公債費負担適正化計画を読み解く(7)
公債費負担適正化計画を読み解く(6)に続いて、沼田市が昨年9月に県に提出した「公債費負担適正化計画」を見ていく。
今回は、「2.実質公債費負担適正化の方策(5) 公債費に準ずる債務負担行為」についてである。該当部分を全文引用する。
独立行政法人緑資源機構が行った利根沼田区域農用地整備事業(望郷ライン整備)に対する債務負担により、平成16年度から実質公債費比率が約2%上昇しています。債務負担が終了する平成30年度までは、実質公債費比率が高い状態が続きます。
今後は、新たな公債費に準ずる債務負担行為の設定は原則行わない方針とします。
「原則」がくせ者だ。「例外」を認める条件は何か。「例外」はどのくらい見込まれるのか。それをあきらかにしなければ、口先だけのザル計画と言わざるを得ない。
「例外」になるであろう案件はすぐに思いつく。
まず、望郷ラインに補修の必要が生じた場合どうするのか。沼田市だけ補修費用を負担しないと言うわけには行かないだろう。また、後閑の出口は不便なので、改良の予定もあるはずだ。この費用の負担は発生しないのか。そうは思えない。
また、椎坂バイパスの負担金は発生しないのか。
道路法52条1項にはこうある。
第四十九条又は第五十条の規定により都道府県の負担する費用のうち、その工事又は維持で当該都道府県の区域内の市町村を利するものについては、当該工事又は維持による受益の限度において、当該市町村に対し、その工事又は維持に要する費用の一部を負担させることができる。
そして、実際に他の自治体には同法を根拠に負担金が課されている。例えば、福岡県筑後市では県道、国道の改築事業について市に課された負担金額を公表している。
椎坂バイパスの事業費は19年度の国の再評価では96億円である。最終的には200億を超えると見ておく必要があるだろう。維持費も4億円だ。 沼田市の負担がなければ良いが、あるとすれば半端な額ではないことは確かだ。
ところで、椎坂バイパスのルート変更が決まったのは昨年12月だ。今後債務負担行為を行わないと言った直後に、県とルート変更の協議をしているのである。当然、市の負担金がどのくらいになるかも、話題になったはずである。しかし、負担金についてはまったく公表されない。議会でもまったく議論されていない。極めて不自然だ。
望郷ラインの時もそうだったが、ほとんどの市民は、国道だから国がやってくれる、市の負担はない、と信じて椎坂バイパスの完成を期待しているのではないか。いまのうちに負担金の有無について明らかにしておかないと望郷ラインと同じ過ちを繰り返すことになってしまうだろう。
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