2007年12月ごろ、携帯電話販売店を営んでいたL容疑者(44)は店を売却した。商売がうまくいかなかったためだ。同じころ、保険詐欺に関心を持ち始めたL容疑者は、08年2月にかけ、保険会社10社の11種類の保険に加入した。毎月の保険料は50万ウォン(約3万5000円)に達した。
08年3月、L容疑者は打撲傷を訴え、釜山市東区の整形外科病院に入院し、保険料をだまし取った。この病院に27日間入院したL容疑者は、1カ月間の保険料として約108万ウォン(約7万5000円)を受け取ることに成功した。その後、別の病院に2カ月ほど入院し、約2700万ウォン(約190万円)の保険料をだまし取った。
同じ病名であれば、最大120日間の入院で保険料を受け取れることから、L容疑者は3カ月単位で病名を変えながら、保険金を受け取った。一方、警察によると、軽度の糖尿病の症状があったL容疑者は、保険に加入する際「糖尿病などの7大疾患により入院した場合は特別保険金を受け取る」という特約条項を適用され、実際に糖尿病で入院することにより、入院費だけで1日に最大40万ウォン(約2万8000円)を受け取った。L容疑者はこの方式により、今年2月まで、釜山市内の12の病院や診療所を転々とし、958日間入院した。この間、42回にわたり、計4億500万ウォン(約2800万円)の保険金を受け取った。
実際に病気にかかっていなかったL容疑者は、だまし取った保険金を使い、たびたび外出や外泊を繰り返した。入院期間中に酒を飲んで暴行事件を起こし、処罰されたことも4回あった。警察によると、自宅では賭博サイトにアクセスしていたという。L容疑者は外出や外泊がしやすい地方の中小規模の病院ばかりを選んで入院していた。経営が苦しい地方の中小規模の病院は、1人でも多くの患者を受け入れることが切実な問題のため、患者たちに入院を勧めていた。警察は、L容疑者のようなニセ患者がこのような点を悪用するシステムが問題だとの見方を示した。
L容疑者による詐欺行為は、必要以上に多くの保険金を受け取るのを不審に思った保険会社が、警察に情報提供したことで幕を閉じた。