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2007年11月 5日 (月)

ノーム・チョムスキーの思想

ノーム・チョムスキーは政治思想家でありかつ自身の思想を実践している活動家です。この人はまた言語学者としても一派を創始しているのですが、本日の演者(スピーカー)はチョムスキーの言語学はいわずもがな、言語学一般についてほとんど知識がありません。従って言語学者としてのチョムスキーにはできるだけ触れないようにいたします。専門を二つ以上持つという人がたまにいますが、どちらの専門でも群を抜いて優れた世界的な業績を上げているというような人はめったにいません。かつてポーランドにパデレウスキーという政治家がいましたが、この人はピアニストとしても世界的な腕を持っていました。ハイゼンベルクという物理学者がいましたが。この人は不確定性原理を発見し、物理学の世界認識に革命を起しましたが、若いときにはピアノに熱心で、コンサート・ピアニストになるか、物理学に進むか大分迷ったあげく、ピアノを捨てたと聞いています。この人がピアノの方に進んでいたら量子力学はずいぶん遅れたと思われます。アメリカの現国務長官のライスという女性もコンサート・ピアニストとして修業した時期があったようです。

ともかく、世の中にはとんでもない才能を持った人がいるものです。

 私がアメリカのプリンストン大学というところで日本語の講師をしていた頃(今から四〇年位前の話しですが)言語学をやっている大学院生の間ではチョムスキーはすでに神様に次ぐ存在でした。ベトナム戦争の最中でしたから、チョムスキーは自分の家族を含めてもせいぜい数人の人数でプラカードを掲げ、ボストンの近郊のケンブリッジの町で(ハーバード大学があるところです)抗議のデモをしたり、教会で聴衆よりも主宰する反戦活動家の方が多い集会を開いたりしていました。当時、私はそんなチョムスキーの政治活動のことは少しも知りませんでした。

 私がアメリカの権力機構を真正面から批判する思想家、政治学者、反体制活動家としてのチョムスキーを初めて知ったのは、文芸春秋社の編集者から『911』という本の翻訳を頼まれたことがきっかけでした。最初、『9・11』は訳して出版するに値する本かどうか早急に判断を聞きたいという依頼がフランクフルトのブックフェアに行っていた編集者から飛び込んできました。そのすぐ後に本文が写真版で届きました。薄い本でしたが、読んでみて私は本当に驚きました。そこで、著者のノーム・チョムスキーが、言語学者のチョムスキーと同一人かどうか確かめるため、本屋に行き、『チョムスキー・リーダー』を見つけたのです。これも目から鱗の落ちる本でした。そこに書かれているアメリカは私がまったく知らなかったアメリカでした。『9・11』のあとがきにも書いたことですが、その当時私は二十年間にわたり毎週『タイム』と『ニューズ・ウイーク』というアメリカの週刊誌を読まなければならない仕事をしていました。ですから、アメリカのことはかなり知っていると思っていました。私だけではありません。アメリカ人自身が、『9・11』を読んで、驚いていたのです。アメリカ人も知らないアメリカがこの本には書かれていました。(続く)

  

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