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ファイナルファンタジー25周年に寄せて
私にとってFFは、人生計画を崩壊させてしまうであろうひどいゲームという位置づけです。
ゲーム雑誌などの記事を読んで分かったつもりで始めると、そんなものは当然表層だけの情報で、その奥に濃密な空気をまとった世界が待ち構えている。やるべきこと・考えるべきことが鎖のようにつながって、長大な奥行きが用意されていることを容易に想像させるバトルシステム。その組み合わせを考えるのが楽しくて楽しくて、気がつけば夜を徹して没頭......。
こんな不思議で魅力たっぷりな異世界を垣間見せてくれるFFは、まるで次元の障壁を切り裂く「魔法の武器」を思わせました。そしてまったくひどいことに、この魔法の武器は異世界覗き見の代償に、睡眠時間をことごとく奪い去っていくのです! ひどい!
いよいよ遊び疲れても、FFは許してくれません。夢の中で遊んでいるのです!
魔法の武器は呪いの武器でもありました。
ですが、このようにひどい面白さを持ったゲームを繰り返し遊ぶうちに、ゲームそのものよりもこれらを制作している人たちに興味が自然と移っていきました。
なぜこのゲームの開発者は、自分の想像できないことを形にできるのだろう?
一体どんな人たちが作っているんだろう??
こういう興味に駆られていたのが、およそ20年くらい前です。
それから縁あって、以来この会社で開発のお仕事をさせてもらっております。
私にとってはFFXIがFFシリーズ開発経験の全てです。
そして例にもれず、このタイトルも大変危険なシロモノでした......。
FFXIプレイヤーの方ならきっとわかると思いますが、視界の左下にコンパスが見えた気がしたり、友達と待ち合わせをする際に場所を「ル・ルデの入り口で!(新宿南口のつもり)」と言いかけてみたり、クルマで行く予定なのに「お酒呑んだら帰りデジョンでいっか......。(よくない)」という、コントみたいな考えが自然によぎったり。
開発に関わった自分がこの罠にかかるほど、FFXIの「魔法の武器度」は高かった。
ミイラ取りがミイラになる、とはまさにこのことです。
そんなゲームの開発に携われて、本当に光栄です。
さてそんなFFXIも今年サービス開始から10周年を迎えました。
これまでに田中弘道さんはじめ、たくさんの方が他のプロジェクトや弊社外へと出立されました。恐らく、「魔法の武器」のDNAを、あちらこちらでばらまかれる算段かと思われますので、みなさん注意してください。
そして我々FFXI開発部は松井聡彦プロデューサーを筆頭に、FFXIをさらに強力な「魔法の武器」へと変貌させるため、精いっぱい頑張っていく所存です。
最後に、このような駄文にお付き合いくださいまして誠にありがとうございます。
今後も続くFFシリーズ。新たな「魔法の武器」の威力に、是非酔いしれてください!
それでは良い旅を。
藤戸 洋司
FF11 アソシエイトディレクター
クリエイターズボイスは、今後も続々と更新していきます。
各コメントは1週間の掲載となりますので、お見逃しなく!