ドルの不安(4)
先週の水曜日に始まり今週の月曜日にキリがついた凄い会社買収事件が起きた。アメリカ資本主義の牙城ウォール街で新自由主義ならではの惨劇が演じられた。金融会社ベア・スターンズと言えばアメリカ有数の投資会社。これがあっという間にJPモーガン銀行に買い取られた。その売値が何と一株2ドル!ベア・スターンズ社株の昨年の最高値は169ドルで、月曜日の時点でも終値は4ドル80セントだった。この突然の買収はどうした風の吹き回しで起きたのか?
噂が囁かれ出したのは、水曜日である。、ベア・スターンズが資金難に陥った、もう誰も同社と取引していない、取り付け騒ぎが起きているという噂である。社長のアラン・シュワルツは嘘だと言ったが、遅かった。誰も耳をかさない。その日シュワルツはフロリダのパーム・ビーチでメディアの大物たちの会議に出ていた。まさか自分の会社に取り付けが起きるなどとは夢にも思っていなかったらしい。油断したとまでは言えないとしても、やや緊張感を欠いたキライは否定できない。木曜日には囁きは怒号に変わった。金曜日には、連銀がJPモーガンを使って救済に出るという話が伝わり、ベア・スターンズの株は30ドルまで落ちた。金融業界では、「流動性」すなわち現金は、投資銀行にとって酸素のようなもの。どんなに健康でも、誰かが枕を顔にかぶせて酸素の供給を絶てば、投資銀行は死んでしまう。ベア・スターンズに起きたのはそれだった。JPモーガン銀行は、噂を煽ってベア・スターンズを格安で買った、という説がある。虚実はわからない。しかし、JPモーガンはベア・スターンズ社を救済と称して、火事場値段まで買い叩いたと見ることはできる。ウォール街式白昼堂々の大泥棒劇だと呼ぶ人もいる。とにかく、日曜日に二百人ものJPモーガン銀行員がベア・スターンズ社に乗り込み徹底的に帳簿を調べたことは事実で、最初は12ドルぐらいで買うと言っていたのが2ドルまで下がったのは、内容があまりにひどかったからだ、ということになっている。ベア・スターンズ社の建物だけでも売れば株価は8ドルになると言われているから、なぜ2ドルという安楽死値段になったのかは誰にもわからない。
弱肉強食の資本主義の本山で起きた惨劇である。ドルのような利殖貨幣を通貨として使うことは一般の勤労者にとって 迷惑以外のなにものでもなく、利殖と無縁の貨幣沼田通貨をつくることを私は提案している。利殖貨幣には血なまぐささがつきものだ。あくなき利殖への欲求が経済成長を不可避にし、そのため地球の自然が破壊され、子孫の環境まで奪っていく。通貨を減価するおカネに変えることで、人類はこの悪循環を断ち切らなければならない。惨劇ゲームを終わりにするときが近づいている。
本日のNHK総合の番組「地域に元気を呼び戻せ~ワースト脱出大作戦スペシャル」で歌志内市における地域通貨の取り組みが紹介されていました。そこで、歌志内市、地域通貨で検索したらこんなページがヒットしました。
http://www.city.utashinai.hokkaido.jp/cgi-bin/utashinai/bbs/bbs.pl
市が「何でも掲示板」を設置して、そこで市民による議論がなされているのです。除雪問題や地域通貨もテーマに上がっています。現在の沼田では考えられないことです。
脱線しましたが報告まで。
投稿: 杉山弘一 | 2008年3月20日 (木) 21:46