社会・生活 週刊文春 掲載記事
スクープ速報

オスプレイが原因で米兵レイプ犯を逮捕させない日本政府

森本敏防衛大臣はいかに?

 米軍厚木基地周辺で日本人女性が米軍兵士にレイプされるという事件が発生したが、日本政府はオスプレイ配備への悪影響を恐れ、米兵への逮捕状請求を意図的に遅らせていることが週刊文春の取材で明らかになった。

 レイプ事件が起きたのは7月21日(土曜)の未明ことである。神奈川県内のショットバーで厚木航空基地所属の2等兵曹A(23)が泥酔し、居合わせた米軍将校に暴言を吐いたことでトラブルが発生した。将校はAを店の外に連れ出し、「これ以上飲むな」と厳しく叱責。Aは常連客で家も近いため、店にいた寺坂恭子さん(仮名・30代前半)がAの自宅まで送り届けることになった。以下は寺坂さんの証言である。

「Aの自宅まで送って行く途中、人気のないマンションとマンションの間の通路に差しかかったところで、いきなり拳で私のお腹を殴りました。『痛い、やめてよ』と抵抗しても『俺はやりたいんだ。黙ってやらせろ。従わなければ殺す』と、私の髪を思い切り引っ張って、俵抱えにされて自宅に連れ込まれました。『これはちょっとでも抵抗したら本当に殺されるな』と諦めるしかありませんでした」

 寺坂さんはAが眠った隙に裸足で逃げ出し、相談した知人の勧めで在日米軍憲兵隊に通報。憲兵隊から全米犯罪情報センターを通じて神奈川県警大和署に連絡が入り、同署はAの自宅などを家宅捜索した。

「事案の凶悪性からも、強姦容疑ですぐにAを逮捕して取り調べをするものと現場の捜査員も思っていた。ところが署の幹部が逮捕状を請求しようとしたところ、司法当局から待ったがかかった。『オスプレイ配備の問題もあるため、米軍関連で波風が立つのは好ましくない』というのがその理由。被害女性にそんな言い訳が通用すると思っているのか。現場の怒りは相当なものですよ」(神奈川県警関係者)

 オスプレイ配備問題を巡って批判の高まる対米世論沈静化を図る野田政権の特別な配慮により、Aの逮捕が見送られているのだとしたら、断じて許されることではない。

「週刊文春」編集部

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