闇に葬られた市民参加検討会議の提言(1)
現在沼田市で進められている市民協働推進会議の議論がとんちんかんな方向に進んでいることはすでに、本ブログで述べたとおりである。
市民参加、市民協働とは何か。それらを進めるためにどんな施策が必要か。今日から、その提言を紹介したい。本ブログの筆者の1人も参加した沼田市の平成14年度の審議会「市民参加検討会議」の提言である。
この審議会は、星野市長が市長に成り立ての時に委員を全員公募して立ち上げたものである。星野市長は当初は本気で市民参加を推進しようと思っていたのである。しかし、議会や職員から猛反発を喰らったらしく、審議が進むに連れ、腰砕けになった。事務局はまったく機能せず、最後は担当職員が提言書の受け取りを嫌がる始末だった。
提言書を市のホームページ等で公表するように何度も求めたが、市は一向にやらない。提言は、事実上闇に葬られたままだ。そこで、この場でその内容を順次紹介する。
どうして、闇に葬られたのか、誰にとって何が不都合なのか、考えていただきたい。
提言
第1 行政情報の提供や情報共有のありかたについて
1. 現状認識
沼田市においては、これまでも市民参加のため請願や陳情の外、「市政モニター」、「こんばんは市長です」及び「各種審議会」など様々な制度があり、実際に運用されてきた。本検討会議の委員の多くもこれらの制度を利用した経験があるが、各委員が抱いている感想は以下の通り否定的なものが多い。
「審議会・委員会での意見は本当の市民の声かと言う問いには物足りなさを感じる。」、「一部の市民に限定することなく、対象を拡げた意見収集が必要」、「お上に頼る要求するだけの市民参加だった。」、「意見を求められはするが、すでに市としての意思は決定済であり変更は出来ない時期であった。」、「社会的弱者の声が届かない。」、「市民の知らないところで何となく事が決められてきた。」、「行政機関に申し入れをしても効果がなかった。」、「意見は言ったが、その後意見がどのように反映されたのわからない。」
このように市民参加が進まない原因を「行政情報の提供」と「情報共有」の観点から議論したところ、以下のような問題に集約されることが明らかになってきた。
(1) 行政情報、特に政策形成過程の情報が市民に提供されていなかった。
(2) 事後的に提供される情報も行政機関にとって都合の良いものだけであった。
(3) 市民からの意見が行政機関内でどのように扱われたかを知る方法がなかった。
(4) 市の事業を市民が評価するための情報提供という観点がなかった。
(5) 市民から提供される情報(意見や提言など)を共有するという意識が無かった。
つまり、これまでは、市民参加と言っても市民に事後承諾を求めるためのものでしかなかなく、必然的に、提供される行政情報も行政機関にとって都合の良いものだけであった。そして、市民と行政を結ぶのは確かな情報ではなく、根拠の欠落した「信頼」、「お願い」といった精神論であった。その背景には、官には「間違いなし」という姿勢が行政機関にも市民の側にも散見されたことは否めない。その結果、市民は「言い放し」、行政機関は「聞きっ放し」と言う結果に終始していたと言えよう。
このような現状を打破するため、以下の前提にたって現制度を見直し、市民参加に役立つ方策を具体的に検討した。(続く)
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