公債費負担適正化計画を読み解く(2)
公債費負担適正化計画を読み解く(1)に続いて、沼田市が昨年9月に県に提出した「公債費負担適正化計画」を見ていく。今回は、「1.実質公債費負担の現状(2)既往債等に基づく実質公債費の現状と将来設計」についてである。
同計画に、年度毎の実質公債費比率の推計が以下のように書かれている。
19年度
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20年度
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21年度
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22年度
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23年度
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24年度
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25年度
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20.0%
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20.7%
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21.6%
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21.5%
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20.9%
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19.6%
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17.8% |
この表を見る際に注意しなければならない点が二つある。
一つ目は、各年度の実質公債費比率は過去3年の平均値である点だ。
市債は長期に渡る債務負担なので1年だけで財務状況を判断するのは適当ではないということなのだろうが、年度毎の推移を把握するにはこのような指標は適当ではない。そこで、同計画の別表から単年度毎の公債費比率を抜き出して以下に示す。
16年度
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17年度
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18年度
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19年度
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20年度
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21年度
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22年度
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23年度
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24年度
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25年度
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19.6%
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19.1%
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21.3%
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21.8%
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21.7%
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21.1%
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19.8%
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17.8%
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15.8%
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15.0%
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市は、18年度、19年度の実質公債費比率は20%になったと公表しているが、単年度で見れば、すでに 21%を超えて22%に近づいているのである。現状は市の発表値以上に厳しいのである。
二つ目は、この推計は今後一切市債を発行しないと言う前提に立っている点だ。
これまで通りの財政運営を前提とした推計ではない。これまでは、毎年20億程度の市債を発行していたが、これをあらため一切市債を発行しないとした場合の推計なのである。それでも、単年度値で22年度、3年平均値で24年度までは、実質公債費比率が基準値の18%を下回らないのである。これまでのどおりの財政運営など論外ということなのである。
この事実は、極めて厳しい。なぜなら、
経常収支比率が100%を超えている現状では、市債を発行しなければ、資金不足(赤字)になってしまうからである。市債を発行しないと言う前提がそもそも不可能なのだ。
つまり、経常収支比率が100%以下になるような構造改革をしなければどうにもならないということである。これが、県から突きつけられた現実だ。少なくとも、市長を始めとする特別職に多額の退職金を支給したり、1年間一度も一般質問をしない議員に報酬を支給できる状況ではないことは明らかだ。
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