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【社会】

街角の顔画像 容疑者と照合 昨春から非公開運用

2012年8月14日 07時06分

写真

 民間の事業者が街頭に設置している防犯カメラの画像と、警視庁が所有するテロリストらの画像を機械的に照合するシステムを、警視庁が昨年三月から試験運用していることが、警視庁への取材や情報公開請求で開示された文書で分かった。カメラの所有者や設置場所、具体的な運用方法は明らかにされておらず、いつ、どこで、どのような画像が使われているのか、都民に知らされないままの運用が続いている。

 開示された文書などによると、試験運用しているのは「三次元顔形状データベース自動照合システム」で、民間の防犯カメラ二十台と接続している。

 カメラに写った映像の中から人の顔を検出し、警視庁が作成したテロリストや指名手配容疑者の顔画像のデータベース(DB)と自動的に照合。DBと一致した顔が見つかると、カメラの設置場所を管轄する警察署に自動通報され、警察官が急行する。一致しなかった画像は廃棄する。

 テロリストらの二次元画像を情報技術(IT)で三次元にし、さまざまな角度の顔画像をDBに登録することで、正面からだけではないカメラ画像との照合を可能にした。

 試験運用は二〇一四年二月末までの三年間。警視庁はカメラを所有する事業者と昨年二月、協定書を交わしたが、開示された文書では、事業者名は黒塗りだった。また、カメラ映像の中から顔の画像を検出する装置一式を、月額百二万円で民間会社から借りる契約を一〇年十二月に交わしたが、相手先や装置の詳細は非公開だった。

 カメラの所有者を非公開にした理由を警視庁は「開示すれば運用場所が明らかになり、容疑者らが場所を回避するなど、捜査に支障を及ぼす恐れがある」と説明。装置の詳細を非公開にした理由には「システムへの不正アクセスや不正利用を容易にする恐れがあるため」としている。

 警視庁は試験運用前、研究者や法曹関係者がメンバーの有識者委員会に、システムの効果的な運用方法や適正な活用について諮問。委員会は〇九年十二月、報告書をまとめた。

 報告書では、DBに登録する対象者をテロリストや手配容疑者に限定した上で、厳格な登録基準を定めて運用すべきだと指摘している。だが、警視庁は本紙の取材に対し、登録基準はもとより、どのような人物が何人登録されているかといったことも明かさなかった。テロリストや容疑者の逮捕など試験運用中の「実績」の有無についても答えなかった。

(東京新聞)

 

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