の目線で説明する難しさ~
「住民が主役の街づくりの実現に、欠くことの出来ないのは言うまでもなく情報の公開です。」
~議会と住民による監視が効いてなかった(夕張)~
「適法の処理をしている限り、決算の状態が悪くなれば、数字にすぐ現れてきます。議会と住民による監視機能が効いている限り、そこで歯止めがかけられる」
「住民による監視はこの場合(夕張)には効かずに、事態をいたずらに悪化させてしまった」
~監視しよう、参加しよう、自ら担おう~
全国知事会などの地方6団体の元で設けられた「新地方分権構想検討委員会」は、財政再建団体制度を強化するために住民による監視を重視した提言を行っています。具体的には次のような内容です。
「直接請求制度(条例制定請求や解職制度など)や住民監査請求制度を住民が一層使いやすい仕組みとする。」
議会議員になるのは究極の形であって、住民として公を担うのはいろいろなルートがあります。自治活動に参加することに始まり、公募委員として自治体の意思決定に参加すること、住民として(住民監査請求制度を利用して)自治体の暴走を監視することもあります。
住民としてほとんど勉強していない方が公募委員としてとうとうと意見を述べても役所側は内心では「実状を知らない意見なので役に立たない」とか「そんなことはだいぶ前からやっている」と思いながら慇懃に答弁をしている光景がよく見られます。関わる以上は期待にこたえるために勉強が必要です。それも良識ある市民として必要なことです。
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