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2008年3月21日 (金)

ドルの不安(5)

ヒラリー・クリントンと民主党の大統領候補のイスを巡って争っている、バラック・オバマが、歴史に残る名演説をぶった。もしこれだけ勇気のある男が大統領になれば、アメリカははっきり変わるだろう。聞いたすべてにそう思わせる大演説だった。オバマは、選挙戦のタブーとされた人種問題を正面から取り上げ、ずばりと核心に踏み込んだ。一つ間違えば、たちまち奈落の底に落ちる問題、アメリカの政治家たちが怖れて足を踏み入れぬ厄介な黒人奴隷の問題を米国の「原罪」だと言い、米国憲法がそれを擁護したことが罪を深めたと言い切ったのである。

先頃オバマが尊敬する黒人牧師のジェレミア・ライトJr師の過激な発言がクリントンの陣営によってユーチューブで流され、オバマは苦しい立場に立たされた。ライト師の発言を認めれば、オバマも怒れる黒人政治家としてレッテルを押され黒人以外の人々の支持を失う。だからと言って、ライト師の言葉を否定すれば、白人に飼いならされたペットにすぎない、と言われてしまう。またそれだけではなく、彼をキリスト教の信仰に導き、結婚式の導師となり、オバマの二人の娘たちの洗礼をしたライト師を公然と足蹴にすることになる。ライト師の言説の正しさを認めながら、 ライト師の白人告発と、オバマ自身の考えの違いを人々に納得させるという芸当を誠実を疑われずにやってのけることは大変なことだった。オバマはみごとにこれをやってのけた。演説のサワリは、オバマは、自分を育ててくれた母方の祖母は、「黒人の男と道で出会うと恐怖を感じるという女性で、しばしば黒人を差別する言葉を口にした」ことを述べ、「しかし、私はこの白人の祖母を否定できないと同様に、自分の信仰の師であり、家族の導師であるライト師を否定することはできない」と明言した。全国連事務総長のコフィー・アナンは、かつて「オバマが大統領になることは、人々に霊感を与えるはずだ」と言った。ハーバード大学の社会学教授オーランド・パターソンは、アメリカの政治史上最も偉大で壮大かつ感動的な演説の一つとして残るだろう」と言っている。聞いた大勢の男女が泣いたようだ。

この演説がアメリカの金融危機とドルの不安の最中に行われたことは重要である。アメリカは、経済的には不自由かつ血なまぐさいかぎりだが。政治的にはまだまだ自由で活発である。ただ残念ながら、経済問題は政治的に解決できない。おカネの問題はおカネに携わる人自身が解決するしかない。金利のつく貨幣のもたらす害に経済人が気づき、かつてケインズが推奨したこともある減価する貨幣に切り替えるのが遅すぎると、地球環境は回復不可能なまでに破壊されてしまう。沼田通貨はその第一歩である。

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現市長に決定的に欠けているのはこういう勇気。自己保身が先に立って、職員人事でも、予算編成でも、しがらみを破る勇気がまったく感じられない。

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