公債費負担適正化計画を読み解く(5)
公債費負担適正化計画を読み解く(4)に続いて、沼田市が昨年9月に県に提出した「公債費負担適正化計画」を見ていく。
今回は、「2.実質公債費負担適正化の方策(3)地方公営企業への繰出金」について。
まず、ここには以下の記載がある。
それぞれの会計の公債費への一般会計からの繰出金の増加が、実質公債費上昇の一因となっています。
もっともな現状分析である。問題は次の対策の部分だ。
公営企業会計においても、一般会計と同様、事業計画の徹底的な見直しを図り、平成19年度は約10億円を見込んでいる企業債等(借換債を除く)について、平成20年度から段階的に削減し、平成22年度以降は約5億円に抑えます。
これでは、「借金依存体質を変えるために借金を減らします。」ということでしかない。禅問答だ。どうやって、借金依存体質を変えるのか?その内容が問題なのにそれが一切示されていない。事業計画の徹底的な見直しを図ると言うが、その内容が一切示されていない。これでは、何もしないと言っているのと同じだ。
次の部分にもあきれる。
また、全ての公営企業において、整備費の縮減、整備費の縮減に伴う人員の削減、料金収入の見直し及び徴集強化による自主財源の確保を図ることにより、一般会計からの繰出金の縮減に努めます。
まず、「整備費の縮減」とは何をするのか。これがまったく示されていない。単に仕事を減らすだけなのか。そうだとすれば、例えば下水道整備で言えば、「遅れている下水道整備をさらに先延ばしにする。」ということでしかない。これは、財政危機の結果であって、対策とは言えない。対策とは、「談合の出来ない入札制度にして、安価で同じ工事が出来るようにする。」というようなことを言うのだ。
「人員の削減」も問題だ。何年で何人減らすのかまったく示されていない。これはあやしい。そこで、市のホームページに公表されている職員削減計画を確認した。沼田市の給与・定員管理等 の一番下「③ 定員適正化計画の年次別進捗状況(実績)の概要」である。なんと、平成17年から22年まで、公営企業等の職員数は57人のまま、削減目標はゼロではないか。なんのことはない、二枚舌だった。
次の、「徴集強化」にしてもまったく具体性がない。意味があるのは「料金収入の見直し」つまりは値上げだけだ。
もっともらしく、難しい言葉を並べているが、結局のところ「対策は何もしたくないので、下水道などインフラ整備は延期する、値上げもする。市民は黙って我慢しろ。」ということでしかない。ふざけるな!
問題を直視できないことが二流人士の特徴である。役人の本音は保身にある。責任を問われるのを避ける、これは保身術のイロハである。出来るだけ問題の所在をぼかし、解決を先送りする、これが役人の処世術の極意である。そのために、耳障りのいい言葉だけを並べたがる。役人の理想とするのは、「世はなべてこともなし」と人々に破滅するまで思わせておくことだ。沼田市役所の役人も、その二流ぶりと保身の根性ではなかなかのものだ。「気をつけよう、甘い言葉と白い粉」。痺れが全身に回らないうちに、本当に必要なカネと、無意味な垂れ流しのカネとを峻別し、市政に群がる寄生動物への撒き餌を一切断つことが必要である。市民のために何が必要か、優先順位を決めなければならない。これに不可欠なものは現実を向き合う勇気である。寄生動物を払い落とす信念である。
投稿: 峯崎淳 | 2008年3月24日 (月) 15:47