鎖国政策の弊害(2)
第2に、地元業者の受注機会の喪失である。入札参加資格を沼田市内の業者に限定することは、一見地元業者の保護であるように思える。しかし、それは沼田市が大量の公共事業を発注していた時代の理屈でしかない。
平成20年度の沼田市の建設事業費はこれまでの約三分の一、約10億円である。新市建設計画や第5次総合計画でも毎年約30億円の公共工事を予定していたにも関わらず、激減しているのである。しかも、今年1年だけ減少するのではない。公債費負担適正化計画によれば、少なくとも25年度まではこの状況が続くのである。
建設業者は沼田市の公共工事に頼っていては、生きていけないことは明白である。生き延びるためには民間や他自治体の工事を積極的に受注する必要がある。そして、実際に周辺自治体は合併特例債の影響により、建設事業費を増額しているのである。
2008年3月11日付「群馬建設新聞」の記事を見れば、この状況がよく解る。 例えば、隣の渋川市でも約49億円、県内12市全体では946億円もの建設事業費が予算化されているのである。激減したのは沼田市だけで、県内にはまだ公共事業の受注機会がたくさん残されているのである。しかし、沼田市が鎖国政策を採っていては、他自治体は沼田市の業者を受け入れるはずがない。鎖国政策は業者から残された受注機会すら奪ってしまっているのである。
今、市長がやるべきことは、他自治体に先駆けて、地域制限を撤廃して他市の業者も入札に参加させることである。そして、その効果を積極的にアピールして他市にも同じ制度の導入を呼びかけることである。談合が問題になった沼田市が真の入札改革の先頭に立てば他自治体もやらざるを得なくなるだろう。
他市の業者に勝ち抜く力を持った業者が沼田市にも存在する。そういう業者の受注機会を増やさねばならない。
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