市民協働推進会議はどこに行く?
市民協働推進会議の議論がとんちんかんな方向に進んでいるようなので意見します。
まず市民協働とはなにか。これが解っていない。
私は、主権者である住民が市政に参加する一つの形態であると理解しています。これは、私1人の勝手な理解ではなく、5年前の市民参加検討会議当時の諮問者である星野市長の考えでもあり、当時の委員で確認した事項です。だからこそ、市民参加の一部門として協働Grが設置されました。
つまり、市民協働推進とは市政への市民参加を進め、ひいては住民自治を実質化するということです。
ところで、我が国では住民自治が憲法で保障されていますが、その手段としては間接民主主義が基本となっています。したがって、地方自治体の住民は自治の担い手でありながら原則として市政には間接的に(選挙権の行使を通じて)関与することが予定されています。
しかし、これでは、権力の暴走を招いてしまいます。これは歴史的の教訓です。
そこで、地方自治法は直接民主主義的な制度を作って間接民主主義を補完し、権力の暴走に歯止めをかけ住民自治を実質化しようとしています。
例えば、請願権、リコール、直接請求、住民監査請求、住民訴訟などの制度が全国共通のものとして地方自治法に規定されています。これ以外にも、各自治体で独自の制度が作られています。例えば、住民投票制度や意見提出制度(パブリックコメント制度)がこれにあたります。沼田市でも、ふれあい広場(行政懇談会)、市長宛FAXなどの制度が独自に設けられています。また、これらの制度を住民が利用する前提として、情報公開制度や傍聴制度が設けられています。
これほどまでに制度があるのに、実質的な市民参加、市民協働(究極的には住民自治)はなかなか進みません。
その原因はなにか?
これらの既存の直接民主主義的制度の使い勝手が悪いからだろう。例えば、住民訴訟は労力と時間がかかりすぎ、一部のマニアにしか使えない。だったら、もっと使い勝手の良い市民参加、市民協働の制度を作ろう。しかも、沼田市の風土にあったものを。これが、市民参加、市民協働推進の基本的な考え方です。
そして、どういった制度なら市民が使いやすいのか?
行政が勝手に決めるのではなく、市民の意見を聞いてみよう。これが、市民参加検討会議、市民協働推進会議の意義です。
先進的といわれる自治体はこういった発想の元、公募市民を含めたによる審議会で制度設計の議論がなされ、市民参加条例という形になっています。そこでは、行政の応答義務、パブリックコメントなどが制定されています。
そこでされる議論は、こういったものです。
住民投票制度はどのようなものが使いやすいか。例えば、発起人は何人必要か。
市民の意見提出に対して行政の応答義務を課すべきか。
議会との関係をどのように構築するか。
情報の共有はどのように行うのが便利か。
市民の費用弁償はどうあるべきか。
しかし、沼田市の市民協働推進会議はどうでしょう。
基本の部分がまったく欠落したまま抽象的な議論に終始しています。諮問する側も諮問される側も、制度設計という観点はまったくありません。いきおい、委員で観光イベントをやろうという流れになってしまっています。これでは、公平公正な市民参加、市民協働などできるはずがありません。こういう発想では、委員になった方や市長の支援者は市政に参加できるかもしれませんがますが、本当に参加すべき市民は排除され、社会的弱者の意見などは市政に反映されようもありません。
そこで、市民協働推進会議の委員各位にもう一度何のための議論なのかを見つめ直して欲しいと思います。
そのため以下の2点から始める必要があります。
1.地方自治の教科書(図書館にある中学高校生レベルで十分)を一読すること。
2.他自治体の事例を調査すること。
それにしても、第4回会議の議論
> 1.発言者の内容について批判しない。
には驚きました。意見を交わし、相互批判をすることが民主主義の大前提です。これを否定してしまっては、このような審議会の存在意義はありません。本気でこんなことを思っているなら即刻、委員を辞めるべきでしょう。
コメント