闇に葬られた市民参加検討会議の提言(2)
闇に葬られた市民参加検討会議の提言(1)の続きを示す。
-----------------------------------------------------------------------------
2. 条例整備の視点からの提言
以上のような現状認識に立ち、ここでは、情報の取扱い全般に関する基盤となる条例整備の視点から以下の提言をする。
(1) (仮称)市民参加条例の制定
市民参加が形骸化してしまった原因は、市民参加の前提となる「行政情報の提供」と「情報共有」を制度として義務づけていなかったことにあろう。ニセコ町の「まちづくり条例」にあるように、市民参加の前提となる市政運営の様々な過程、とりわけ企画立案段階での「情報共有」や行政の「説明責任」、「応答義務」、市民の役割や市民参加の権利を盛り込んだ「(仮称)市民参加条例」を制定する必要がある。
(2) 情報公開条例の改正
沼田市でも、平成10年に情報公開条例が制定され、市民ならだれでも行政情報(行政機関にとって都合の悪い情報も含め)を入手することが可能となった。しかし、条例では意思形成過程の情報は非公開に出来ると規定されている。政策形成過程に関する情報提供の観点から、意思形成過程情報の公開方策を入れたものに改正する必要がある。また、行政の説明責任の観点から「知る権利」を明記すると共に文書管理の徹底を条例に盛り込む事も必要である。
また、情報公開請求件数は年間10件程度にとどまっており、未だに行政情報が一般市民に充分に公開されているとは言いがたい。利用しやすい運用のために後述する窓口の設置が必要である。
(3) 個人情報保護条例の制定
市民参加には市民からの提言等の「情報共有」が必要であるが、市民が行政機関に対して提言等をした情報が行政機関内で不当に使われるたり不用意に公開される恐れがあれば、市民参加は躊躇されてしまうだろう。このような恐れをなくすためにも、行政機関での個人情報の保護を具体化する個人情報保護条例の制定が必要である。
なお、行政の政策形成過程で、情報の提供をして市民参加を進めるということはこれまでとは市の仕事の進め方をまったく変えることに他ならない。一般市民と行政機関が情報を共有して相互理解を繰り返しながら、お互いに成長していく為には、共有化が熟すまでの移行期間は、従来よりも意思決定に時間が掛かっても仕方ないという認識が必要であろう。
------------------------------------------------------------------------------
コメント