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中心が枯れて周縁に分散し始めた「金曜の官邸前デモ」
政治は生きものであり、刻一刻と状況が変わる。官邸前デモも同じで、様相は少しずつ変化し、前週と同じだったデモは一つもない。7/20のデモに出たあと、8月に入ると参加者は減るだろうと予想したが、案の定、8/3のデモの動員数は4000人(警察情報)で、2週間前の半分程度になってしまった。この前後から野田佳彦の面会が浮上し、政治の話題になって世間の関心を集めたが、8/10も動員数を挽回できず、いわゆる夏枯れ状態が続いている。主催者(反原連)の関係者からは、デモのルーティン化と隔週開催の弱音が吐かれるようにもなった。今週はお盆休みであり、8/17に動員数が急回復する条件はない。8/10のデモも警察の厳重警備で締め上げられ、官邸前の歩道空間への人の集結を阻まれて干上がらされ、メインスポットである交差点のスピーカーズ・コーナーは閑古鳥だったのだろう。官邸前に人を集めさせない警察の地道で巧妙な作戦が効を奏している。実際のところ、反原連のデモは、次第に「官邸前デモ」から「国会前デモ」へと姿を変えている。官邸前の空間は熱が冷める一方で、派生的なスポットだった国会前が盛り上がる状況になっている。そしてさらに、「金曜の反原発デモ」は、反原連主催の18時から20時のデモではなく、その後の環境省前や経産省前での抗議行動が熱を帯び、一般の注目を浴びて主役になりつつある。
環境省前の抗議行動は、「再稼働反対!全国アクション、国際環境NGO FoE Japan、福島老朽原発を考える会、原発を考える品川の女たち、プルトニウムなんていらないよ!東京、経産省前テントひろば」が主催している。反原連とは別の団体だ。反原連の「官邸前デモ」がマンネリ化し、動員人数が減ってくれば、金曜のデモ参加者は当然ながら熱い刺激と感動のある抗議の現場を探すようになる。反原連のデモを支えるために官邸前に出かけているのではないからだ。デモへの参加は宗教的行為ではなく、デモに出る市民は新興宗教の信者ではない。デモは政治の手段である。いわゆる「官邸前デモ」は、主催者にとっても負担感と忍耐感の強い、単調でヘビーなノルマの反復のような性格のものに変わっていくだろう。それは、「同じ事を繰り返すことに意味がある」とする反原連の原理主義が、逆に彼らにとって重荷になり、マルクス的に言うなら、桎梏に逆転した弁証法(反対物への転化)を意味するものだ。政治の手段である以上、それは状況と情勢の変化に応じて柔軟に選んでいかなくてはならない。加えて、ネットで常軌を逸した暴言や挑発を繰り返し、独善に徹して他者を傷つける排除と詭弁と攻撃を止めないところも、デモ参加者の支持や熱意を冷え込ませている一因として否めない。反原連のネットでの爬虫類的な狂暴ぶりと毒牙が周知されてから1か月以上経つが、事態は悪化するばかりで改善の徴候が見られない。
気になる動きとして、8/7に前原誠司が、「多くの方々が(デモで)集まる中、面会する人が代弁者たり得るのか懸念を持つ。一活動家がすべてを代弁する形で会うことがないようにしてほしい」と言い、反原連と野田佳彦との面会に疑問を呈する発言をしている。同じ日、枝野幸男が反原連と野田佳彦の面会に反対を表明、結局、国会情勢の緊迫を理由に8/8の面会は流れた。当初、反原連は8/10に再日程を調整中と言っていたが、8/10の面会もなく、盆明けに先送りされている。これは、財界側(原子力村側)からの反撃による政治だが、前原誠司の一言は、側近などがネットでの議論状況を監視している結果と言えなくもない。8/8の面会へと動いたのは前原誠司だと私は睨んでいるが、同じ前原誠司が今度は面会を中止・先送りする行動に出た。無論、本音は面会など避けたいのだ。しかし、やるなら菅直人の影響を排除したい。盆明けの面会が実現するとして、前原誠司らの対応は変わっておらず、取り込むか潰すかの二つに一つの方針だろう。反原連の個々についての身辺調査に時間を使った可能性もあり、そうであれば、文春や新潮を使ったネガティブ・キャンペーンが考えられる。前原誠司は、反原連がネットの中で「官邸前デモの代表」として認められていない事実を知っている。平岡秀夫の議論とも関連するが、反原連が政治の世界と接触を深めるほど、この正統性の問題が浮上して論議になることは避けられない。
反原連は、デモの参加者から沸き起こっている、「反原連はデモの代表ではない」という批判に対して、二つの無理な論法で強弁している。一つは、そもそも自分たちはデモ参加者の一部の代表であり、反原連の主旨に賛同してデモに参加している者たちだけの代表であって、他の連中は自分たちとは無関係なのだという主張である。だから、反原連の主旨に賛同しない者たちはデモに来るなと言っているのだが、この論法は、デモ参加者全体に通用しないのは当然のこと、反原連をデモの代表として呼ぼうとする官邸側にも通用しないことは言うまでもない。政府と政権は、官邸前デモ全体の代表者と会いたいからだ。もう一つの詭弁論法は、デモの代表などという運動体の正統性の問題は、いまどき流行らない話なので関係なく、無視してよいという身勝手な理屈である。これもまた、デモ参加者には通用するかもしれないが、およそ政府に通用する議論ではなく、政府に税金を払っている国民としては、首相には正しくデモの代表に会ってもらわなくては困る。反原連がデモの代表かどうかは、決してゴマカシたり無視してよい問題ではないのだ。さて、前原誠司以上に、もっと気になる動きとして、橋下徹が再び府市エネルギー戦略会議を稼働させ、「原発ゼロ」を言い始めたことだ。飯田哲也が、また府市エネ戦の特別顧問に戻ると言う。騙される人間は何度でも騙される。大飯再稼働に手を貸した橋下徹が、わずか2か月で、また「脱原発」の衣装を着て政治の表舞台で踊り始めた。
「脱原発」をアピールして、総選挙で維新の票を稼ぐ狙いだ。厄介なのは、全マスコミが橋下徹の味方についている点である。特に、この間ずっと反原発の姿勢で報道をしている古舘伊知郎の報ステが、橋下徹を担いで宣伝しまくり、「橋下徹=脱原発」のイメージ作りに手を貸している。橋下徹が「脱原発」を回収する図への警告は、ずっと記事で繰り返してきたところだが、選挙が近づいて、またこの問題に頭を悩ませなければならなくなってきた。
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thessalonike5
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2012-08-14 23:30
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